モーガン・フリーマンはお節介

 今朝も集合が早くて昨日も更新どころではなかったのですが、流石にそんな内容の更新ばかりだと申し訳ないので、今日知り合ったPA(プロダクション・アシスタント;制作現場を円滑に回す為に必要な雑務を担当する役割)から聞いた話を。

 

 彼女は映画を始めCMやリアリティーショーなど様々な現場を経験してきましたが、一番厄介なのはセレブでもクライアントでもなく、リアリティーショーの出演者だそうです。というのも、彼らはあくまで素人なのでプロ意識などさらさらなく、しかしショーには欠かさない存在であることを自覚してるので我儘に振る舞っており、「今日は撮影したくなーい」なんて言い出すことはザラで、プロデューサー陣はお酒やら賄賂やらで宥めすかせるそうです。(もちろん、出演者にもよるでしょうが)

 

 一方、彼女が今まで仕事して一番良い人だったのはモーガン・フリーマンだったとのこと。とある現場でセッティングしているとモーガン・フリーマンが彼女の前に現れたそうです。通常、タレントや役者というのは全てのセッティングが済んでから現場に出てくるものなので、突然のモーガン・フリーマンの登場に当然皆緊張します。

 

 「やあ」とあの安らぐボイスでモーガンに話しかけられた彼女は「こ、こんにちは!何かお探しですか!?」と返すと、モーガンは怪訝な顔をして「いや、別にいらないけど…」と返し、そのままセッティングを見学したそうです。

 

 また同じ現場の別日、モーガン・フリーマン自宅近くのランチ(撮影牧場)で撮影することになり、モーガンは自宅で待機していました。彼女はモーガンに小道具だったか衣装だったかを届けにいくと、あまりの豪邸っぷりに度肝を抜かします。ドアをノックしてもモーガンが中々出て来ず呼び鈴も見当たらずオロオロしていると、彼女に気づいたモーガンがドアを開けてあげます。

 

 「気付かないからもっとドアを強く叩きなさい!」とモーガンは言いますが、当然彼女は力一杯ノックしていました。家の大きさには敵わなかったのです。「家に上がるかい?」とモーガンが聞くと、緊張している彼女は「あ、いえお構いなく!」と断りました。しかしモーガンは「君は私の前で緊張し過ぎだ!遠慮しないで入ってきなさい!」と促しました。あ、ちなみにモーガンは近年#metooで過去のセクハラを告発されましたが、この時はメイクさんや衣装さんもモーガンの家にいたので、そういった怪しい意図はなく、単純な好意の元だったとのことです。(というか、そう信じたい)

 

 モーガンに物を届ける予定のつもりが豪邸に入ることになり、当然彼女はブルブル震えるくらい緊張したわけですが、モーガンは間髪入れず「何か飲みたいものはあるかな?」と聞きます。彼女は正直喉が渇いていましたが「いえ、大丈夫です」とまたまた断ってしまいます。するとモーガンはじっと彼女を見つめて「私に嘘をつくのかね?」と聞くので、恥を忍びながら水を頼みました。その間、ただ荷物を届けるだけの彼女の戻りが遅いのでプロダクション・マネージャーからひっきりなしに電話やメールがかかってきます。上司からの連絡にソワソワしている彼女に気付いたモーガンは「なーに、私がここにいなさいと言ったと伝えなさい」と言い聞かせ、その通りにPMに連絡したら。「今すぐ帰ってきなさい」と英単語全て大文字で返答があったので、そそくさとモーガン邸を後にしたようです。

 

 こうして書いてみると、モーガン・フリーマンは良い人と言うか面倒くさい人なら気もしますが、現場でやたら怒鳴ってくる勘違いセレブよりはよっぽどマシだと思います。えー、誰とは言いませんが僕を怒鳴った某芸能人にも見習って欲しいと思いますね!

ショーシャンクの空に(字幕版)