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デッドプールはある朝突然に/『デッドプール』★★★

映画 感想

 『X-MEN』シリーズ最新作『デッドプール』を前夜祭興行で鑑賞。監督はこれがデビュー作のティム・ミラー、製作・主演は『ウルヴァリンX-MEN ZERO』グリーン・ランタンライアン・レイノルズ、共演にモリーナ・バッカリン、エド・スクライン、TJミラー、ジーナ・カラーノ。音楽はジャンキーXXLことトム・ホーケンバーグが作曲。

※予告編以上のストーリー上のネタバレはありません。

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  傭兵ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は高級娼婦のヴァネッサ・カーライル(モリーナ・バッカリン)と恋に落ち、プロポーズまで果たすが癌により倒れてしまう。絶望にくれるウェイドだったが、友人のウィーゼル(TJミラー)が経営するバーでスーツを着た謎の男(ジェド・リース)から治療と引き換えに人体実験の被験者となる依頼を受ける。一縷の望みを得たウェイドだったが、実態は施設に閉じ込められミュータント兵士を作り出すことを目的としたアジャックス/フランシス(エド・スクライン)による拷問のような実験を受けるばかりであった。遂に驚異の回復能力と不死の体を覚醒させたが、癌細胞の暴走により全身が醜い容姿に変化してしまう。なんとか施設から脱走したウェイドはデッドプールと名乗り、自分の体を変えたフランシスに復讐を誓うのであった。

 

 デッドプールはマーベルコミックスの中でも一二を争う人気のヒーローである*1。特異なのは所謂「第四の壁」を平気で破るそのメタ的な能力であるが、そんなデッドプールを今度こそ映画化した結果、革命的な映画が出来上がってしまった。あまりの衝撃と面白さに僕は二夜連続で見に行ってしまったほどだ。

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 なにせ、オープニングクレジットからポストクレジットまで、文字通り最初から最後までフザケ倒していて遊びに満ち溢れている。過去の失敗(※『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』のアレ)やX-MEN』シリーズの時系列のややこしさは当然笑い飛ばすし、他社作品のグリーン・ランタン』ですらネタにする。デッドプールの常識はずれの能力はギャグだけでなく、退屈になりがちなヒーロー誕生譚にリズムを与えている上、『美女と野獣』『オペラ座の怪人』やティム・バートン映画のような「異形の者」の哀愁を逆に浮き彫りするのに大変効果を与えている。

 

 映画化には苦節12年かかっており、それだけに企画に携わり続けたライアン・レイノルズの嬉しさと楽しさがまるでデッドプールが観客に語りかけてくるが如く伝わってくる。しかし『デッドプール』はその撮影の舞台裏とR指定作品のために、実は予算もこの手の大作にしては少ない。そんな事情も反映されてしまっていてアクションシーンやロケ地の変化が思いの外少なかったり、登場するX-MENメンバーも二人だけだったり、悪役のキャラが薄かったり、ぶっちゃけ不満がないわけでもない。

 

 しかしそんな時もデッドプールは陽気に「スタジオが金を出さなかったからね」とネタ化してしまうので許せてしまう。とんでもなくズルいキャラだが、それが面白いんだから仕方ない。映画の欠点すらも食ってしまう恐ろしいヒーローが生まれてしまった。

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 デッドプールはヒーローすら超越した神のような存在だが、そんなヒーローが映画史上にもう一人いて、それは『フェリスはある朝突然に』のフェリスだ。そして『デッドプール』を観る前に原作コミックを読むよりも必ず『フェリスはある朝突然に』を観てほしい。そのわけは是非とも劇場で!

 

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*1:本当に待ち望まれた実写化だったようで、映画を見ない友達でも皆「絶対に観に行きたい!」と言っていたし、僕が観に行った二日間とも恐ろしいほど列をなしていた。事実、2月の興行収入記録どころか『X-MEN』シリーズの最高興行収入記録を作りそうな勢いである。