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2015年コメディ映画ベストテン

 季節柄今年のベストを選んでいるんですけれども、今年の映画界の盛り上がりはすごかった。今年はベスト10どころか20くらいまで選ぼうかとも思ってるんだけれども、それでも漏れてしまう作品が多くて泣きそうになる。特に今年はアメリカにいるということで、念願のコメディ映画をたくさん観れたし、どのコメディ映画も傑作・良作揃いだった。アメリカン・コメディは日本では不遇の扱いを受けがちなので、年末のベストテンに先駆けて今回はコメディ映画に限定した今年のベストテンを紹介していきたい。

 

 あ、今年のベストテン自体は日本時間の12月31日の昼頃に公開できればと思ってます。

【特記事項】

  • 2015年劇場公開作品のうち、僕が12月26日までに観た映画が対象。リバイバル上映・名画座上映は対象外。一つだけ例外あり。
  • 星取表やTwitterに載せた★の数と矛盾している時もありますが、いつもその時々の気分により左右されるのでご了承ください。

【2015年コメディ映画ベストテン】

  1. Trainwreck
  2. キングスマン
  3. アントマン
  4. SPY
  5. The Night Before
  6. 愛しのグランマ
  7. ウルトラ・エージェント
  8. お!バカんす家族
  9. Daddy's Home
  10. マスター・オブ・ゼロ(Netflixのドラマシリーズ)

【解説】

 ①は「プレイボーイが一人の女に恋して一途になり…」というよくあるラブコメ設定を男女逆転させたジャド・アパトー御大の新作。そして実は主演のエイミー・シューマーが自分の半生を脚本化したものでもある。ジャド・アパトーはこれまで私的な映画ばかり撮ってきたので、他人の人生を映画化したらどうなるか見ものだったが、見事な傑作に仕上がっておりこれで監督として更に一皮むけた感がある。「一夫一妻制は現実的ではない」とダメ親父に教え育てられてきたエイミーがビル・ヘイダー演じるアーロンと出会うことで人生観まで変わっていき、それが昇華するクライマックスでは爆笑しながら涙が出てきた。いつもとは違って真面目な演技を見せるビル・ヘイダーNBA選手のレブロン・ジェームズの自然体な演技も思わぬ拾い物だった。


Trainwreck - Official International Trailer (Universal Pictures)

 

 「コメディ映画」としてのトップは①に譲ったけど、②、③も映画としては年末ベストテンに入るくらい素晴らしい出来だった。見てる人も多いと思うので詳しくは書かないけど、特に③は監督、脚本から出演者までコメディ界隈で固めておきながら、ちゃんとマーベル映画となっているのは素晴らしい。②は言わずもがな教会のシーンと花火のシーンが素晴らしい。

 
映画『キングスマン』本編映像

 
「アントマン」MovieNEX予告編

 

 ④は、これまでブロマンス映画を『ブライズメイズ』で、バディコップ映画を『デンジャラス・バディ』で女性版に換骨奪胎してきたポール・フェイグ×メリッサ・マッカシーによる最新作で、今度はスパイ映画を女性版に作り上げた!オープニングからして明らさまなボンド映画のパロディだが、デスクワークを押し付けられてきたマニーペニーがボンドに代わって奮闘するような映画となっている。スパイ映画ブームの年に忘れてはいけない一作品で、このまま同コンビによる女性版『ゴーストバスターズ』にも期待が持てそう。


Spy Movie CLIP - Weird Gadgets (2015) - Melissa McCarthy, Rose Byrne Comedy HD

 

SPY

SPY

 

 

 ⑤は『50/50』の製作陣が送るクリスマス・コメディ。ジョセフ=ゴードン・レビット、セス・ローゲンアンソニー・マッキーによるブロマンス濃度の高い映画だが、ブロマンスからの卒業がテーマの作品。テーマ的にはセスの出世作『スーパーバッド』とにているが、大人になることを描いた『スーパーバッド』と違い、大人であることの辛さや責任感をいつも通り下品にバカバカしく、しかしわざとらしく古典的なクリスマス映画のフォーマットで描く。セス・ローゲン映画ということで、もちろんあの人がカメオ出演してるよ!


