『サウスパーク』S22E07「Nobody Got Cereal?」感想

 今週の『サウスパーク』はマンベアピッグを扱った先週の「Time To Get Cereal」の続き! 

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 前回の終わりでアル・ゴアは子供達の謝罪を受け入れ、マンベアピッグとは何らかの理由で悪魔より遣わされた悪霊であることを説明する。謎を究明するために一同は地獄の覇者サタンを召喚し、一緒に地元図書館でリサーチをしたところ、マンベアピッグとはサウスパークの住民と契約が行われることで、何世代かに一度地上に現れて人間たちを絶滅の危機に陥れる悪霊であることが判明する。しかし図書館を出たところで4人組はスクールシューティングー*1の犯人として警察に逮捕されてしまい、アル・ゴアは行方をくらますのであった。

 

 街ではマンベアピッグの被害が拡大する中、4人組は牢屋に閉じ込められていた。レッド・デッド・リデンプション2』を遊んでいる見張り役の警官にカートマンが攻略情報を教える際に4人組は脱獄する。家に帰ると危機的状況にも関わらずマリファナでハイになって『レッド・デッド・リデンプション2』を遊んでいるマーシュに腹を立てるスタンだったが、マーシュの「マンベアピッグなんてこの世に存在しないよ!全く俺が14歳の時からお前の爺さんからマンベアピッグの話ばかり聞かされてウンザリしてるんだ」という台詞からマンベアピッグがお爺ちゃんとなんらかの関わりを持っていることにスタンは勘づく。

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 スタンが老人ホームに行くと、老人たちは神妙な顔もちをしていた。問い質すと、お爺ちゃん達の世代の住民は若い頃に「高級車と高級アイス」と引き換えにマンベアピッグと契約を交わしたために、現代にマンベアピッグが蘇り人々を恐怖に陥れていると言う。「なんて取引を交わしてしまったんだ!孫の代の俺たちが苦しむとは思わなかったの?」とスタンが責めると「仕方ないじゃろ!まさかわしもその頃には生きてるとは思わなかったし、孫どころか子供も作る予定じゃなかったんじゃ…わしがうっかりわしのアナルを弄るお前の婆さんに中出ししなければ今のお前も存在しなかったんじゃ…」と謎の言い訳をするお爺ちゃん。

 

 一方、カイル、カートマン、ケニー、サタンはアル・ゴアに裏山に呼び出される。アル・ゴアは自分の映画を見せて「希望を諦めないでください、私はあなた達を信じてます!」などと良さげなスピーチをするばかりで具体的な対策を一切講じない。「人間にマンベアピッグは止めれられない!」と匙を投げるサタンにカートマンは「確かに人間にはマンベアピッグは止められない…。だけどサタン、あんたなら?おいら達人間は色んな悪さをしでかしてあんたの仕事を軽減してあげただろ?そろそろ借りを返す時が来たんじゃないのか?」と説得する。

 

 心を動かされたサタンは人間のためにマンベアピッグと立ち向かい、インクレディブル・ハルク』のクライマックスをまんまトレースした壮絶な戦いを繰り広げるが、マンベアピッグに敗れ、命を奪われる。涙を浮かべる子供達の前で、最期に人間のために善行を積んだサタンは天国に召されるのであった…。


▲0:53~2:30くらいまでを見てから↓をご覧ください

 

 先週から続く、マンベアピッグを地球温暖化に見立てるパロディシリーズ。お爺さん達の世代が未来世代の環境と引き換えに己の快楽のためにマンベアピッグと契約を結んだ、というのはまさに70~80年代に石油を使いまくって後の世代が温暖化のツケを払わされている現状への完璧な風刺となっている。また、結末でスタン達が見つけたマンベアピッグの対処法も超皮肉ってて最高で、[弁護士を挟んでお爺ちゃん達世代との契約を破棄にする交渉をマンベアピッグと行うのだが、マンベアピッグは人間達が『レッド・デッド・リデンプション2』と醤油を手放すことと引き換えに現世から立ち去ると提案する。だけど、醤油がないと白米を食うのがキツい、ということでスタンとサウスパークの住民達は再交渉を持ち出し、延々とお互いの合意が中々得られないままエンディングロールを迎える]のであった。

 

 結局人間というものは、自分たちの快楽を手放すくらいだったら未来世代に責任を押し付けるほうを選んでしまうものなのだ。僕はこの結末には日本と捕鯨を扱った傑作エピソード『Whale Whores』のシニカルなオチを思い出した。個人的にはこの二部作は今シーズンのハイライトだと思う。

レッド・デッド・リデンプション2【CEROレーティング「Z」】 - PS4

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*1:このエピソードでは、舞台が学校じゃなかろうと虐殺事件は全てスクールシューティングと表現され、サウスパーク住民の安定のバカさ加減を示している