余計なお世話でごめんね

 Twitterでもチラッと書きましたけど、ネットの掲示板で映像編集の仕事を見かけたので、面白そうと思って応募したら地下アイドルのインタビューの編集でした。身バレしないように色々ボカして書きますけども、健気に質問に答えている彼女たちの裏から、大人からの搾取構造が見えてくるので、素材に目を通すのが辛いのなんの…。

 

 例えばですね、とある質問に対し、ある女の子が明らかにキャラを作って答えてるんですけど、画面に映ってないプロデューサーが野太い声で強めにイジりながらダメ出ししてて、でも当然女の子たちは絶対的な権力構造に逆らえない*1ので、無理やり笑顔作ってバカを演じるしかないんですよ。

 

 思わず声を出してしまったのは、とある子は「アイドル業界を盛り上げて行くには」的な質問に対して、運営サイドの問題を指摘するんですね。そうするとまたプロデューサーが野太い声で「これ関係ないでしょ」「今の編集で(カットね)」と横から笑ってない笑い声(ニュアンスわかります?)と口出ししていて、いよいよ闇を感じましたね。

 

 もちろん、そんなところは使えないので、まさに僕が全部カットしているんですけど、世に出ている地下アイドル系の映像にも同じようなカットシーンがあり、そういった部分をそぎ落とし、アイドルが理想的なことばかりいうのを見てアイドルファンは喜んでいるんだろうな、と思うとなんとも言えない気持ちになりました。せめてもの救いは、僕がインタビューの撮影現場にいなくてよかった…。

 

 なお、最近『Tokyo Idols』っていう、アイドルを主題にしたNetflixのドキュメンタリーを見たんですけど、BBC製作なのでクオリティ高く造られていまして、アイドルの視点、アイドルオタクの視点、経済の視点フェミニストの視点など、複数の視点からアイドル産業というビジネスとカルチャーを追っていて非常に面白かったので、オススメです。あれを見たら僕が大学時代にハマっていたももいろクローバーZは、よほど健全なアイドルなんだなぁ、と素人ながら思いました。

www.netflix.com

アイドルばかり聴かないで(初回限定盤) [CD+DVD]

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  • アーティスト:Negicco
  • 発売日: 2013/05/29
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*1:ちなみに、僕はこのプロデューサーの声を聞いて、前働いていた会社のクソ社長と大嫌いだったプロデューサーの「イジり」がフラッシュバックしました。なんで「プロデューサー」の肩書きついている人ってみんな似たキャラなんですかね。ファックオフですよ!

「ダ・ヴィンチも睡眠時間が勿体ないと言った!」

 ゲゲゲ、『インビジブル』みてたらこんな時間に!詳しくはTwitterで書きますが、ポール・バーホーベンミソジニーの描き方が最高で惚れ惚れしました。20経ってるのにVFXは驚異的で窃視症的なカメラワークも素晴らしい。Twitterにはまだ『アルプススタンドのはしの方』も『透明人間(1933年の方)』の感想も書いていないので、明日あたりアップします。今日はこんなところですみません。

インビジブル (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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【ニワカNBAファン便り#6】NBAが帰ってきた!

 コロナにより中断されていたNBAが7/30から再開したわけですが、本日は我が愛しのトロント・ラプターズの再開後初戦で、対戦相手が優勝候補の一つLAレイカーズで、仕事のながら見でみ始めたらいつの間にか仕事そっちのけで試合を見ていました。結果もラプターズの気持ちい勝利で終わりって大満足です。熱くなれる日常が戻ってきて嬉しいですね!

 

 NBA詳しくない方に軽く説明しますと、ラプターズは設立以来24年で去年悲願の初優勝を果たしたチームなのですが、エースだったスター選手カワイ・レナードと主力の一人だったダニー・グリーンがシーズンオフで抜けてしまい、ディフェンディングチャンピオンにも関わらず世間から非常に低い評価を得ていたチームで甚だ憤慨なのですが、大方の予想を裏切り!早々にプレーオフ進出を決め、東カンファレンスでも第2位と大健闘しています。今日の試合でも、キング レブロン・ジェームズ率いるレイカーズ相手に堅実なディフェンスでスコアを抑え、107-92で勝利を収めました。しかも、これで今シーズンの対戦ではレイカーズ相手に負けなしですよ!

