八村塁が在籍しているゴンザガ大は存在しない!?

 今年の全米バスケットボール選手権(マーチマッドネス)は、日本人選手八村塁が主力として在籍するゴンザガ大が決勝トーナメントに進出していたので勿論日本メディアから注目されており、ゴンザガ大自体も毎年決勝に進む強豪校として全米メディアからの注目度も高かったですが、惜しくも先日行われた準々決勝(エリート8)でゴンザガ大はテキサス工科大学に69-75で敗れました。僕自身も機会があって試合を直接会場で観ることができましたが、最後の最後まで勝敗が読めなかったハラハラするとても良い試合でした。

 

 しかし、実はゴンザガ大は別の理由からも全米で注目を浴びていました。NCAAトーナメントの期間中、人気トークショー番組の司会者ジミー・キンメルから「ゴンザガなんて単語は大学バスケシーズン以外で聞かないし出身者も聞いたことない*1けど、実は存在しないのではないか?」とジョークのネタにされていたのです。

 

 すると当然卒業生、在学生、ゴンザガ大の地元ワシントン州スポケーンの住人から「失礼な!」ということでネット上で炎上。しかしジミー・キンメルは炎上ツイート自体もネタにしてしまいます。

 翌日の地元紙ではこのジョークが一面に取り上げられ、「ボナー郡デイリー・ビー」という地元ニュースウェブサイトでも「おいジミー・キンメル、ゴンザガ大は存在するし、スポケーンはお前に証明してやる」という題の記事まで書きましたが、ジミーは「頑張ってね、僕はボナー郡デイリー・ビーすら存在するか分かんないけどね」となんのその。

 

 数々の罵倒ツイートも面白おかしく紹介し、「『スポケーンに来て自分の目で見ろ!』なんて言わないでね、どうせ空港で『ゴンザガ大から来た』と主張する奴に連れてかれて何もない平野で荷物と一緒に捨てられて、翌朝氷が貼ったバスタブで目を覚まして腎臓が全部なくなってるんだろ?そのやり口は知ってるんだから!」と散々からかった挙句、「だからその存在を証明してほしいから、僕のトーナメント優勝予想はゴンザガ大だね」という素敵なオチでまとめます。アメリカのコメディアンは炎上にも負けず、こういう知的な返しができるのが本当に素晴らしい。

 

 このゴンザガ大ネタはその後も番組内で続き、ゴンザガのマスコット(ブルドッグ)の凡庸さやゴンザガ大スポーツ応援歌のリズムの取りにくさを論ってやはり実存を疑ったり、

 

 ゴンザガがベスト16(スウィート16)に進出すると、ゴンザガ大学法学部長がOBであるワシントン州の司法長官ボブ・ファーガソンを招いてビデオメッセージを送ってきたので、お返しに偽のゴンザガ大学学部長ゴンゾ・アガ博士(演じたのはフレッド・ウィラード)を登場させたり、

 

 ゴンザガ大のマスコット、ブルドッグのスパイクが番組に登場してゴンザガが偽の大学であると証明しようとすると黒服の男に連れて行かれたり

 

 

 ゴンザガ大学の関係者を番組に招いて、イースターラビット、スパイダーマン、歯の妖精といった空想上のキャラクターたちの横に座らせたりと、この1週間は徹底的にゴンザガ大をおちょくって彼らのチームを盛り上げていた訳ですが、

 

 

 最終的には番組名物アシスタントのギルレモをベスト16戦直前の練習日にアナハイムのホンダセンターに派遣して選手たちやコーチにインタビューを行い、ゴンザガ大が本当に実在するか調査させたのでありました。

 

 ちなみに上記で動画では大人しい八村塁くんもギルレモにあまりにも静かなので「いくら払われて黙秘を続けているんだ?」と絡まれていました。

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 さらにゴンザガ大の生徒たちは「#ゴンザガは存在する(#GONZAGAEXIST)」と書かれたTシャツまで作っていて、僕も実際に試合当日はこちらのTシャツを着ている人を多数見かけました。

 

 この一連の流れはもちろんゴンザガ大学の公認の元行っているのでしょうが、こういったアメリカのトークショー番組は気持ちのいいプロレスが出来ていて大変羨ましいです。日本のワイドショーもせっかく芸人がコメンテーターやってるんだから、馬鹿の一つ覚えみたいに弱者を叩きまくって敵を作るんじゃなくて、ジミー・キンメルみたいに皆が幸せになれる笑いに持っていけばいいんだよ。アメリカの笑いはレベルが低いだとか何とかいってる人たちにこそ観てほしいですな。

 

 

*1:実際には伝説的NBA選手ジョン・ストックトンジョン・ハムがゴンザガのOBです。