【SKITBOOK定期報告会】YouTube Shortsが面白い

 僕が運営しているYouTubeチャンネル『スケッチブック/SKITBOOK』を注視している方ならご存知だろうが(いないか、そんな物好き)、ここ1週間くらい過去のネタを再編集して毎日YouTube Shortsに投稿している。

 

 YouTube ShortsはTikTokYouTube版みたいな機能で、1分以内の縦型動画を投稿・閲覧できる。スマホYouTubeを見ている皆さんなら見たことがあるだろう。「TikTokYouTube版」と書いたが、あからさまに勢いに乗るTikTokに対抗して作られた機能であり、いまや縦型フィードはTikTokYouTubeだけでなく、InstagramTwitterまでもが力を入れているジャンルだ。

 

 『スケッチブック』はTikTokでは2万3千人もフォロワーがつくほどバズらせてもらったが、僕は正直縦型動画というジャンルは好きではないし、極論を言えば人類を堕落させる悪しき文化だとすら思っている。だからYouTube Shortsにもリリース当初あまり乗り気ではなかった。

 

 転機となったのは先週、久しぶりにコントを投稿した時だ。新作コントを作る際は一応Shortsに転載版も投稿しているが、先週の縦型版コントが思わぬ伸び方をしたのだ。

 

 YouTubeに動画を投稿する際、今のところ僕はひとまず3桁の再生回数に届けば無問題だと思っている。が、YouTube Shorts版はいきなりハネて、1600再生に到達したのだ。もちろん、これはまだまだ少ない数字だが「いきなり」ハネたことに僕は可能性を見出した。

 

 試しに過去の『スケッチブック』のコントを縦型フォーマットに試行錯誤して投稿してみた。そのまま転載するだけではあまり伸びがよろしくなかったので、縦型ショート動画の性格に合わせて1カットの長さをなるべく短くして間を詰めるように再編集していくと、成績はさらによくなり3000再生以上いったものもあった。

 

 YouTube Shortsを始めたもう一つの理由としては収益化が始まったからだが、とはいうもののこれは収益率が小さすぎて子供のお駄賃くらいのお金しかもらえず、あまり期待していない。それよりも注目すべきは、『これまでの東京ヲリンピック』でバズって一度5000人に到達してから2年間右肩下がりだったチャンネル登録者数が、Shortsをあげるようになってから徐々に増え始めたのである。

 

 Shortsを出してから当チャンネルがどれだけ調子を上がっているかは、下の画像を見ていただけたらお分かりいただけるだろう(なお、収益化部分を隠しているのは嫌らしいからではなく、見せるのも恥ずかしいくらい低収入だからである。)

 

 ただし、毎回Shortsのコメント欄には元の全編動画へのリンクも貼ってあるが、こちらはそこまで再生数が伸びているわけではないのは注意したい。視聴者はあくまで隙間時間を埋めるためにShortsを見ているのであって、わざわざコメント欄をチェックしたりリンクを踏みにいくことはしない。現代人は呆れるくらい忙しない。

 

 しかし、やはり視聴回数やチャンネル登録者数が伸びていることは注目に値する。つまり、YouTube Shortsはお金を得たり、特定の動画やリンクへの誘導には適さないが、チャンネル自体の認知度をあげたり、ファンを増やすには抜群の集客ツールだということだろう。正直、ここ最近成績が下がり気味だった『スケッチブック』に対してモチベーションが下がっていたので、これにはかなり希望をもてる。当時はあまり再生されなかった過去の自信作が日の目を浴びているのも何気に嬉しいし、ネタの再生産なので何より楽である。

 

 そもそも、TikTokではあれだけバズっているので同じ性質のYouTube Shortsでもウケない訳がないのだから、もっと早くからやっておけばよかった…。これからShortsをやって見たい方は参考にしてもらえればと思う。

 

 まあ、ここで帯を締め直す訳ではないが、まだ1万再生を超えたShortsはないし、今年のYouTubeのスタンスとしては再生数を上げたり収益を増やしたい訳ではない。あくまでも、僕自身が納得でき、皆さんにとっても「面白い」コンテンツを作り続けていきたいと思っているので、是非見守っていただけたら幸いです!

