映画の中の2019年

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー partII』で描かれていた未来が2015年をもって過去になってしまったように、名作近未来SF映画が描いていた時代に現代が追いついてしまうことは2010年だに入ってからよくある話ですが、2019年も複数のSF映画の舞台となっていた年でした。

 

 まずは言わずもがな『ブレードランナー』が2019年のLAを描いていました。公開当時、酸性雨の降る汚いLAの未来像は映画ファンやSFファンに衝撃を与えたそうです。生まれたときには既に『ブレードランナー』のフォロワー作品が量産されていた世代としては、その衝撃を「そうです」として推測するしかないのが歯痒いです。 

 

 更にエポックメイキングな作品としては『AKIRA』も2019年を舞台にしています。ネットでも話題となりましたが、『AKIRA』は2020年の東京オリンピックを来年に控えた荒廃したネオ東京を描いているので、まさかの的中っぷりには驚かされるばかりです。

AKIRA 〈Blu-ray〉

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 意外なところでは、シュワルツェネッガーの『バトルランナー』も2019年です。ウィキペディアには2017年と書いてありましたが、実際には2017年に世界経済が破綻して荒廃し、本編はその18か月後を舞台としているので2019年になります。この映画、僕は詳細は覚えていないんですけど、父親が狂うほど好きな映画で、物心ついた頃から僕のいるリビングで父親が暴力的な場面をビデオで何度も見ていたものですから、母親が「怖い夢でも見たらどうするの!」と父に怒鳴っていたことを覚えています。

 

 

 あとこれも忘れていたのですが、マイケル・ベイの『アイランド』も2019年の設定でした。まだ比較的新しい作品なので、これらの作品の中では現実の2019年と最も地続き感はありますね。新しいと言っても、もう14年前の作品ですが。嘘だろ、もう殺してくれ。

アイランド (字幕版)

アイランド (字幕版)

 

 

 これらの映画で描かれる2019年の共通点は明確だと思いますが、2019年はとにかく絶望的だということです。1980年代に作られた『ブレードランナー』『AKIRA』『バトルランナー』なんかは画面まで暗くて「2019年は最悪ですよ!」ということを強調しまくってますが、現実の2019年も変な髪形の短気おじさんが世界を牛耳る大国の長になってしまったり、アジアの島国でもその坊ちゃん総理とその愉快の仲間たちが強硬的な手法でガンガン色々変えちゃったり、他にも世界中でヘッポコな人たちが予想斜め上のことを次々しでかしてくるので本当に嫌になっちゃいます。

 

 じゃあ、せめて『ブレードランナー』みたいにもっと水蒸気がモクモク出たりAKIRA』みたいに壊れかけの建物があちこちあったりバトルランナー』みたいに人が死ぬ番組がバンバン作られたりしろよ!とこれらの映画のカッコよさだけがまだ現実の2019年に全然届いていないのは如何なものなのかと思いました。