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新たなる危機感/『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』★★☆

映画 感想

 

 『スター・ウォーズ』アンソロジー・シリーズ第一弾『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を前夜祭興行IMAXで鑑賞。監督は『GODZILLA』のギャレス・エドワーズ、脚本は『アメリカン・パイ』のクリス・ワイツ、『ボーン』シリーズのトニー・ギルロイ。音楽はマイケル・ジアッキーノ。フェリシティ・ジョーンズディエゴ・ルナ、リズ・アーメッド、ドニー・イェンチアン・ウェンフォレスト・ウィテカーマッツ・ミケルセンら新顔が集結。

※ネタバレしていますので鑑賞後にお読みください。

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 まず初めにディズニー・ルーカスフィルム体制に常々懐疑的だった身としてハッキリさせておこう。僕は本作が好きだ。鑑賞後すぐに『新たなる希望』を観たくなった。その気持ちにさせられた時点で僕は敗北した。新しいキャラクターたちも好きだし、プリクエルに気を使ってるの良い。去年大いに不満だった『フォースの覚醒』*1よりかは遥かに良い。それを前提に書いていく。

 

 前半のダラケっぷりに不満がないわけでもない。「ローグ・ワン」がチームとしてまとまる過程もあっさりしている。『スター・ウォーズ』の文法を無視した編集や撮影にも戸惑った。しかしクライマックスの盛り上がりとラストのレイア姫の登場に全てを持ってかれ、エンドロール後も席を立てないほど感激した。あの瞬間、否が応でもスピンオフとしてこの作品を初めて認めることができたのだと思う。

 

 ただし、そこにはまたディズニーが展開する『スター・ウォーズフランチャイズへの危険性を感じずにもいられなかった。

 

 ディズニーのCEOボブ・アイガーは『スター・ウォーズ』をマーベル映画のように永遠に続くシリーズにしようと計画している。僕が批判し続けて来たのもその点だ。確かにディズニーのような一流企業なら無限に作品を生産することは可能だ。しかし、キャラクターに命を吹き込む役者のキャリアは有限だ*2。例えば本作に再登場するダース・ベイダージェームズ・アール・ジョーンズの声に老いが感じられ、一抹の侘しさを覚えずにはいられなかった。

 

 更に本作には『新たなる希望』に登場したグランド・モフ・ターキンが最新のCGIを駆使して復活する。驚愕するほどに故ピーター・カッシングに似ているし、これなら今後のシリーズにいくらでも再登場させられるだろう。ただし、そこに写るターキンに果たしてピーター・カッシングの魂はあるのだろうか?

 

 同じような技術は去年『ターミネーター:新起動<ジェニシス>』や『ワイルド・スピード SKY MISSION』でも使用された。ただし前者は新旧のアーノルド・シュワルツェネッガーを対決させるための仕掛けだったし、後者は製作中に不慮の事故で亡くなったポール・ウォーカーに別れを告げるために許された特例だった。

 

 これが可能ならばリバー・フェニックスだってオードリー・ヘップバーンだってどんどんCGIで蘇生させることもできる。老いて魅力の亡くなった役者だってCGIでどんどん若返らせれば永遠にスターにできる。しかしそんなことは誰も進んでやりたがらないはずだ。パブリシティの問題、というのもあるがそれ以前にそれは俳優という職業への冒涜だからだ。

 

 ターキンをうまくセリフの中のみで登場させたり、『シスの復讐』のように似た役者を起用することはできなかったのか。このままだと主要キャスト亡き後も亡骸に鞭を打ってキャラクターのみシリーズに登場する事態になるのでは無いだろうか*3。そのような倫理的な危機感を覚えながらも、しかし同じ技術で『エピソードIV』のレイア姫が登場したラストカットに僕は素直に感動してしまったのも事実だし、そんな技術に一番喜んでしまっていたのは僕自身ではなかろうか?

 

 こんな感じで自問自答して非常に悶々とさせられる作品だったし、これから毎年予告編から鑑賞後までこんな風に精神的に振り回されたはたまったもんでは無いので一刻も早くシリーズを終わらせてほしい…。『スター・ウォーズ』とは呪いなのだなぁ。

 

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  オリジナル・サウンドトラック

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー オリジナル・サウンドトラック

 

 

*1:

*2:ちなみに『フォースの覚醒』でハン・ソロを殺したのはこの点についてディズニーは自覚的だったはずだからに違い無い。だからこそ余計に続編なんか作らなければ…という気持ちにもさせられし、じゃあハン・ソロのスピンオフで新たな役者を起用する意味はなんなの?と疑問にも思う

*3:特にディズニーはキャラクタービジネスに特化した企業である、ということも留意したい。