 

 

海外の撮影現場で銃をどう取り扱うか

  アレック・ボールドウィンをめぐる裁判の続報を見て、思い出したことを一つ。

 昨年、このブログの読者の皆様ならご存知の通り、僕は海外の作品に参加していた。その現場で印象深かったことの一つは「まず何よりも安全を大事にする」ことだった。

 

 撮影現場での安全面の最終責任者は1stAD(助監督)である。毎日、現場に着くと「セーフティーミーティング」と呼ばれる集会を開かれ、1st ADがセットでの注意点や安全上の懸念点をシェアすることから始まった。もちろん、今はコロナウイルスパンデミックの真っ只中なので、衛生上の注意点も現場看護師と一緒にアナウンスしていた。スケジュールにしても、寝不足による事故が起きないように最低限の睡眠や休息がとられるようにはなっていた。

 

 この作品では、小道具で銃を取り扱う日が2回あった。もちろん、日本での撮影なので実銃や実弾が使われることはないだろうが、毎回銃を使うシーンの前に必ず1st ADが銃器小道具の担当者の元へ訪れ、プロップガンの弾倉が空であることを2人で目視で確認し、そのプロップガンを触れていいのは①それを演技で使用する役者か、②銃器の責任を持つ小道具担当 だけであることを散々念を押した。

 

 一度、役者が持っている小道具銃を何かの手違いで他のスタッフが持ってしまった時、普段は優しい1st ADが真剣に小道具担当に怒っていた。この現場は長期に渡ったため、途中で1回1stADが入れ替わったが、そのADも基本的には同じ態度で臨んでいた。それくらい、海外での撮影における銃器の取り扱いは厳重なのだ。

 

 当然、アレック・ボールドウィンの事件が起きてからなおのこと、彼らも慎重に仕事をしていたのだろう。でも、仕事をする上でスタッフの命や健康を守ることはプロとして当たり前だと思う。僕は去年、自主制作映画の現場で地方まで10時間運転させられた挙句、連日3時間ほどしか睡眠を与えられなかった時、本当に死ぬかと思ったね。

 

 

フック・ユー!

 『イニシェリン島の精霊』をこないだ観に行ったっす。考えてみたら、新年初映画館でした。

 

 皮肉でなくて、大人たちの小学生みたいな喧嘩に「一体何を観させられているんだ…?」ってなる感覚が面白く、この田舎町のささいな喧嘩に最後まで興味を持続させられたのは、光がウットリするほど美しいベン・デイヴィスの撮影のお陰だと思いました。

 

 なお、ウィキペディアを読んでいたんですが、ベン・デイヴィスの息子はなんと『ジョジョ・ラビット』のローマン・グリフィン・デイヴィスだそうですよ!ベン・デイヴィス自身がマーベルと5回撮影をやっているので、キャスティングをする上でタイカ・ワイティティと繋がりがあったのかもしれませんね。

 

 話が逸れてしまいましたが、『イニシェリン島の精霊』で勉強になったのは、アイルランド英語で「fuck」は「フック」と発音するんですね。キャプテン・フックのフックと同じ発音です。

 

 監督が『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー(そういえばアイルランド人)とあり、セリフが素晴らしく庶民的で粗野で、「フック」の他にも「シャイト」もいっぱい出てました。これは「shit」で、スペルもそもそも「shite」に変わります。

 

 なんでこんな事が印象に残っているんだろうと思いましたが、よくよく考えたら僕アイルランドの舞台の映画をそもそもそんなに観た事がないのに、R指定レベルの口汚いアイルランドの映画なんてより一層観た事がないから、非常に頭に残ったんですね。こんなにフックフック言っている映画見た事ないですよ!

 

 なお、昔留学していた頃、よく映画を一緒に撮っていた仲間の北アイルランド人の女の子がいて、彼女がしょっちゅう「Cunt(オXコ)」という言葉を口癖のように使っていてビックリしましたね。彼女は今頃元気にしているだろうか。

 

ジェレミー・リン無くして『シャン・チー』無し/『38 At The Garden(原題)』★★☆

 HBO MAX独占配信の「リンサニティ」についてのショート・ドキュメンタリー『38 At The Garden(原題)』を鑑賞。監督は本作がデビュー作となるフランク・チー。主題となるジェレミー・リンの他、『シャン・チー』のロニー・チャン、『愛国者として物申す』のハサン・ミンハジ、ジェニー・ヤン、そして元NBA選手のタイソン・チャンドラーやイマン・シャンパートらが出演。

続きを読む