『バットマンVSスーパーマン アルティメット・エディション』『スーサイド・スクワッド エクステンデッド・カット』を観た

  • ザック・スナイダーが娘の自殺を受けて『ジャスティス・リーグ』を降板し、思うところがあったので買ってから封を開けてなかった『バットマンVSスーパーマン アルティメット・エディション(以下BVS UE)』*1を観た。
  • 『BVS UE』は劇場版よりも良いという評判は聞いていた。そもそもザック・スナイダーの理想としていた形が『BVS UE』であったが、流石に3時間もの尺は工業的にはまずいので30分もズタズタに切ったのが劇場版であった。
  • 劇場版でネックだったのはストーリーが大変にわかりにくいという点がまずあり、更にその要因を探ると登場人物たちの行動にロジックが感じられないことが大きかった。
  • それが『BVS UE』だと各登場人物たちの行動原理がよりわかりやすいものとなり、結果としてストーリーがもっと飲み込みやすくなっている。特に改善されていたのはロイス・レーンのストーリー上の機能や、スーパーマンバットマンを敵対視する理由づけ、レックス・ルーサーの暗躍などである。
  • ただ、『BVS UE』はストーリーこそ分かりやすくなったものの、作品そのもが劇的に良くなった風には残念ながら思えなかった。
  • トーリーが分かりやすくなっても脚本の問題自体は改善されていない。例えば、レックス・ルーサーが裏で色々と工作していたことが明らかになっても彼が何故バットマンとスーパーマンを衝突させたいのかの根本的な動機が不明瞭であり、バットマンは何故あんな丁度いいタイミングで決闘に備えていたのかも分からない。もしスーパーマンが戻ってこなかったらお前はずっと鎧を着て待ってたつもりなのか。
  • まあ、本当はそんなツッコミどころばかり指摘したくない。でも気になってしまうのは、『バットマンVSスーパーマン』がほとんど会話劇だらけで、ようやく肝となる衝突が描かれる頃には2時間近く経過しており、決闘自体も10分そこらで終わってしまうからだ。全くもって盛り上がりに欠ける。
  • なので『BVS UE』は赤点だった点数が再テストにより平均点以上になっただけで、そもそもザック・スナイダー監督の理想形自体があんまり面白いものではなかった。
  • さて、『BVS UE』を観たら同じく買いだめしていた『スーサイド・スクワッド エクステンデッド・カット(以下SS EC)』*2も観たくなってしまったので開封した。
  • そもそも僕は『スーサイド・スクワッド』を年末ベスト点に入れるほどの擁護派なわけだが、こちらも編集に関する様々な噂が製作時から流れていた。『BVS UE』と違い、この『SS EC』はデビッド・エアーの理想形と言えるものではなく、追加分もわずか13分ほどしかない。ただ、ジョーカーとハーレイ・クインの関係性がよりクッキリしていたり、メンバー間が絆を深めていく過程がもっと分かりやすいものになっている。
  • 例えば、スースクのメンバーたちは任務中ずっと逃亡を企てていたことがわかり、劇場版よりも悪人根性が出ていた。また、この思惑が加わることで屈辱からの解放と娘との自由な生活の狭間で揺れるデッドショットの葛藤が伝わりやすくなっている。さらに、リック・フラッグとデッドショットが互いに理解を深めていくシーンも多くなり、彼らが終いには共闘する理由も納得できるものとなっていた。
  • あと、ジョーカーがハーレイに対して甘すぎ問題に関しては、この『SS EC』で結構ハードコアな過去があったことが判明し、原作ファンの不満は少しは解消されたのではなかろうか。
  • んでまあ、今回久方ぶりに『スーサイド・スクワッド』を見返したわけだが、やっぱりどんな批判意見を聞いても僕はこの映画が大好きである。僕にとってスースクのメンバーは極悪人というより、人生の敗北者たちである。国家の言いなりとなってしまった負け犬たちが、正義のためではなく、己の自由のため、人生のために戦うという、その『ロッキー』のような熱さに僕はやられてしまったのだ。
  • こと『SS EC』はキャラ描写がより緻密になっているため、この「己の自由のため、人生のため」という側面が強調されているのはとても良かった。
  • 関係ないが、今日『ゴーストバスターズ*3もエクステンデッド版を観ようと思っていたのだが、再生から1時間経っても違いがわからず確認したら劇場版を再生していたことが判明し、すっかり見る気が失せてしまったのであった…。ただこのBDなどで再編集する最近のトレンドはなんなんでしょうかね。

 

 

 

 

*1:

*2:

*3: