過ちを犯した人間には、応援を

 日本は一度過ちを犯した人に対してとことん厳しい社会だと思う。不倫や浮気をしただけでニュースになり、ワイドショーやSNSで人格否定され、仕事までなくなり、赤の他人に「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」と惨めに謝らされるのは異常だと思う。果ては最近は、コロナにかかってしまった病人に対しても鬼のように厳しい。

 

 犯罪を犯してないのにこれだったら、薬物使用者に対しては言わずもがな。清原和博覚せい剤取締法違反で逮捕された時、当然国を挙げての総バッシングだった。よく覚えているのは、今やオピニオンリーダーとなった松本人志が「僕は嫌い」と『ワイドナショー』でぶった切っていた。

 

 で、何でこんなことを書き出したかというと、昨日石橋貴明と清原が『貴ちゃんねるず』で共演した動画を見て、ちょっぴり感動したからだ。石橋の言葉を書き起こしてみる。

(〜9:30より)
石橋「これね、伊集院(静)さんの本を読んだ時に、『一度好きになった人間を、もしその人間が、もうマックス人を殺したとしても、一度好きになった人間を最後まで愛せるか?』って。

それを自分が好きだなって思った人間は、最後まで応援してやらにゃいかんだろうって。

俺、本を読んだ時に、キヨさんが捕まった時に「え〜?」って(思って)。でも、俺これでキヨさんを、あんなに俺の為にボールを置いてくれてスイング指導してくれたキヨさんを…っと思った時に、『あ、俺はもうずっと応援していこう』(と決めた)

(中略)

『裏切っちゃいかんな』って。『清原和博を好きだ』って自分が思った時からずっと、これはやっぱ、最後に(清原を応援する人間が)何人かになっても、応援しないと、好きって言った自分を変えちゃいかんっていう」

 

 松本人志は、覚せい剤を使っていることを隠し、嘘をついていたことに腹が立ったという。だが、今まで散々テレビで共演し、その関係性や恩義に嘘をついてしまったのはどっちなのだろう?清原和博は確かに薬物使用疑惑を否定したが、認めたって思い社会的制裁を受けるのは目に見えていたじゃないか。実際には、清原自身が、覚せい剤の強い中毒作用で、薬物依存症に苦しんでいたというのに。

 

 そう、一度大きな過ちを犯した人間に必要なのは、更なる制裁ではなく、過ちを改めて社会のために頑張って欲しい、という応援なのだ。なお、先ほどの石橋貴明の動画は3本立てになっており、薬物依存症がいかに恐ろしいか、という点についても清原に語らせていて、非常にフェアで暖かく人情味溢れる企画だと思った。『とんねるずのみなさんのおかげでした』終了以来、久々の男気じゃんけんが行われたが、その結末は思わずエールを送りたくなる、綺麗なガッツポーズだった。