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Taiyaki生きてます通信/通ってる大学でスクールシューティング未遂事件が起きた。

日常 アメリカ Taiyaki生きてます通信

 今日の昼のことだが、通ってる大学に爆発物と銃で武装した男が侵入し、CNNの速報も流れて全国的なニュースになった。もちろん大学も大騒ぎだったのは言うまでもない。

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  その時、期末試験期間だったので大勢の生徒が図書館で勉強しており、僕もそのうちの一人だった。ふと試験会場に移動しようと思った折に、図書館内にアナウンスが流れた。

「学生会館で発砲事件が発生。容疑者は警察と応戦中とのこと。学生は学生会館には決して近づかず、近くの建物でロックダウン(閉じこもる)すること」

 実際にはこれは情報の伝達ミスで、容疑者は銃弾を一発も撃っていなかったのだが、このアナウンスには震え上がった。現場から少し離れているとはいえ図書館内は軽いパニックで、そのうち一人の女子生徒がこんなことを言い出した。

「ロックダウンって、どうやってアタシの銃を取りに行けばいいのよ?」

 それを聞いて本当にアメリカという国が持つ病は深刻だと思った。

 

南部と銃

 僕が留学している大学はアーカンソー州という南部にあり、所謂バイブルベルトに所属していてかなり保守的な州だ。もちろん全米ライフル協会の影響も強く、銃支持者がとても多い。一回友達の家に行った時に自慢げにライフルを見せられた時もある。彼は17歳の誕生日に銃を父親からもらったというが、まんま『6歳の僕が、大人になるまで』で描かれていた通りだ。南部の男にとって銃をもらうことは大人として認められた印で誇らしいことなのだ。

 

 大学の授業でも銃の話題は欠かさない。大統領選も近いということで銃規制はディスカッションのトピックになりがちだが、圧倒的に多いのは銃支持者。彼らの意見を聞いてるとなぜ銃規制に反対派が多いのかが見えてくる。

 

 まず南部では狩猟がスポーツとして楽しまれている。渡米したばかりの頃ウォルマートでライフルが普通に売られていてびっくりしたが、スポーツコーナーに野球のバットやトレーニングウェアなんかと一緒に置いてある。彼らにとって、まず銃は人を傷つける凶器以前に娯楽なのだ。

 

 そして当然護身のため。毒をもって毒を制すというわけだ。ちょうど先週カリフォルニアで銃乱射が起きた時に銃の売れ行きが増えたという。どんなに痛ましい事件が起きても銃支持者にとってそれは銃規制に対する反論の材料にしかならないのだ。「銃があれば防げた!」と、皆口をそろえていう。

 

 だが実際に銃があれば防げるのか?『マイノリティ・リポート』じゃあるまいし、犯罪者は天気と違っていつ来るか予想できない。今日だって生徒はただただパニックになって逃げ惑っていただけだ。心の準備もできてない段階でたまたま銃を持っていたからって、銃使用者と対抗できるとはとても思えない。恐怖心の方が勝るだろう。やはり米国を安全な社会にするにはそもそも銃を仕入れにくくなるよう銃規制を進めていくしかない。と言っても、銃支持者は聞く耳を持たないし、多分今後も変わることはないだろう。一緒に図書館にいた友達が僕に苦笑いをしてこう言った。「アメリカへようこそ

 

イスラムへのヘイト

 とりあえず情報を求め、友達とずっと窓にへばりついて外の様子を見たり*1Facebookをチェックしていたら、今回の事件をISISイスラム教徒と結びつける人が多くて驚いた。日本人にもいてガッカリ。実際、パリやカリフォルニアの事件以降イスラム関連の話題については敏感になっている。留学してムスリムの友達もたくさん出来たが、授業でテロの話題とかになると肩身の狭そうな表情を浮かべている。

 

 授業を取っているうちに仲良くなった教授がいて、たまに朝ごはんをおごってもらったりしてもらうのだが、この間オフィスに遊びに行ったらシリア難民やテロの話題となっていた。しかし、その際教授が「ジョーンズボロにもモスクがあるから心配だわ」と言っていて悲しくなった。その教授は英語の論文の書き方を教えている教授で、留学生にも優しく接してくれる優しい教授な分落胆は大きかった*2。「それイスラムホビアじゃないですか?」って指摘すると慌てて訂正していたが、思わず本音がポロリと出てしまったんだろう。

 

 ただ、今回の事件を「ISISじゃないのか!?」と言っている人たちのオツムの弱さには本当にくらくらする。世界中を敵に回してるISISはこんなクソ田舎町を銃撃するほど暇じゃねーよ!そしてムスリムを叩く前にアメリカで起きる銃乱射事件がどれだけキリスト教徒の銃マニアで人種差別主義者の変態どもによって引き起こされているか、よく考えて欲しい。

 

事件の顛末

 容疑者はブラッド・バーレットという自殺志願者の白人男性で、この大学の卒業生だった。Facebookを見ると妻とも別居中で、書類に関して大学とトラブっていたそうだ。上の写真を見ればわかる通り、学生会館前の芝生にトラックを止めていたので不審に思ったキャンパスポリス*3が声をかけたらブラッドがショットガンを取り出したそうだ。第一発見者が警察官じゃなかったら、と思うとぞっとする。

 

 初動が早かったので容疑者はすぐに取り押さえられたが、トラックにはガソリン缶とプロパンガスが積まれており、その処理に時間がかかってしばらく退避命令が下された。死傷者が一人も出なかったとはいえ、警察官や州兵が続々と到着するのを見ているのは恐ろしく、まるで映画のようですらあった。

 

 一方で友人と試験を受ける予定だった講義の教授のTwitterを見ていたら期末試験は中止になったとのこと。イエー!と喜んだのもつかの間、今日中止となった試験は来週の水曜日やるとよ。犯人のやつに冬休み最初の数日を殺されちゃったよ!


Arkansas State University: Armed man on campus

 

 

 

*1:本当は絶対にいけません。あとで州兵の人に叱られました。

*2:まあ、バリバリな共和党支持者だけれども…

*3:大学に常駐している警察官。大学に警察が常駐しないといけないという状況がそもそも病的かもしれない