全てのコマは絵画である

 同僚からこんな面白いYouTubeチャンネルを教えてもらった。題して『Every Frame a Paiting(全てのコマは絵画だ)』。当たり前だが、監督や撮影監督はテキトーにカメラを回しているわけはなく、どんなショットにも彼らなりの演出や意図がある。その演出意図を分析解説したのがこのYouTubeシリーズで、とても勉強になって面白い。

 

 例えばエドガー・ライトの回はエドガー・ライトのギャグがいかにビジュアル的に笑わせるものかを説明している。コメディ愛好家としては会話で笑わせるアメリカンコメディが否定されているのは若干異議を唱えたくならないでもない*1が、確かに映像作家としてのエドガー・ライトの持ち味がこの動画を見るだけで理論的に分かる。

 

 あと、家に帰ってからチャンネルを観ていて気づいたが、少し前に話題となったマーベル映画の問題点を音楽から読み解いてく動画もこのチャンネルが発祥であった。マーベルはリスクを取らない故に記憶に残らない、というのは言い得て妙だった。最近のマーベル映画は攻めたものが多いので、この動画が公開された当時とは状況は変わってきているけれども。

 

 

 他にもジャッキー・チェンのアクション、コーエン兄弟の編集スタイル、黒澤明の構図の解説などどの動画のネタも興味が尽きず、非常に為になるので映画製作者志望ならずファンにも是非オススメしたいチャンネルなので、暇なときにでもどうぞ!

 

 

Filmmaker's Eye -映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方-

Filmmaker's Eye -映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方-

 

 

*1:というのも、アメリカンコメディはコメディアンの持ち前の面白さを生かす場合が多く、そのためにアングル固定で最高のアドリブが出るまで長回しにしておく手法が取られることが多いので仕方がないのだ。その点イメージ先行で作られているエドガー・ライト作品とはメソッドが根本的に異なる。

映画を一人で観て哀しくなるのか?

 今映画ファンの間で大炎上しているこちらの記事を読みましたよ。

 多くの映画ファンの例に漏れず映画館には基本的に一人で通っている身としては確かにくっだらねー記事だとは思いましたが、最近社会人になってから色んな物事の裏には色んな苦労があること*1を知るようになりましてですね、こちらの記事を書いた本人もまさかここまで反響を及ぼすとは思ってなかったでしょうし、今頃どっかでエゴサしながら落ち込んでるんだろうなぁと妄想すると可哀想なので、改めて僕が批判することは止めておくことにしました。

 

 ただし、一点だけ気になったところがありまして、以下引用します。

 とはいえ、「ひとりで映画を観たりもしたいけど、ちょっとハードルが高い」というアナタ、そうなんです、ひとりで映画館に入るのは、とても勇気がいるんです。(中略) 

 

ただやっぱり、カップルや集団でやってきた人たちに「あの人さ、ひとりで観にきているんだね、えらいよね(=かわいそう)」とかなんとか話のネタにされているかも・・・と、ついつい思ったりします。

 こういう風に我々映画ファンは、一人で映画館に行くことに対して我々が何かしらの負い目や劣等感を抱いているとよく思われがちなんですけど、実際には全くの逆です。

 

 例えば今日なんかもですね、僕は一人で劇場で座っていたところに隣に5人組くらいの学生グループが入ってきて「っるせーな、静かにしてろや!」なんて予告編すら始まってない時から心狭いことを思ったり、映画終わった後に誰かが「いやぁ、この映画微妙だったわー」なんて仲間内でワイワイ話してるのを聞いてしまった暁には「ッバーカ、テメーらにこの映画の何がわかるってんだよ!」なんて脳内でぶん殴ったりして*2基本的に赤の他人に対しては超上から目線で見下しています

 

 これはむしろ映画ファンがと言うより、僕の性格がよろしく無いだけですが、本当は仲間同士で楽しそうに観ているのが羨ましいことの裏返しかもしれません。って、劣等感を抱いてるじゃねーか!

 

 

*1:だからと言ってもちろんポンコツだから許されるという話では無い。

*2:逆もまた然りで「この映画面白かったねぇ」とか場内が明るくなっても泣いている人とかには「うんうん、分かる、分かるわぁ」と脳内で超ハグしています。

『シェアリング・シングス』

 

Stranger Things 2

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