Taiyakiが選ぶ、SF映画ベストテン

 ワッシュさん(@washburn1975)のブログ、「男の魂に火をつけろ!」の年末恒例ベストテン企画に今年も参加しようと思います。

 
 今年のテーマは「SF映画ベストテン」。やった!
 
 初めて参加した2011年の「スポーツ映画ベストテン」、2012年の「ホラー映画ベストテン」は、両方とも当時そのジャンルに疎く、鑑賞本数が少な過ぎて10本選ぶのが大変でしたが、SFは比較的好きなジャンルの一つですので、今年は選びたい放題!
 
 …と喜んだのも束の間、大好きな映画がたくさんある中で、10本に絞る方が困難な作業でした。作ってみては「あ、あれもあった!」と修正を繰り返し、泣いて馬謖を斬る思いを幾度としながらなんとか選んでみました。去年、一昨年と比べれば楽しい悩みなんですけどね。
 
 今回10本の映画を選出するにあたり、いくつかのルールを自分で勝手に定めました。自分は案外マメな性格で、これまで鑑賞した映画をYahoo!映画IMDbの両アカウントに記録しているのですが、そのうちソート機能があるIMDbの方でまず「Genre : Sci-Fic」で絞り、さらにその中から、
  • 同一シリーズからは一作品のみ。(そうでないとランキングの半分以上が『スター・ウォーズ』で埋まってしまう。)
  • 同監督作からも一本のみ。(スピルバーグとかキャメロンとかリドリー・スコットとか、SF撮った監督は結構代表作にSFが多いので。)
  • アメコミヒーロー映画はSFとしない。(これも含んじゃうと『スパイダーマン』とか『アベンジャーズ』までSFに含まれてしまい、大変なので。)
という縛りを決めて選出しました。それでもベストテン選びは大変でした…。
 
 以上を踏まえた上で、極私的SFベストテンを発表いたします!

 

【Taiyakiが選ぶSF映画ベストテン】

 

①『スター・ウォーズ』 1977年、ジョージ・ルーカス監督
①『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 1985年、ロバート・ゼメキス監督
③『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』 1999年、細田守監督
④『WALL・E』 2008年、アンドリュー・スタントン監督
⑤『宇宙戦争』 2005年、スティーブン・スピルバーグ監督
⑥『宇宙人ポール』 2011年、グレッグ・モットーラ監督
⑦『復活の日』1980年、深作欣二監督
⑧『トゥモロー・ワールド』 2006年、アルフォンソ・キュアロン監督
⑨『26世紀青年』2006年、マイク・ジャッジ監督
⑩『ロボット』2010年、シャンカール監督

 

【解説】

 
 まずいきなりですが①、すみません一つに絞ることができませんでした…。両方ともSF映画ベストテンというよりはもはやオールタイムベスト、っつーかそもそも殿堂入り作品となっておりまして、優劣を決めることができませんでした。どちらも物心つく前から何度も何度も観てきた*1作品なので、今や血肉の一部となっております。そんな作品を選ぶのはズルいので今回入れるか迷いましたが、やっぱりこの二本が入ってないと落ち着かないので、今回ダブル1位と致しました。
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 飛んで③は、僕らの世代となると思い出の映画なのかもしれませんが、実は僕がこの作品を初めて観たのは高校一年の夏休みでした。暇つぶしになんとなく見たのですが、これが大変面白くて面白くて衝撃を受けました。子供向けアニメである『デジモン』を題材にしているのにも関わらず、練られた脚本や構成、洗練された演出に魅了されました。以来僕のオールタイムベストアニメとなります。『ぼくらのウォーゲーム』は当時危惧されていた2000年問題を扱った作品でもあり、これを翻案したのが『サマーウォーズ』ですが、『デジモン』というフランチャイズの縛りでデジタル社会の暴走を描いた本作の方に軍配があがります。 
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 ④もアニメになりますが、公開当時弟と観に行って二人して感動したのを覚えています。当時止まらぬ勢いを見せていたPIXARの表現力の高さに脱帽しました。会話が一切なく、地球に残されたウォーリーがひたすら可笑しくも哀しく働き続ける冒頭の30分が大変話題となりました。ウォーリーが宇宙船にしがみついて宇宙を浮遊するシーンも美しく、センス・オブ・ワンダーに溢れた作品でした。同じアンドリュー・スタントンが監督したSF巨編『ジョン・カーター』にも期待が高まっていたのですが、凡作だったのは非常に残念でした。
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 ⑤は大好きなスピルバーグ作品から一本。スピルバーグは『E.T.』、『未知との遭遇』、『ジュラシック・パーク』など、映画史に残るSFを一人で量産している化け物なのでどの一本にしようか迷いました*2が、今回は観客に徹底的に絶望感を与えた『宇宙戦争』を選びました。以前も書きましたが、『宇宙戦争』はこれまでのスピルバーグ作品の集大成のような作りになっており、作家としてのスピルバーグを語る上でも外せない作品となっています。ところで『E.T.』を撮った人間が『宇宙戦争』を撮り、さらにその後『クリスタルスカルの王国』を撮っている*3という事実は、もはやスピルバーグ自身が宇宙人だろと思わざるを得ません。
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 そのスピルバーグ作品への愛を見せたのが⑥です。オタク俳優サイモン・ペグとニック・フロストが書いた脚本は数々のSF映画のサンプリングで構成されており*4、ある意味このSF映画ベストテンに最も相応しい作品とも言えます。キリスト系保守という、アメリカの暗部を描いた作品でもあります。個人の思い出で言えば、したまちコメディ映画祭での秘宝まつりという鑑賞環境も素晴らしく、観客全員で手を叩きツッコミながら鑑賞したのは今までの中で最高の劇場体験でした。更に、大好きなセス・ローゲンにハマった記念すべき作品です。ちなみにこの映画が公開された2011年は『タンタンの冒険』と『戦火の馬』が公開され、スピルバーグフィーチャーの作品やスピルバーグプロデュース作品が続々と公開し、一種のスピルバーグ祭りのような一年だったと記憶しています。 
 小松左京原作、深作欣二御大の⑦は、新種のウィルスによりほとんどの人類が死滅、南極基地にいる数少ない生き残りが人類再建を目指すという、邦画とは思えぬスケールに度肝を抜かされます。台詞はほぼ英語、俳優も主演を除いてほぼ海外キャストで構成されています。製作費が巨額過ぎて赤字だったらしいですが、今観るとその潤沢な画に惹きつけられること必至です。ちなみに邦画からはさらに長谷川和彦の名作中の名作『太陽を盗んだ男』と迷いましたが、でも太陽を盗んだ男』ってSFだっけ?という点で悩み、外しました。
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 最近観たばかりの⑧には震えが止まりませんでした。公開からだいぶ時間が経っていますし、観た人全員が言及しているので今更触れるのも憚られますが、それでも驚異の長回し撮影を賞賛せずにはいられません。現代の社会問題を反映した世界観もSFとして素晴らしい。ちなみに今回ベストテンの投票が遅くなってしまったのはキュアロン監督の最新作『ゼロ・グラビティ』を待っていたためですが、こちらも2010年代を代表する大傑作だったものの、「SF」というジャンルに分けるのはちょっと違うかな、と思って今回は除外しました。
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映画『ゼロ・グラビティ』予告5【HD】 2013年12月13日公開 - YouTube 

