夢がないよ…

 『侍タイムスリッパー』で一世を風靡した安田淳一監督が制作中の時代劇テレビドラマで、エキストラを無償どころが実費負担で募集して物議を醸しています。

 安田淳一監督のツイートを見ると、良くも悪くも監督の人柄の良さと純粋さが伝わってくるんですが、件のツイートや監督の丁寧なリプライなどを見ると、ちょっとメディアコミュニケーションに問題があるように見えてしまいます。僕も学生時代にエキストラ経験はありましたし、今でも僕がスタッフとして参加する作品でもたまにありますが、商業作品における無報酬でのエキストラ自体は珍しいケースではないのですが、炎上しても仕方がないような書き方ではあったと思います。

 

 一方で、僕が憤りを覚えるのは、あれだけ『侍タイムスリッパー』で大ヒットを飛ばして時代の寵児となった安田監督の最新作に、たかだか60万円のエキストラ費をTV局側が集められなかったことです。同じような絶望は『カメラを止めるな!』で大ヒットした上田慎一郎監督の次回作が同じような規模のインディーズ映画だったことにも通じています。とにかく日本には映像や芸術に金が回って来ず、先細りしていく一方です。

 

 ちなみにですが、数年前に日本国内で撮影された某海外ドラマのエキストラ費は、1人数万円でした。一人ですよ、一人。もちろん海外作品なので、規模も大きく三桁近い数が集められていたと思います。円安などもありますし、そもそもの予算も違うので単純比較は酷ですが、にしてもどこでこんなにも差がついてしまったんだろうと悲しくなります。日本の映像業界で食っていくには夢がないよ、夢が…。

 

 ちなみに、「AIでいいだろ」というコメントも見かけましたが、そういう話ではないと思います。

 

 

監督って可哀想だなぁ…

 今日から入った海外作品の現場なんですけども、監督はクリエイティビティが暴走しがちで、そのせいで来日前からおそらく色々とやらかしているようで、撮影監督やキャストからの信頼が全くないことが伝わってくるんですね。監督があれやりたい!って言っても撮影監督がノー、俳優がやりたくない、でビックリしました。日本の縦割りの現場だと監督は絶対的な意見を持ちがちですが、良くも悪くもスタッフ間が対等な文化だとこうもコントロールが効かなくなるんですね。

 

 まあ、でも気持ちはわからなくないですよ。僕もたまにカメラを回す側に立った時、監督が現場の仕切りを分かってないとイライラします。一方、やはり監督の気持ちも僕は痛いほど分かります。稀に自分の意図がうまく伝わらないと実感する時、すごく孤独になりますもん。ちょっと可哀想になってきました…。なんにせよ、今回の組は2日間だけのお付き合いでよかったです。

ポッドキャスト『落書きラジオ#10』公開!

 げ、なんか1週間すぎるのがあっという間でしたね!今週の『SKITBOOK』はポッドキャストをお送りします!

 

 前回も僕の半生を振り返りましたが、今回は学生時代以降にスポットを当てた回となります。自分で言うのもなんですが、人よりは色濃い人生を歩んでいる気がするので、気になる方がいたら是非お聞きください!

 

 なお、前回へのリンクはこちらです。

 

 

そういうことじゃないんだよ!

 Instagramのリールで回ってきて初めて知ったのですが、ダグ・リーマン監督で制作中の『Killing Satoshi』という映画があります。こちらはビットコインを発明したとされるサトシ・ナカモトに関する伝記スリラーだそうで、ケイシー・アフレック、ピート・デヴィッドソン、ガル・ガドットといった名だたるスターが出演します。

 

 ……これだけ聞くと大変面白そうなのですが、この映画がもう一つ異色なのはAIを使って撮影されるそうです。AIなのに生の俳優が出演?と思った方もいるかもしれません。この映画、ロンドンのスタジオでグレーバックのクロマキーセットを作り、俳優がそのセットで演技したのを実際に撮影するものの、背景や照明、VFX、美術などは全て生成AIで再現する驚愕のプロジェクトです。つまり、画面に映る生身の人間以外の可視物は全てAIになります。

www.thewrap.com

 

