アジアン・アメリカン・ジェネレーション

 ここ数日の僕の更新具合の体たらくは皆さんご存知かと思いますが、それは偏には最近の僕の生活が『キングダムハーツII』と『フアン家のアメリカ開拓期』で完結しているからなんですね。『キングダムハーツII』については一旦置いておくとして、ドラマをほとんど見ない僕が『フアン家のアメリカ開拓期』を一気見してるほハマっているのには自分でもかなり驚いています。

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 このブログにも度々書いてきた『フアン家のアメリカ開拓期』*1はワシントンDCからフロリダ州オーランドに移り住んだ台湾系一家の物語です。お父さんのルイス(ランダール・パーク)は保守的な台湾と比べて自由でリベラルなアメリカを愛し、まさにアメリカン・ドリームに憧れてステーキハウスをオープンします。一方でお母さんのジェシカ(コンスタンス・ウー)は典型的なアジア系のお母さんで、子供達には早くから「人生で大事なのは金、その為にはいい大学に行かなければいかないから勉強が何よりも大事」としつこく言い聞かせます。基本的にはシットコムなので、ジェシカの教育ママ具合は過剰にコミカルに演出されており、例えば長男の悪ガキ エディくんがテストで100点を取って帰ってきても「うちの子が満点なんて、この学校は簡単すぎます!もっと難しくしてください!」とクレームを入れるほどです。

 

 『フアン家のアメリカ開拓期』が面白いのは、この夫婦がアジア系アメリカ人の二面性を表しているという点にあると思います。アジア系アメリカ人アメリカ人らしくオープンマインドでもあるけど、やはりアジア的文化の中で育っているのでどこか保守的である、という葛藤を抱えています。実際、僕の留学先のベトナムアメリカ人の友達もアメリカ人らしく多様性や平等が大好きだけど、例えば男女関係に関して言えば少し保守的でしたし、何でもコントロールする厳しい両親にも悩まされていました。

 

 『フアン家のアメリカ開拓期』のジェシカも例に漏れず家庭をマイクロマネジメントしてその様子が面白おかしく描かれていますが、ジェシカは子育てをチェスに例えます。チェスは一手二手先を読んで勝利を掴むゲームで、子供達が目先の誘惑に惑わされて悪手をとらないように碁盤をコントロールする必要があるのです。だから本来は子供が好きに選んでいいはずの選択科目ですら、ジェシカは大学受験の際に有利な科目を選んでしまいます。子供達にとっては苦痛ですが、ジェシカは何よりも子供達のために一手二手先を読んでマイクロコントロールしているのです。

 

 僕は『クレイジー・リッチ!』を契機に『フアン家のアメリカ開拓期』を観始めましたが、コンスタンス・ウーが演じるジェシカが子供のためを思って何でもコンロールする様子を見てまさに『クレイジー・リッチ!』でコンスタンス・ウー演じるレイチェルが対峙するエレノア(ミシェル・ヨー)を思い出したのです。日本公開が今週末に迫っているのでネタバレは控えますが、予告編でも見られるようにレイチェルの彼氏のお母さんであるエレノアは、まさに愛する息子のために恋人まで選別し、息子を想うからこそレイチェルは「相応しくない」と突っぱねるのです。

 

 ただ、『クレイジー・リッチ!』と『フアン家のアメリカ開拓期』はそんなアジア的な親バカに対抗する手段をアメリカで生まれ育った移民二世たちがアメリカ人らしいやり方で見せつけてくれます。その手段は実際に両作品を見て確かめて見てください。 

 

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*1:今月だけで3回目だよ!