素直に謝れる人間になりたい。

 人間、謝るのが一番難しい。そんな事を松江哲明を巡るアレコレに想起したものだった。

 

 これから書くことについて勘違いして欲しく無いが、松江哲明や関係者を擁護する気は一切ない。これまでの松江哲明のリベラルな言説を考えると、本当に酷い立ち回りだとすら思う。だが、自分が過ちを犯した時素直に自らの非を認め、謝罪できる人間というのはどれくらいいるのだろう、とも純粋に思う。

 

 というのも、恥ずかしいことに僕自身は中々それができない人間だからだ。先月、僕のこんなツイートがバズった。

 

 そうして立て続きに僕はこんなツイートもした。

 

 この2つのツイートをしたのはNYにいた時で、寝る前に書いて朝起きたら思ってた以上に拡散されていてかなり驚いた。ツイッターやブログなんてやってる性分だから自己承認欲求が強いもので、久々のバズに気分が良かった。

 

 しかし、2つ目のツイートは問題点があり、僕の主観が入りすぎていた。確かに『ジャスティス・リーグ』でザック・スナイダーが降板したのは彼の娘の死が原因だった。しかし、これは後に僕が指摘で知った事だが、ザック・スナイダーが『ジャスティス・リーグ』のいわゆるスナイダーカットについてファンとも好意的にやり取りしており、リリース運動についても支持しているのだ。

 

 当然、2つ目のツイートについて不特定多数のDCファンの方々から指摘や批判を受けた。そういった声を僕は素直に受け止めて謝罪すれば良かったものの、今だから正直にかけるが次々に見知らぬ人から来る@メンションに僕が抱いた感情は「うるさいな」だった。

 

 「言い訳」をここでしておくと、3つほどある。まず、前述したように僕がこのツイートをしたのはNY時間の夜で、つまりお酒を飲んでいたからだ。事実と異なるツイートをしてしまったが、「酔った呟きにそこまで言われてもなぁ」と醜い開き直りをしてしまったのである。

 

 2つ目は、普段僕は英語の誤訳やデマツイート、フェイクニュースに対しては指摘をせずにはいられない質なのだが、その自分が誤った情報を拡散してしまっている事実を素直に認めたくなかったのからだ。ちなみに、僕は普段めったに見ない英語用のツイッターアカウントがあるのだが、ザックのツイートも偶々あの晩久しぶりに開いたアカウントで見て裏調べもせず衝動的に呟いてしまった((さらに背景を説明すると、僕はザック・スナイダーが降板したニュースが出た当時、彼の声明について和訳したところこれもバズった、という過去があった。それもあってあたかもザックの気持ちを完全に分かりきったつもりでいたのだろう。

))。しかし、そんな事は当然書けない。ちっぽけなプライドが働いてしまったのだ。

 

 最後に、@メンションで飛ばされたツイートの刺々しさに純粋にムカついたのである。リアルで互いに面識がないのは勿論、フォロワーでもない人に強い口調で責められたのがイラっとしてしまったのである。しかし、ザックファンの方々からしても一切知らない僕がデマを拡散しているとなれば自ずと強い口調で反論したくなるのも今となっては理解できる。

 

 最終的に僕がとった行動は、丁寧な口調で僕の過ちを指摘した方のツイートのみを次のように引用コメントするに留め、他は全部無視することにした。

 つまり、やはり僕の矮小でしょうもない矜持が自分の非を認めずらくし、素直に謝罪することを拒んでしまったのだ。その後、この見すぼらしい対応を批判するコメントを当然見かけて凹んだりもしたが、時間が経つにつれてそういった声はもう見えなくなり今は平穏として過ごしている。

 

 ただ、普段僕自身が「デマは拡散するのは早いが、それを訂正する声はほとんど通らない」といった事を書いているのに、僕がとった対応は真逆のことで最悪だったと言わざるを得ない。こうしてダラダラとカギカッコ付きで「言い訳」を書いたのも、今でもちっぽけなプライドが作用しているからだろう。僕が取るべき行動はたった一つだった。僕の非を全面的に認め、謝罪する。

 

 ツイッターじゃなくてブログに書いているし、今となっては通らない声になってしまっているだろうが、あの時ザック・スナイダーがあたかも『ジャスティス・リーグ』のスナイダーカットを望んでいないような書き方で多くの人に誤解を与えてしまい、本当に申し訳ありませんでした。

 

 さて、冒頭に戻って松江哲明の問題である。謝罪文で始まったかと思えば、途中で自己を被害者化し、最終的には司法で争う姿勢を見せるという前代未聞の声明文であった。これは現場で起きたセクハラであり、性的強要であり、松江哲明が書いたような表現の自由という問題をはるかに超えてしまっている。

 

 この騒動が出た時点で、いやその遥か前から松江哲明が取るべき行動はたった一つ、全面的に非を認めて謝ることだった。しかし、これを拒ませてしまったのは彼にもおよそ全人類にも存在するちっぽけなプライドだろう。そしてこのちっぽけなプライドこそ克服するのが難しい。

 

 あ、ちなみに僕はもう一つこの問題について謝りたいことがあったのだが、2017年前加賀賢三氏が『童貞。をプロデュース』10周年上映で舞台に上がった騒動があった時、興奮した僕はこんなブログ記事を投稿した。

松江哲明問題を検索してたどり着く人が多いのか、このブログでもアクセスが多い記事である。この記事の結びに僕はこんな事を書いている。

 僕は未見なので今回の件は記録的にまとめるにとどめますが、今回の事態を受けて以降の『童貞。をプロデュース』の上映は中止されてしまいました。

 

 

 ただ、一つ悔やまれるのは、僕は数年前に先輩に『童貞。をプロデュース』の上映を行かないかと誘われたのに、他の用事もあって行けなかったんですよね。今回の事件の影響で今後封印されるかも分からないので、あの時本当に見に行っておけばよかった…。

 

 当時僕は明らかにプロレスを観る感覚でこの騒動を「楽しんで」おり、観れなかった『童貞。をプロデュース』を「見に行っておけばよかった」などと野次馬の立場から好き勝手に書いている。しかし、その後ガジェット通信で藤本洋輔氏が加賀賢三氏に行ったインタビューを読むと、楽しむなんて呑気な態度をとるのも烏滸がましいくらい酷い話だったことが分かった。本当に愚かだった。 

 

 加賀賢三氏があの記事を読んだかどうかは分からないが、もし目にしていたら謹んでお詫び申し上げたい。本当に、本当に申し訳ございませんでした。