マイノリティのコメディアンが面白い。

 最近友達にKTタタラという日系コメディアンを教えてもらった。


↑この動画はタタラが初めて日本に行った時に日本人たちのあまりの礼儀正しさに驚いた、というネタ。他にも自らのアジア系の出自をネタにしたものもある。

 

 マイノリティのコメディアンで今一番人気があるのはアジズ・アンサリだろうか。彼は日本公開作品では『ピザボーイ 史上最凶の注文』が有名(僕は未見)。個人的には『オブザーブ・アンド・リポート』でセス・ローゲンとの「Fuck you」の応酬が印象深い。

 アジズもステージではインド系である自らの出自や周りからの偏見や差別、マイノリティの問題を笑いに変える社会派なネタを披露する。それらのネタは彼が脚本・主演・製作総指揮を務めたNetflixシリーズ『マスターズ・オブ・ゼロ』にも反映されている。

 

 同じくインド系の人気コメディアンはラッセル・ピーターズ。ラッセルはキツい毒舌ネタで、観客の人種すらもいじり倒す。彼自身がマイノリティだからこそできる芸風だ。

 

 もう一人教えてもらったのは南アフリカ出身のトレヴァー・ノア。彼は父親がスイス人の白人で、母親は黒人のハーフ。彼の両親はアパルトヘイト時代に結婚したので、トレヴァーの存在は違法だったらしい。彼の幼少時代のエピソードは凄惨だが、それも面白おかしい笑い話に変えてしまう。

 

 彼らは芸人なのでボンクラらしい話し方をしているが、例えばKTタタラはウェスト・ヴァージニア大学で20歳の時音楽の学位を習得しているし、アジズ・アンサリも全米でトップ10には入るビジネス・スクールであるスターン・スクール出身。日本でもアメリカでも学歴のいらない芸人を下に見る風潮があるけども、実のところ彼らの多くはインテリだ。僕の学校の移民2世の友人たちも人種の壁を乗り越えるために親たちから勉強だけは負けないように小さい頃から言われ続けてきたという。だから彼らのネタは知性で偏見や社会に切り込んだものが多い。…下品で粗野なオブラートに包まれたものが多いけどね!