新型コロナウイルスはテレビバラエティも変えてしまうかもしれない

 最近はもうテレビつけてもSNS開いても自分が口にするのもコロナコロナばっかりで本当に滅入るが、こんな時にふと気になるのはちょっと足を突っ込んでいたテレビ業界だったりする。

 

 僕がアメリカで務めていた会社はコーディネーターという業務もしていた。日本の番組は意外にも海外ロケをする番組が物凄く多い。日本の製作会社が撮影する時に、現地で撮影許可を取ったり、撮影進行を助けたり、スタッフ雇ったり、ドライバーしたり、通訳したりするのがコーディネーターの仕事だ。要するにテレビスタッフ専門の何でも屋であるが、基本的に各国や大陸にコーディネーターと呼ばれる仕事人が存在し、海外ロケの番組はほとんどコーディネーターに頼って撮影をしていると考えて間違いない。

 

 さて、今は新型コロナウイルスが猛威を振るっている。WHOからも「日本は最大の懸念国」だなんて名指しされて、世界中で日本からの入国制限が行われている。こんなご時世に海外ロケなんかが行えるわけがなく、実際サンフランシスコでフリーのカメラマンをやっている友人からはロケが2件飛んだと聞いた。

 

 当然、海外ロケが行われないと各国のコーディネーターたちは仕事がなくなるので非常に困る。コーディネーター会社は副業として旅行代理店やお店をやってたりする例もあるが、海外ロケができないのに旅行客が来るわけないし、外出だって人々は控えるだろう。自分がいたブラック会社以外 かつての同業者たちが少し心配になる。

 

 海外ロケができない番組はどう対応するのかも気になるところだ。もちろん、これから国内ロケだって満足にできなくなっていくだろう。R-1グランプリが史上初めて無観客試合が行われたが、バラエティにありがちなスタジオ観覧だって自粛で無くなっていくのかもしれない。民放が始まってから70年近く築き上げてきた日本独特のバラエティのフォーマットが悉く使えなくなってしまうかもしれないのだ。

 

 ただ、制約の中でこそ新しい演出が生まれてくることがある。今はバラエティの危機かもしれないが、同時に固定観念に捕らわれずにバラエティが進化できるいい機会なのかもしれない。