絶望の中の希望

 京都アニメーション放火事件に少なくない衝撃を受けています。

 

 といっても、僕は観たことがある作品は『聲の形』くらいですし、京都アニメーションの良い観客ではないと思います。そんな僕ですら呆然としているくらいですから、京アニ作品のファンの心中は想像するのも難しいです。しかし、この事件には色んな文脈が含まれてしまっていると思うんです。

 

 まずは、日本を代表するアニメという伝統芸能の職人が多数失われてしまったこと。今回被害に遭った第1スタジオは京都アニメーションの主格スタジオという事で、未来のアニメ界を背負っていたはずの優秀なアニメーターも出勤していたでしょうし、大切な資料や進行中の原画などもあったかと思います*1。アニメに詳しくない僕ですら、京アニ出来高制ではなく給与制をとるなど、業界の意識改革を図っていた先進企業だと聞いていました。後世に渡る日本文化において取り返しがつかない本当に貴重な知的財産が失われてしまった、と言っても過言ではないです。

 

 次にアニメ云々の前に、死者33人、重軽傷35人(7/18 時点)は前代未聞の大量殺人事件だということです。平成以降どころか戦後最大級の犠牲者数です。各国代表が今回の事件に対して表明分を出し、国際ニュースとして流れているのが事態の深刻さを物語っています。まだ事件の全容が明らかになっていないのに早くも今回の犯人をアニメオタクとして断定し、分析する潮流がありますが、それには強く異を唱えます。彼はただの大量殺人者で、それ以上でも以下でもありません。

 

 防災や警備の点で見ても、そもそもアニメの制作場という事で燃えやすいものが多く、元々火が回りやすかった環境であることに加え、この日は来客の為にセキュリティーを切ってしまっていたという不運に不運が重なって起きた悲劇であるためにやりきれません。今後警備会社の責任が問われ、賠償沙汰になるかもしれませんが、たった一人の人間が異常行動に出たために人々が争う姿など考えたくもありません。

 

 ただ、どんな絶望の中にも一筋の希望は見いだせるものです。僕はその希望を京都アニメーションの公式Twitterにぶら下がる、世界各国からのリプライに見ました。

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まさに芸術は国境を越えるんです。僕はちょっとウルっと来てしまいましたよ。

 

 

*1:現に、来年公開予定だった京アニ作品『Free!』の最新作が公開中止となってしまいました。