 

 僕はひょっとしたらひょっとして、今年のファイナルはレイカーズVSラプターズがワンチャンあると思ってるんですが、そうなってくると今年はご存知コービーの逝去もあり、レイカーズにも頑張って欲しいところなので、複雑な心境で結晶を見守ることになるかもしれません。西カンファレンス決勝でレイカーズがLA対決に負け、仮にクリッパーズが出てきたとしても、自分たちを優勝に導いたレナードが今度は大きな壁として立ちはだかってくるのはそれはそれで熱い展開…!いや、でもしかしやっぱり決勝はレイカーズに行って欲しいなぁ…!ん?バックス?そんなもん、知らん。

 

 ところで、今回オーランドで行われているリスタートでは、コートの上に大きく「ブラック・ライブズ・マター」と書かれており、試合前の国家斉唱の際には各チームの選手やコーチたちが文字の前に並び、お互いに肩を組んで片膝をついていたことが大変話題となりました。

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 これは当然「ブラック・ライブズ・マター」運動に絡んだ抗議の意の表明でして、大元を辿れば2016年のNFLプレシーズンゲームでコリン・キャパニック選手が、国歌斉唱時に片膝をついて抗議の意を表したことに始まります。トランプを始めとして右派は「非愛国的だ!」と詰り、キャパニックも当時所属していたサンフランシスコ49ersをクビになり、国を挙げての大論争になりました。

 

 あれから4年たちましたが、状況は一向に改善されず、今年再び悲劇が起きてしまい、BLM運動がかつてない規模で大きく繰り広げられるようになりました。日本では八村塁がデモに参加したことを批判した人が多かったですが、黒人選手が多い割合を閉めるNBAにおいて、BLMは決して他人事ではありません。前にもこのブログで取り上げましたが、レブロンはよく「モア・ザン・アスリート(あるいはバスケットボール)」と語り、自身がNBAで活躍することでこうした社会的問題にも世間の目が向くと考えています。

 

 選手たちが国家の前で片膝をついていたのは、何よりもアメリカがより良い平等な社会になるために願っていたもので、僕は非常に愛国的に感じました。選手たちの思いが世界に届くためにも、再開したNBAリーグには大きな盛り上がりを期待します!

ダンクシュート 2020年 09 月号 [雑誌] (日本語)

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『スケッチブック/SKITBOOK』新作「ブラック・ライブズ・マター」公開!(+ライナーノーツ)

 本日、『スケッチブック/SKITBOOK』の新作スケッチ(コント)「ブラック・ライブズ・マター」を公開しました!お楽しみください。

 

 今回は前2回と比べて急にセンシティブなネタを扱っているので、誤解が生まれないようにCDで言う所のセルフライナーノーツ的なものを記していこうと思います。(以下、鑑賞後に読むことをオススメします。)

 

 アメリカやイギリスなどのスケッチでは、時事問題をネタとして取り扱うことが多く、僕も『スケッチブック/SKITBOOK』では積極的に風刺を取り込んでいこうと思っていまして、今回は思い切ってそっちの方向に舵を切りました。*1

 

 今年コロナ以外で世界を動かしたのは「ブラック・ライブズ・マター」運動です。日本ではBLMが驚くくらい冷ややかに捉えられており、大坂なおみTwitterでBLM関連のツイートをすると炎上したり、八村塁が平和デモに参加しただけで叩かれている状況はハッキリ言って異常だと思います。日本人にとって、人種差別は無関係だと思っているのでしょう。

 

 僕がこの「ブラック・ライブズ・マター」の脚本を書き、出演してくれる黒人の役者を募集した時に、とある候補の人が脚本を読んで「この台本だったら出ない」と言われました。当初僕が書いていた脚本は、金田少年が名推理によって、犯人として唯一の黒人学生を名指しし、その場にいる全員から非難され、結局犯人も別人で冤罪だった、というオチでした。僕は金田少年が無意識に差別をしているプロットにし、誰もが差別主義者たり得る、ということを表現したかったのですが、台本を見せた候補の人からは「ヌルい」と言われました。

 

 「明らかな殺人者がその場にいるのに、全員が盲信的に黒人学生を犯人だと思った方が、笑えるしリアル」と彼は言ったんですが、なるほど言い得て妙だと思い、脚本を根本的に変えました。残念ながらその彼は結局出演することはなかったのですが、代わりに今回出演してくれたアレクサンダーくんも「劇中に証拠として黒人がよく聞く音楽のCDとかいんじゃない?」とアイディアを出してくれました。彼もよく「レゲェとか好きそう」と無邪気に言われるそうです。

 

 つまりですね、日本では無意識な人が多いだけで、差別は平気であちこち横行しているんですよ。彼らがアドバイスしてくれた内容は、実際に彼らが日本で受けてきたステレオタイプや偏見に基づいています。そのため、ある種「あるある」的な内容にまでして笑いにもつながったと思いますが、同時に「自分は黒人をステレオタイプに当てはめていないか」と気づくきっかけになるかと思います。

 

 「無意識」っていうのがキーであり、厄介なところであります。ヒャクタなんちゃらとか自ら進んで差別をしている人は論外ですけど、「無意識」ということは本人には悪意がないケースすら含みます。「黒人だから歌が上手い」「黒人だから踊れる」「黒人だからスポーツができる」というのは全てポジティブに聞こえますが、言っている本人は褒めているつもりでも一つの定型に当てはめてしまっており、差別を増長する危険性を生みます。

 

 ここで僕は「無意識」や「無知」であることそのものを唾棄すべし、とは思っていません。僕自身は観ることが叶いませんでしたが、『アベニューQ』というオフブロードウェーで2003年から上映されている傑作ミュージカルがあります。『セサミ・ストリート』をパロディにしたミュージカルになっていて、劇中で「誰もが少しは差別主義者(Everyone's a Little Bit Racist)」という名曲があります。

 

 『アベニューQ』には様々な人種やパペットが登場し、お互いの人種に関する偏見を無意識に口にしてしまい、それをお互いに批判しあってる様をコミカルに歌った曲ですが、サビは次のようになっています。

時々みんな少しは差別主義者になると思うの
だからと言ってあちこちでヘイトクライム
犯してるわけじゃないんだけど
周りを見渡してごらん
色盲の(=色で人を見ない)人っていないから
私たちが向き合う事実かもね
みんな人種で相手を決めつけてる

 

 

 これは自戒を込めて書きますが、『アベニューQ』が歌うように、人間はある種の集団に属して生活している以上、多かれ少なかれ人を見かけで判断しない人って実は少ないと思うんです。しかし、大事なのは「自分の中にもはちょっとした差別心はある」という事実と向き合い、自分が知らず知らずのウチに自らの中で育んでしまった偏見で他者を傷つけていないか常にチェックすることです。そのためには、「無意識」や「無知」からの脱却が大事なのです。

 

 そういった状態からの脱却にはコメディとはうってつけの薬であり、あわよくばkのスケッチを見た人がそれぞれ「ブラック・ライブズ・マター」について、対岸の火事ではなく自分の社会で起きている出来事して考えてもらえるキッカケになればいいな、と思っています。

 

 あ、ところで、このスケッチは前回の「映画バー」のスケッチと同じ日に撮影しました。僕の表情が死んでいるのは殺人鬼の役作りではなく、疲労からです!

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▲今回のサムネ候補は色々あり、個人的にはこれが好きで非っっっっ常に迷ったんですが、日本語読めない人にとってもテーマを分かりやすくするために、現行のものにしました。ちなみに、『スケッチブック/SKITBOOK』のコントには全て英語字幕と聴覚障害者の為に日本語字幕がついており、現在は知人に頼んで中国語字幕も作ってもらっています。ん〜ユニバーサル!

ヘイト・ユー・ギブ (字幕版)

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  • 発売日: 2019/03/13
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*1:が、一見社会性がなさそうな初回も実はコロナ禍でブームとなったリモート飲み会、前回もトキシック・マスキュリニティを盛り込んで世相をいれるようには意識しました。

明日、というか今日『SKITBOOK』第3弾公開!

 今まさに編集に明け暮れていたらこんな時間になってしまったのですが、明日というか今日の午前中くらいには『SKITBOOK』新作スケッチを公開するつもりです。基本的に今は毎月第1、第2土曜日の午前中という隔週ペースでスケッチを公開する予定ですので、皆さん楽しみにしていてください。そのうち慣れて来たら週1ペースくらいにしたいですね。

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