 
 酷すぎる邦題で必ず例としてあがる⑨(原題"Idiocracy")はシニカルなSFコメディ。バカだなぁーと、ただ笑ってるだけなら楽しいですが、恐ろしいのは「何故500年で人類がバカになったか」を説明する冒頭に妙なリアリティがあることです。人に紹介すると題名だけで一笑に付されてしまいますが、傑作として自信を持ってオススメします。低予算をアイディアで補うオーソドックスな作りも素晴らしい。ちなみにテーマと設定は『WALL・E』と非常に似通っています。
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 最後に⑩は初めてインド映画、及びラジニカーント様に出会えた記念すべき作品。腹がよじれるほど暴れまくった癖に、シミジミとさせるあのラストはズルい…。「えー!?」って声が聞こえてきそうですが、『ロボット』はバカ映画ではなくセンス・オブ・ワンダー溢れる傑作ですよ!
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【総括】

 以上私的SF映画ベストテンでした。思った以上に自分の性格や個性の出てる10本になったんじゃないでしょうか。ワッシュさんのベストテン企画に参加してから最も満足のいく結果となりました。
 
 例によって絶対的な鑑賞作品数が少ないので、世間的に大傑作と評される作品を多数まだ観てなかったりするのですが、しかし本数を観てれば観てるほどまた選ぶのが困難になってくるので、今回はこのくらいがちょうど良かったと思います。ちなみに、ベストテンに入りきれなかった次点の作品は以下の通りになります。(順不同)
 
 なんか全体的に2000年代以降の作品が多いですね。育った世代的に仕方が無いかもしれませんが。
 
 ちなみにこの手のベストテンで必ず上位を独占する『2001年宇宙の旅』『ブレードランナー』は実はそこまで好きな作品じゃなかったりします。
 

【関連】

*1:最近知ったのだが、僕が初めての子どもなので親は教育方法が分からず、とにかくひたすらビデオを見せていたそうな。言葉を喋る前に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のテーマ曲を歌っていたハイハイして勝手にビデオを再生していたという伝説がある。…って本当かよ!というかもっとアニメとか見せるべきじゃないのか?まぁ、結果大変ありがたいですけども。

*2:ちなみに5か月前に「偏愛!全スピルバーグ作品ひとり総選挙!」という記事を書いたときは、この中で一番高かったのは『ジュラシック・パーク』でした。

*3:何度も言いますが、僕は『クリスタルスカル』擁護派ですよ!皆、言いたいことは分かるが許してやってくれ!

*4:その意味では「SF版『ホット・ファズ』」とも評される本作ですが、個人的には映画の趣味が合致した『宇宙人ポール』の方が断然好きです。