【第一話】アメリカンニート、肉親に訴えられる。

 今全米注目のニートがいる。マイケル・ロトンド、30歳である。マイケルはニューヨーク州シラキュースに両親と共に暮らしていたが、マイケルは8年前に仕事クビになって実家に帰ってからは職にもつかず、家の家事も手伝わず、もちろん家の家賃も払わず、しかし本人は「ウェブビジネスをしている」と胡散臭いことを言って寄生を続けていた。

 

 当然、怒った両親は今年2月2日息子に手紙を書いた。「私たちはあなたが今すぐに家から出ていかなければならないことを決定しました。」そして当然、マイケルが今更そんな手紙の指示になんか従うわけがなかった。そうすると両親は弁護士を雇い、正式な立ち退き勧告書を書いてマイケルに送りつけた!*1

 

 ロトンド夫人の署名付きの2月13日付の勧告書(もはや手紙ではない)にはこう書かれている。「2018年3月13日までに家を去らなければ、法的手続きが執り行われる。」そして更に両親は立ち退き準備金として$1100(約12万)まで渡してこう言い放った「あなたみたいに職歴がなくてもできる仕事なんて山ほどある。仕事を見つけなさい!」

 

 しかし3月末になってもマイケルが家を出ていく気がさらさらないことは明白であった(ちなみに金はちゃっかりと受け取っていた)。通算5枚の勧告書を書いたのち、両親は宣言通りマイケルを立ち退かせるために地元の裁判所に行ったが、マイケルが実子であったために州の最高裁判所の判決が必要であった。「こんなのただの仕返しだ!少なくとも家を出るのに6ヶ月は必要だ!手紙や勧告書には法的効力はない!」と負けじとマイケルも訴えを退けるように応戦。

 

 「こんなニートのために最高裁判所が開かれるなんて!」とニューヨークどころか全米が注目する中、判事は「家を出ていくべし」との(マイケルにとって)非情な判決を下した。下手に裁判になってしまったために、法的にマイケルは絶対に家を出ないといけなくなってしまったのだ。マイケルが家に出ていくための期限はアメリカ時間の6/1だったが、マイケルはやはりただで出ていくシロモノではなかったのであった…(次の更新に続く。)

 

ニート―フリーターでもなく失業者でもなく (幻冬舎文庫)

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*1:送りつけた!と言っても同じ屋根の下に住んでいるので手渡しなりドアの下から部屋に入れ込んだなりしたんでしょうけど