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仁義なき戦いを通してオトナになれ!/『ネイバーズ』★★★

感想 映画

 初めて僕が本作の予告編を見たのは2013年9月3日のこと。その後去年TBSラジオ「たまむすび」でも紹介され、その際町山さんは「日本公開も決まってます」と言っていたが、その後中々続報を聞くことがなかった。結局、今年の3月4日にDVDリリースが決定し、それに先駆けて全国5館のユナイテッドシネマ系列で1月24日から30日までの限定公開という形になった。まあ、いろいろと思うところはあるけれども、ひとまず小規模ながら劇場公開が実現したので良しとしよう。


町山智浩が映画『ネイバーズ』を語る - YouTube

 

 主演はオレたちのブロマンス兄貴セス・ローゲンと『ブライズメイズ』に出てたローズ・バーン、そしてアイドル俳優ザック・エフロン(!)。デイヴ・フランコクリストファー・ミンツ=プラッセといったコメディファンお馴染みの役者が脇を固める。監督は『寝取られ男のラブ♂バカンス』や『憧れのウェディング・ベル』で苦いラブコメを撮ってきた二コラス・ストーラー。

 

 マック(セス・ローゲン)とケリー(ローズ・バーン)は新婚カップル。可愛い娘を授かったばかりで憧れのマイホームも手に入れ、幸せな結婚生活を送っていた。ある日、隣の空き家にテッド(ザック・エフロン)が会長を務める大学のフラタニティが引っ越してきた。夫婦が挨拶するとテッドは笑顔が素敵な好青年だったので家に戻る。しかし夜になると連日パーティ・ロックが鳴り響く。注意をすると嫌がらせをされるばかりなので、ならばこっちも嫌がらせで対抗だ!と隣人間の仁義なき抗争は徐々にヒートアップしていく… f:id:HKtaiyaki:20150124163357p:plain

 今回のセス・ローゲンいつものボンクラ独身男性ではなく家庭持ちの会社員ということで、今書いた粗筋のように単なる大学生との抗争を最高にバカバカしく描いているだけかと思っていた。確かに敷地を跨いだ大人気ないバトルは本当にくっだらなくて終始抱腹絶倒だったんだけど、セス・ローゲンは盟友エヴァン・ゴールドヴァーグと共に本作のプロデューサーを務めている。ブロマンス界を背負う二人が関わっているだけあり、単なるバカ映画で終わるはずが無かった!

 

 マックとケリーは一見幸せそうだが、ある悩みを抱えていた。子どもができてからというものの親としての責任に縛られ、以前のように自由に遊べなくなってしまった。友達にパーティーに誘われても断らなきゃいけないし、どこで歩くにしろベビーモニターを持ち歩かなきゃいけない。そんな中、隣にはた迷惑な学生集団が引っ越してくるが、酒やり放題薬やり放題な彼らに若干の羨ましさを感じてしまう。この夫婦はまだオトナになる覚悟ができていない。

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 一方、この映画の影の主役となるのが学生たち。彼らは自由を謳歌していて、特にリーダーのテッドはこのフラタニティを誇りに思い、年度末パーティで伝説を作り殿堂入りとして寮に写真を飾られるのが入学当初からの夢。学業なんかそっちのけで成績も悪く就活も絶望的。なのに、テッドは親友だと思っていたはずのピート(デイヴ・フランコ)が最近将来を見据えて就活してるのが面白くない。でもピートは親友なだけあってテッドのことはすべて見透かしていた。

お前、将来が不安なだけだろ?

 テッドがいい歳こいてガキ臭い嫌がらせを隣人に仕掛けるのは、自分もいつかマックみたいな平凡なオトナなってしまうのが怖いからだったのだ。『ネイバーズ』の主人公はあくまでマック&ケリー夫婦のため、本作のブロマンス・ドラマの中心はテッドとピートが担っている。とあるシーンでテッドとピートがお互いに「愛してるぜ!」って叫ぶ場面では思わず泣きそうになってしまった。

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 セス・ローゲンエヴァン・ゴールドヴァーグの出世作となった『スーパーバッド』は彼らの自伝的作品であるのにもかかわらず、セスとエヴァンの分身はジョナ・ヒルマイケル・セラに任せた。あの作品でも少年たちはお互いに「愛してるぜ!」と告白し、オトナになっていく。セスの役目はフォーゲル(クリストファー・ミンツ=プラッセ)に「オトナってのも悪くないぜ」と教える素敵な警察官の役だった。

 

 そして『ネイバーズ』でも果てしなく稚拙で過激な戦いを通して、テッドとピートはオトナの階段を上っていく。一方、マックとケリーも遊びやパーティよりも大切なものがあることに気づき、ようやくオトナとしての覚悟を決める。セスとエヴァンだけでは男女の成長は描けなかったので、その辺の妙は二コラス・ストーラーの手腕といえよう。ちなみにストーラーは、本作の脚本を書いたアンドリュー・ジェイ=コーエンとブレンダン・オブライエンが20代から30代の成人期に感じた恐怖からインスピレーションを得たという。*1

 

 数ヶ月後、街でマックとテッドは再開するが、オトナになった彼らはもう喧嘩しない。代わりに笑顔を交わして仲直りをするのだ。裸で。


ネイバーズ -Bad Neighbours- - YouTube

 

『ネイバーズ』は最初に述べた通り全国5館だけでの1週間限定上映なのでお見逃しなく!

 

ネイバーズ 無修正バージョン [DVD]

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