胡蝶の夢

 僕は寝起きが悪い。何たって絶対に時間通りに目が覚めないことを見越して起床時間の1時間前から15分おきに目覚ましかけてそれでも時間ギリギリまで起きないし、大抵朝目が覚めると布団で寝ていた位置は逆になっている。夏の酷い暑さの時は夢遊病を発症し、涼しい場所を求めて全く記憶のない場所で目を覚ます時もある。

 

 そんな僕が今日は珍しく朝早く起きた。大抵そんな時は二度寝をするものだが、何故だか気分が良くてすぐにシャワーを浴びる。それでも時間が余ったので、久しぶりに朝ごはんを作る。目玉焼きにベーコン。シンプルだが、ここの所朝食なんて全く食べていなかったのでこれだけでいい一日が迎えられて嬉しい。

 

 すると、普段会話をしないルームメイトと鉢合わせる。そりゃ僕が普段ギリギリまで寝ているんだから、朝に顔を合わせることなんて殆どない。気分もいいので会話も弾む。でも長話をしてしまうと折角朝早く起きたのに遅刻してしまう。これから盛り上がりそうな会話を泣く泣く打ち切って最後の身支度をする。

 

 歯を磨いて、髪の毛もセットして。鍵と財布とスマホを取ったことを確認し、カバンを肩にかける。今日の通勤の音楽はマルーン5にでもしようかしら。イヤホンを耳にかけて外に出た瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めた。

 

 

 何が起きているのか一瞬わからなかったが、これまで観ていたリアルな光景は全くの夢で、気が付いたら僕はいつもと同じく夜寝た向きとは逆方向で目が覚めた。「うーん、アレクサ、今何時…?」「8:50です」

 

 そしていつも通り10分で大慌てで支度して通勤に向かうのであった。

 

パプリカ

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