『スケッチブック』を始めたワケ

 繰り返し何度も書いていますが、スケッチチャンネル『スケッチブック/SKITBOOOK』をオープンいたしました。定期的にスケッチ(何回も何回も言うように、欧米式コント)をアップして行く予定ですので、興味のある方はご登録お願いいたします。

 

 あと、スーパーやっつけでティーザー告知も僕の本チャンネルの方で出しましたが、やっつけで作っただけあって視聴回数0です。寂しいので観てみてください。

 

 現在のところ、「オリジナルコント」「コントシリーズ」「コントch」など、「コント」という言葉を使っていますが、当然スケッチと言う言葉があまり浸透していないので、仕方なしにコントという言葉を使っています。逆に言えば、『スケッチブック』がチャンネルとしてどれだけ成功するかは、「コント」という意味での「スケッチ」がこれからどれだけ普及して行くかである程度測れると思うので、これからわざわざスケッチの意味を説明しないでも住むように頑張っていこうと思います。

 

 ちなみに、コントとスケッチの違いを説明するのはとても難しいのですが、僕は「スケッチ」を毎回「欧米式コント」と説明しています。「コント」も「スケッチ」も媒体としては「寸劇をして笑い」を取るものなので、そこにあまり差異はなく、むしろコメディに対する日米のスタンスの違いにより「コント」か「スケッチ」することができると思います。そして僕は、「コント」ではなくて「スケッチ」をやりたいので、『スケッチブック』を始めました。

 

 僕は中学生の頃に『サウスパーク』を観て衝撃を受け、大学に入って『宇宙人ポール』や『スーパーバッド』と出会ってアメリカンコメディというものに傾倒していきました。アパトーギャングの作品を手当たり次第観たり、フラット・パックやウィル・フェレルの作品に触れたり、ナショナル・ランプーンの作品を掘ったり、ネットでSNLのコントやトークショーを探してゲラゲラ笑ったり、最近では暇な時間さえあれば「キー&ピール」の作品をひたすら観ています。アメリカにいた頃は、日本ではソフトスルーされるようなコメディ映画が山のように公開されるので、毎日劇場に入り浸って観客と一緒に笑っていました。

 

 よく、TVに映る芸人さんは「日本の笑いはレベルが高い/海外の笑いはレベルが低い」というような事を言いますが、僕はそこに強違和感を覚えました。確かに「アメリカンコメディは下品」とする言説をよく耳にする通り、セックスネタやバイオレンスネタ、ドラッグネタ、ウンゲロネタなど、日本のTVコードだったら決して流せないような激しいギャグは多いです。しかし、ほとんどのアメリカンコメディには弱者やマイノリティへの優しい眼差しであったり、権力者への批判であったり、社会問題の指摘などが巧妙に「下品な」ギャグに隠されており、僕にはそういったテクニックは相当技術の高いものにしか映りませんでした。

 

 余談ですが、欧米のコメディには風刺ネタが多いのは、中世ヨーロッパの道化師に始まります。当時王族や貴族は道化師を雇い、宮廷道化師は自由に王様や政治家を笑い者にすることを許されていました。雇い主は宮廷道化師のネタを楽しんでいたばかりか、自分たちの政治の反省材料にもしていました。アメリカではいまだに大統領が年一回ホワイトハウスで夕食会を開き、人気コメディアンを読んで自分をネタにさせて笑いを取る行事があります。*1

 

 僕は日本のお笑いを特段否定したいわけでもなく、というか僕自身もファンだったりするのですが、近年海外の芸人がトランプ政権の理不尽さをネタにして爆笑をかっさらっている中で、裸芸や下ネタがお笑いの大会で優勝するような状況で満足している日本の「お笑い界」のスタンスには強い違和感がありました。コメディ映画にしたって差別を笑い者にしたり、寛容性を訴える作品がアメリカで多く作られて行く中で、日本では佐藤ナンチャラがぶつくさ言っているだけで批評性0の福田ナントカ監督作品がバカ受けしている状況はむず痒いものがありました。*2特に、今はコロナで世界が大きな脅威にさらされている中で、日本政府のみ明後日の方向の対策ばかり打ち出すので、せっかくネタの宝庫なのにあんまり日本の芸人が手を出していないのは非常にもったいないと感じていました。

 
 で、風刺云々を抜きにしても、YouTubeにも海外では素人が作るスケッチのチャンネルがいっぱいあるのに、日本では芸人のYouTubeチャンネル以外ではまともなコントチャンネルがなく、「なんで誰もやらないんだろう」と長年不思議に思っていましたが、ちょうど僕は今コロナで超ど暇で時間が有り余っているので、「誰もやらないなら僕がやればいいじゃん!」と思い至り、今回『スケッチブック』を急遽開設した運びになりました。

 

 まあ、長々といろいろ書きますが、単純に僕は普段から人と会話する時も、映画を撮る時も「相手を笑わせる」ことを一番大事にしているので、だったら本格的に手を出してみようかと思った次第です。始めたからには頑張りますので、末長く温かい目で応援していただけると嬉しいです!

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*1:ケツの穴が小さいトランプはこのイベントが大嫌いなので毎年欠席していますが。そんな大統領は歴代で存在しません。(怪我で欠席したレーガンは除く)

*2:ただ、これは「お笑い界」だけではなく、長いものには巻かれるのが大好きで、政治批判をする人間よりも、保守的な政権を愛する方が好かれる日本人の「お笑い観」の問題なのかもしれません。