当ブログ「SUPERBAD-ASS」の記事、論文の参考文献となる!?

 あまりにも暇なんで、うちのブログをエゴサーチしていたら、こんな論文が掲載されているのを発見しました。

cognitiveresearchjournal.springeropen.com

 

 こちらは九州大学が2018年に発表した論文になります。えー、論文なので難しい英語がたくさん使われていますが、まずタイトルを訳しますと『嫌悪感とラバーハンドイリュージョン:ジャラール、クリシュナクマール、ラマチャンドランの実験(2015)の登録再現報告』になります。これだけだと「ワッタファック?」って感じで、なんのことやら意味がわかりません。

 

 えー、文系なりに頑張って調べてみましたが(間違ってたらご指摘ください)、「ラバーハンドイリュージョン」とは身体認知の錯覚で、被験者にはテーブルの上に両手を広げてもらい、両手の間には仕切りを置いくことで、任意の腕を被験者から隠します。さて、仕切りの内側には膨らませたゴム手袋を置いておきます。そして、実験者が被験者の隠された腕と、ゴム手袋を同時に筆でなぞると、被験者はゴム手袋を自分の腕のように感じてしまうのです

http://www.kecl.ntt.co.jp/openhouse/2015/exhibition/27/poster.pdf

www.youtube.com

 

 では、「登録再現報告とはなんぞや?」ということに関しても調べてみましたが、科学の世界において、研究の再実験というのは大事です。ある論文が出された時、その論文で書かれている実験と全く同じ材料を使い、全く同じ実験を行ってみたところ、全然違う結果が出てしまうと、その論文の価値が損なわれることになります。

 

 なので、他者が追試を行って実験結果を確かめることはとても大事なのですが、*1心理学の分野において再現実験を行い、その結果を報告することを「登録実験再現報告」と呼称するそうです。

▲当記事を書く上で、こちらのリンクが勉強にしました。

 

 つまり、この論文は「ジャラールさん、クリシュナクマールさん、ラマチャンドランさんが2015年に行なった『嫌悪感とラバーハンドイリュージョン』についての実験を、九州大学で再現実験してみましたよ」ということらしいんですね。で、「こんな真面目な論文が、うちのクソ駄文ブログとどう関係あんのよ?」と思ってよく見てみると、題名通り当ブログの記事が、なんとこの論文の参考文献として引用されていたのです!

 

 日本語の論文でさえ読むのに相当時間がかかりますので、英語で書かれたこの論文は超かいつまんで読みましたが、ザックリと読んだところ、どうも先述した「ジャラール〜の実験」は強迫性障害の治療に役立てるため、強迫性観念の元となりうる嫌悪感とラバーハンドイリュージョンを結びつけた実験だったそうです。

 

 で、その実験内容というのが、ラバーハンドイリュージョンの被験者に対し、本物の手には綺麗なティッシュをつけたブラシを、ゴム手袋には偽の糞便、ゲロ、血をつけたブラシを塗り、嫌悪感を抱く物質での錯覚反応の強さを調べる、といったものでした。

 

 『SUPERBAD-ASS』の熱烈なファン(そんなありがたい方がいるとして)の皆さんなら、もうお分かりでしょう。僕が2013年に書いた、映画の撮影で使う為のフェイクゲロの作り方が、この実験のゲロのために参照されたのです!

taiyaki.hatenadiary.com

 

f:id:HKtaiyaki:20200504215500p:plain▲実験の説明箇所

f:id:HKtaiyaki:20200504215512p:plain▲論末の参考文献

 

 全部読むの面倒くさいので、最初はcommand+fで「Taiyaki」という単語を検索したら、歴とした科学論文に引用された参考文献の著者として、超大真面目にTaiyakiが登場したのはクッソ笑いました。

 

 僕は今年憧れの映画秘宝に配給した『ザ・ルーム』を紹介してもらったり、学生時代から愛聴していたライムスター宇多丸のラジオにも電話出演しました。それはそれは喜びましたが、実は科学界にも2018年に知らぬうちに我がブログは鮮烈なデビューを果たしていたのです!

 

 と、いうことで、我がブログはきっと人類の進歩に偉大なる貢献を果たしたに違いなく、今後タイムワープの開発や、恐竜の復活、はたまた宇宙連邦の宇宙開発にも必ずやこのブログで僕が偽ゲロの作り方を発表したことが礎となりますので、皆さんはこれからはそのつもりで『SUPERBAD-ASS』を読むこと!エッヘン!そして誰もいなくなる)

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  • 作者:大堀 精一
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

*1:これ、調べていて意外で面白かったのですが、追試はあまり行われることはないそうです。だって面倒臭いから。すでに行われた実験を別の科学者が行なったって、新知識がつくわけでもないですし、自分の業績になるわけでもないですし、万が一実験結果が異なってしまったら、その論文を書いた科学者から恨みを買って報復を受ける可能性もあり、メリットが少ないからです。科学界がより追試を行いやすい環境を作るために助成金を出したり支援するプログラムがあるそうなのですが、科学の世界にも政治はあるんだなぁ。