青春コメディの大傑作『スーパーバッド』で、酒を買うために高校生のフォーゲルは「McLovin(マクラビン)」という名前で偽IDを作る。この偽名がバカバカしいのは、苗字だけでファーストネームがなく、且つ「愛し合う」なんてつくアイリッシュ系の苗字なんて存在しないからだ。
そんなツッコミどころ満載のIDを持ってフォーゲルくんが酒屋に行くと、たまたま強盗事件に居合わせる。駆けつけた警察官に恐る恐る身分証を渡すフォーゲルくんだったが、警察官がセス・ローゲンとビル・ヘイダーだったので事なきを得た。
その後の笑いと涙の珍騒動は映画を見てもらうとして、「マクラビン」の名前を聞いた後彼らはこんなことを言う。「いやあ、最近変な名前多いよな。前に本名が『ファック』のオカマを逮捕したことがあるんだ。ベトナム人だったと思うけど、Phで書くんだ。」
実はこれ、「Phúc」というベトナムでは一般的な名前で、むしろ「フック」と読む。ところが、ベトナム人のよくある名前には英語圏だとヤバい単語にしか聞こえない名前が多い。ベトナム人の友達もよくジョークとして話しているが、昨年嘘から出た実のようなニュースが話題になった。
記事を要約すると、ベトナム系オーストラリア人で「Phúc Đạt Bích(フック・ダッ・ビック)」という名前の人が、どう見ても「Fuck that bitch」にしか見えないため、偽名を疑われてFacebookに3回も申請を断られた、というもの。彼はパスポートまでSNSに載せて本名であることを証明しようとしたが、「こんな本名の人がいるのか!」と世界中に衝撃を与えて拡散された。ベトナム人の名前は基本的に「姓・ミドルネーム・名」の三つで構成されており、PhúcもĐạtもBíchもベトナムではごく普通にある名前で、そのPhúc Đạt Bíchくんは奇跡的にその名前が合わさってしまったのだ。
しかし、ここで一つ疑問に残るのは、彼の国籍はベトナムではなくあくまでオーストラリアである。英語圏で暮らす両親が、ベトナムでは普通の名前であるとしても、そんな生活する上で誤解を招く名前などつけるだろうか?そんなことを思っていたら、結局騒動から1週間経って、やっぱりこの名前はTai Ngyuenくんというベトナム系オージーが友達と冗談で作ったホラ話だったことを白状したのだった。オーストラリア最古の新聞シドニー・モーニング・ヘラルドやBBCなどの大手メディアが事実関係も確認せず報道したため赤っ恥をかいたとさ。
ただし、ベトナムには面白い名前が多いのは事実である。そんなDQNネームみたいな実名をおちょくったYouTubeのコントを最後に紹介したい。
ちなみに、僕も今ベトナム人の女の子といつも動画を作っているけど、いつも苗字のスペルをクレジットで書き間違えて怒られるのであった…。ベトナム系の名前は発音もスペルも難しすぎるよ!