 プロデューサー側は、この手法によって本来なら約3億ドル規模になり得る作品を、約7,000万ドルで作れた、つまり約2億3,000万ドルのコスト削減になったと主張しています。そりゃロケーションも探さなくていいし、人件費も機材費も何もかもが圧縮されるので当然です。ですが、ギャファー(照明部)や美術部、VFXチームといった当事者たちにとってはたまったものではありません。

 

 先のSAG-AFTRAのストライキではAIから俳優の仕事を守ることも論点になりました。ケイシー・アフレックもピート・デヴィッドソンもガル・ガドットもストライキ中は脚本家や俳優たちに寄り添った発言をしていたのに、自分たちの権利だけが守られればスタッフの仕事は無くなってもいいのでしょうか?

 

 そう、まず一番大きな問題は、監督やプロデューサー、俳優といった比較的権力がある役職の人たちの仕事だけが守られる制作スタイルになります。しかも、僕がよりこのニュースに憤りを覚えるのは、現場スタッフの人権だけでなくて彼らが生み出すクラフトマンシップというものを軽視しているからです。

 

 背景も照明も美術も小道具も、何も単なる「後ろに写ってるもの」ではありません。演出・感情・空気感を大きく左右するものです。『スター・ウォーズ』のプリクエルの公開時、当時としては最先端すぎたオールグリーンバックの撮影手法には俳優たちの困惑を呼びました。ジョージの頭の中以外で何が起きているか誰も分からないので、どう演技したらいいかが分からないのですね。そのグリーンバック撮影への反省からLEDスクリーンに進化へ向かっていたところ、今度は最悪の方向に退化したと思います。

 

 もちろん、僕はAIはとても便利なものだと思いますし、業務が効率化するためなら積極的に活用するべきです。ただし、それは仕事の質を良くするために使うべきであって、そのために作品のクオリティが下がってしまうのでは本末転倒です。とはいえ、まだ公開前の作品なのでこれから予告編などが見えてきたらより深めた議論をする価値がありそうです。

 

 

誰が見てるか分からない

 先週『Arc Times』さんの生放送に出た時の話。僕はトランプのモノマネで出演して欲しいとの依頼を受けたので裸眼で出たが、僕は恐ろしく目が悪い。なので、放送中はコメント欄が一切見れなかったのだけれど、放送後にアーカイブを見ると意外と僕宛への質問がたくさんあった。いやー、すみません、無視してたわけじゃなくて、本当に見えなかったんです…!

 

 僕なんかに興味を持ってもらえることに嬉しく思いつつも、一つ気になるコメントがあった。「先週Taiyakiさん、池袋の映画館で『レンタル・ファミリー』観てましたよね?ふたつ隣の席でした」というもので、事実、このブログにも書いた通りその前週『レンタル・ファミリー』を池袋に見に行ってたので度肝を抜いた。

 

 もちろん、有名になったとか調子に乗ったり大層なことを言いたいのではないが、紛いなりにも現在『SKITBOOK』の全てのSNSを合計すると9万人の登録者数/フォロワー数を超える。 まだまだ影響力は小さいけれど、6年も活動していれば僕の顔を見て覚えている視聴者やファンがいてもおかしくない。

 

 もちろん、その方は純粋に応援の気持ちでコメントを書いていただいたとは思うが、どこで誰に見られているか分からない。幸い、映画館でのマナーは良い方だと思うけれど、僕が飲食店とか道端でつい行儀の悪いことをして誰かにネットに書かれる可能性だってもう0じゃないのだ。

 

 まあ、チャンネルが誰にも見られなかった初期の頃と比べるとありがたい悩みであることは間違いない。でもこれから街を歩くときはそういう事も最低限頭に入れなくなったのだなぁと思った。まず手始めに人前で鼻くそをほるのはやめます!

 

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