『ザ・ルーム』スプーン上映決定!

 『ザ・ルーム』がシネマトゥデイなどの映画ニュースメディアにも取り上げられ、その中でも「スプーン上映」が実施されることが発表されました。

 

 僕が『ザ・ルーム』を日本で配給する上で、最優先事項だったのがこの「スプーン上映」です。このブログでも僕が『ザ・ルーム』を観に行った時の劇場の様子を2度ほど書いたと思いますが、僕がそもそもなんで『ザ・ルーム』を配給しようと思ったかというと、現地で鑑賞した『ザ・ルーム』体験がかつて無いほど楽しくて、その文化を日本にも輸入したいかと思ったからです。

 

 

 今映画館で上映している『キャッツ』にも通じる部分があるのですが、『ザ・ルーム』は「史上最低の駄作」という評価が一人歩きしている節はあると思います。そのイメージを宣伝イメージに利用させてもらっているので恐縮ですが、僕は『ザ・ルーム』は酷い映画だとは思っていますが、『ザ・ルーム』がもたらしてくれるものは並大抵の映画では得られない素晴らしいものだと思っています。観客が補完をする、という意味では究極の興行だとすら思います。だから「『ザ・ルーム』がつまらないクソ映画」という評価を見ると少しムッとしてしまうのです。だってツッコミ上映に行けばわかるけど、賞狙いの安パイな映画よりも遥かに面白いし、そういう意味ではずっと偉いから。

 

 しかし、そうはいうものの日本で「スプーン上映」を実現させるには色々な心配はありました。僕だけの理想を言うと、2週間の上映回全てをスプーン上映でやりたかったですし、『ザ・ルーム』とはそう言う前提で観る映画なので、あまり配給や興行側で「騒いで観てくださいね!」と指示を出したくはなかった。が、現実問題として日本の観客は海外と違ってかなり大人しく受動的で、勝手に観客が騒ぎ出す、というのは想像し辛く、更にいくら『ザ・ルーム』といえど静かに観たいお客さんがいるはず、というのが興行サイドの懸念事項でした。実際、公式ツイッターアカウントにも静かな環境で観たいファンからの問い合わせがありました。

 

 その両者の意思を尊重し、導き出した案が水、金、土、日の曜日限定でのスプーン上映です。自分のやりたいことを結構通させてもらって、ヒューマントラストシネマ渋谷さんには頭が上がらない思いと感謝の気持ちで一杯です。

 

 ですが、僕はこの「未体験ゾーンの映画たち2020」での上映の先を観ています。今のところ様々な大人の事情で渋谷と梅田以外での上映はできないのですが、今後そういった障壁を取っ払ってアメリカみたいに月一『ザ・ルーム』の上映ができたとして。誰からも言われたわけでも無いのに、自然にファンが勝手にスプーンを投げたり、変なシーンにツッコミを入れたり、ラブシーンでサイリウム振ったりする環境が日本にもできていて欲しい。

 

 その為にも、まずは日本の観客に『ザ・ルーム』がどう言う映画か知ってもらうために僕は全力を尽くすつもりでいます。本当に楽しい「興行」だから、みんなで劇場に来てね!

  

ディザスター・アーティスト(字幕版)

ディザスター・アーティスト(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/21
  • メディア: Prime Video