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インド人ゾンビ初遭遇!/『インド・オブ・ザ・デッド』★★☆

感想 映画

 ハジけた公式ツイッターが話題の『インド・オブ・ザ・デッド』をヒューマントラスト渋谷で最終日に鑑賞。ヒューマントラスト渋谷での上映は一週間限定だったが、この度シネマート新宿とシネ・リーヴル梅田にて4/4より1週間限定レイトショーが決定!先に言っておくが、かなりお勧めの作品なので渋谷での上映を見逃してしまった人は必ず足を運ぶこと!

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 デリーで同棲しているボンクラ三人組、ラヴ、ハルディク、バニー。彼らは酒・タバコ・マリファナ三昧の自堕落な生活を送っていたが、彼女に振られたラヴ、仕事をクビになったハルディクは心機一転を試みて、バニーの出張について行ってゴアへ向かう。ラヴはそこで美女・ラナと出会い、ロシアンマフィアが主催する離島でのパーティの存在を教えてもらう。「ロシア女を抱けるぞ!」と意気揚々のハルディックとともにプレゼンを控えるバニーをなんとか説得し、離島でのパーティを楽しむ三人だったが、翌朝二日酔いで目をさますとゾンビに取り囲まれているのであった!
 
 ゾンビが主人公たちを襲っても、彼らにはピンとこない。何故ならインドにゾンビはいないから。主な理由は二つあり、まずはインドには厳しい表現規制があること。例えばインド映画では性的な描写は強く規制され、キスすら描くことは許されない。*1もちろん暴力描写にも規制がかかるため、インドのホラー映画は必然的に流血シーンが少ない幽霊モノや超自然モノが多かった。
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 もう一つの理由は、これは日本でゾンビ映画が流行らない理由とも繋がるが、インドの葬式は火葬がメインであることだ。ゾンビ映画といえば地面から腕が飛び出すビジュアルが強烈だが、これはキリスト教圏では土葬が主流であるためで、ゾンビは腐った体で地面から這いずり出てくる。しかし輪廻転生を唱えるヒンドゥー教では魂が重要とされるので、遺体は焼いて遺灰を聖なるガンジス川に流してしまうから、そもそも腐る体がない!だから本作でゾンビが現れても「ここはインドなのに?」とまるで外来生物程度の認識しかないのである。*2
 
 このようにインド人にとってゾンビは分からないことだらけなはずなのに、本作は既存のロメロ作品などのゾンビ映画を研究し尽くしているのが素晴らしい。あらすじからも分かる通りコメディベースとはなっているものの、よくある日本のアイドルが主演しているなんちゃってゾンビ映画と違い、ゾンビの特殊メイクや身体損壊描写がちゃんと怖い。前述の規制をくぐり抜けるためか少しカメラを揺らしすぎているきらいはあるものの、それでもその規制の中これだけの内臓をぶちまけられたことに感心してしまう。ゾンビと対峙した際の絶望感もしっかりと描かれている。なお、中盤には『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を彷彿とさせる籠城シーンもある!

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  と、こう書くと「え、怖いのはちょっと…」と遠慮してしまう人が出てくるかもしれないが、コメディベースと書いたように劇場では終始笑いの渦が巻き起こっていたので安心してほしい。特に後半で明らかになる仰天のゾンビ対策は必見!僕は『ロボット』からマサラムービーのファンになったが、本当にインド映画のこういったぶっ飛んだギャグセンスが大好きだ。腹を抱えながらもリゾート地ゴアにおけるロシア人事情やインドの若者の間で流行るドラッグ問題が映画を通して学べた気になるのでオススメ。インド映画らしくオリジナル楽曲も楽しい祭りのような映画体験、見逃すのはもったいないので是非劇場へ!
 
Let's Kill Dead People!!!

*1:とはいえ、最近はハリウッドの影響でキスシーンのあるボリウッド映画は珍しくなくなってきた。

*2:なお、本作においてゾンビの発生原因は新開発のドラッグによる感染、というのも「ゾンビ映画後進国」らしいアイディア。「グローバリゼーションのせいか!」ってのは笑った。