THE NIGHT BEFORE - In Cinemas December 3 - Official US Trailer

 

 ⑥は『アメリカン・パイ』シリーズのポール・ワイツのインデペンデント映画。破産したレズビアンだが気の強い詩人のお婆ちゃんの元に、妊娠した女子高生の孫娘が中絶費用をねだりにくるという中々ロックな内容で、お婆ちゃんと孫娘のウーマンス映画にもなっている。無責任な若者の妊娠と中絶という題材をあまりシリアスになりすぎないように、かといって決して軽く扱わないバランス感覚が絶妙で、78分という短い尺の中でお婆ちゃんの過去や葛藤がだんだん明らかになってくるという脚本構成が見事。気が付いたら『愛しのグランマ』と言うタイトルでDVDスルー予定になっていた。


GRANDMA Movie Trailer Comedy 2015

 

 ⑦は所謂「なめてた相手が実は殺人マシーンだった」映画の一つだが、新しいのはマリファナ大好きな主人公自身が自分が殺人マシーンだと気がついていなかった!という設定。独特な構図やゆるい笑いに対して過激なバイオレンスとヘンテコな作りで、ジェームズ・ガンの『スーパー!』を思わせる。これは絶対カルト化するので色んな人に見て欲しいが、日本公開も無事に決まったそうなので是非!中盤の長回しのアクションシーンは必見。


1/23公開!映画『エージェント・ウルトラ』予告編

 

 ⑧は元々は『アニマル・ハウス』でお馴染みのナショナル・ランプーンによる『ホリデー・ロード4000キロ』シリーズの最新作らしいが、僕は他のシリーズ作品は未見。といっても、リブート的な内容なので一見さんにも優しい映画となっているし、事実僕もすごく楽しかった。エド・ヘルムス演じるパパさんが、家族サービスのためにシカゴからLAまで、ワリー・ランド(もちろんディズニーランドのパロディ)を目指して家族を連れてドライブするコメディだが、そのあまりの珍道中っぷりに腹がよじれるほど笑った。行く先々で多種多様な出来事に遭遇するのは、地域によってまるで異なる様相を見せる広大な土地を持つアメリカだからこそ。雷神ソーことクリス・ヘムワーズがとんでもない巨根を持つ男として出てるのでファンは必見!


映画『お!バカんす家族』予告編

お! バカんす家族 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

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 ⑨はつい先日見たばかりのウィル・フェレル×マーク・ウォルバーグの『アザーガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』コンビが再びタッグを組んだバカコメディ。お父さんになることが夢だったタネなしのW・フェレルが二人の子持ちの美女と結婚し、ついに念願のパパとなるが、子供達には名前で呼ばれるし、娘が描く家族の絵では毎回死体で登場するし、全く懐かれていない。そんなところにワイルドすぎる元パパのM・ウォルバーグが訪れてきて、W・フェレルとの間に仁義なき主導権争いが勃発する!コメディ映画はボケ×ツッコミではなく、ボケ×巻き込まれ役だと思っているのだが、『アザーガイズ』と違って今回のW・フェレルは巻き込まれ役で、その哀れっぷりがアホみたいに面白い。ちなみに『アザーガイズ』の監督だったアッダム・マッケイは本作のプロデューサーを務めており、③の脚本を書いたり『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を監督したりと、アダム・マッケイは2015年に大活躍だった。


Daddy's Home Movie - Official Trailer

 

 ⑩は映画ではないが、傑作コメディドラマシリーズだったので紹介したい。ジャド・アパトー一家にアジズ・アンサリという人気インド系コメディアンがいるが、アジズが自分の半生をドラマ化したものが⑩となっている。NYで暮らすインド系俳優のデフが、ステレオタイプと戦ったり女性に悩まされる日々をユーモラスたっぷりに描く。アジズは私生活で料理人のコートニー・マクブルームと付き合っていて、コートニーの影響でフェミニストになったと語っており、それが作品のテーマの一部にも反映されている。「なぜ一つのドラマにインド系俳優は二人出てはいけないのか?白人はいっぱいいるのに?」とアジズらしい鋭い指摘もあり、逆にドラマ内でレギュラーの白人はデフのボンクラ友達を演じるエリック・ウェアハイムとデフの恋人のノエル・ウェルズだけ、というのも面白い。アジズは脚本・プロデュース・出演だけでなく、二話ほど自らメガホンを握っており、その多彩さに驚かされる。Netflixには他にもアジズのスタンダップコメディライブショーなども置いてあるので、こちらも要チェック。


マスター・オブ・ゼロ 予告編 - Netflix[HD]

 

 最後はNetflix作品でしめてしまったけれど、劇場で観るコメディほど楽しいものはない*1のでもっと日本映画界でアメリカン・コメディの扱いがよくなればいいなぁ…。それでは明日発表予定の年末ベストテンの方もお楽しみに!

*1:アメリカの観客の反応はダイレクトで気持ちがいい。マナーは悪いけど