6月に観た映画の感想

 毎月恒例の更新。もう7月も終わりますが、6月鑑賞分の感想です。

 

 今月は『オブリビオン』『キスキス、バンバン -L.A.的殺人事件-』『ジョゼと虎と魚たち』『スーパーマン』『L.A.ギャングストーリー』『バレット』『G・Iジョー』『希望の国』『かぞくのくに』『ウェインズワールド』『エンド・オブ・ホワイトハウス』『赤ちゃん泥棒』『G.I.ジョー』『ベルリンファリル』『スーパーマンII』『華麗なるギャツビー』『ミニミニ大作戦』『スプリング・ブレイカーズ』『スーパーマンIII/電子の要塞』『G.I.ジョー/バック2リベンジ』『スーパーマン(インド版)』『ゴッドタンキス我慢選手権 THE MOVIE』24本の映画について書きます。

 

 『ミュンヘン』『戦火の馬』『リンカーン』は「偏愛!全スピルバーグ作品ひとり総選挙!」、

ワイルド・スピード』シリーズ3本については「『ワイルド・スピード』全キャラクター相関図(ネタバレ注意)」、

ハングオーバー』2と3については「マンネリズムからの脱却/『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える』と『ハングオーバー!!!最後の反省会』

の各エントリを参照して下さい。

  

 


 『アウトロー』に続いて今年二本目のトムクル映画。最近トム・クルーズの働きっぷりが凄いと思ってたのに調べてみるとそうでもない。ケイティ・ホームズとの離婚で慰謝料が大量に必要なんじゃないかと邪推したために錯覚してしまった。

 

 監督は『トロン:レガシー』のジョセフ・コシンスキー。同作よりオルガ・キュレリンコも続投。更に撮影監督クラウディオ・ミランダとプロダクションデザイナーにダーレン・ギルフォードも再起用しており、『トロン:レガシー』のヴィジュアル感覚を気に入っている様子。トムクルとキュレリンコが住んでいる基地なんてまんま『トロン:レガシー』の隠れ家と一緒。まぁ、確かにカッコいいけどさ。でもモーガン・フリーマンの格好とか、もうちょっとどうにかなんない訳?といか無駄に豪華なキャストなのは何故?

 

 全く内容を読めない宣伝方法がうまく、展開に驚きもある。ただ、こじつけのようなハッピーエンドは、あれを良しとするなら製作陣の頭を疑ってしまう。あともうひとつ不満があるとするなら、「オゥヴリィビオーンヌ」が本編にないじゃないか!


映画『オブリビオン』予告編 - YouTube

 

 『アイアンマン3』は世界共通で五月公開なのにクリスマスを舞台にしており、トニー・スタークのナレーションで始まりナレーションで終わる。今までのシリーズと違った作風で違和感を覚えていたら、シェーン・ブラックの作家性だそう。シェーン・ブラックのデビュー作にしてダウニーJr.とのコンビ1作目の『キスキス、バンバン』も全く同じ要素や構造をもつ映画だった。(トニー・スタークで『クリスマス・キャロル』をやりたかったという話もあるが)

 

 ロバート・ダウニーJr.も相変わらずかっこいいが、何と言ってもヴァル・キルマーハードボイルドなゲイキャラが面白く異色のバディ・ムービーとなっている。ヴァル・キルマーは『トップガン』でもトム・クルーズと裸でいちゃついたし、ガチムチなのでそういうのが似合う。しかしよくよく考えたらこの二人、アイアンマンとバットマンであり、アメコミ界二大社長!

 

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 『桐島、部活やめるってよ』(7回目の鑑賞)を目黒シネマに観に行った時の抱き合わせ。一緒に観に行った後輩達にも「いやー、絶対ディスると思ってましたよ」って言われたけど、いや、ラスト近くまで僕は結構好きな作品だったのよ!?池脇千鶴はおっぱい晒すし、新井浩史は相変わらずのDQN感だし、上野樹里のやさぐれっぷりも良い。ラブホテルでの会話なんてとても切なくて素敵じゃないか。なのに、あのラスト。冷めるってもんじゃないな。

 

 しかし、『ジョゼ』を『人魚姫』に見立てた素晴らしいレビューを発見して、自分がこの映画が嫌いなのは単にモテない男の怨念なんじゃないかと、恥ずかしくなってしまった。でも嫌いなものは嫌いだ。

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 なんと言っても予告編が痺れるくらいにかっこいいんで、期待を抱いて観に行った。期待通りとは言わないまでも、個人的には楽しかった。(巷の評判は悪いが) この作品について誰がなんと言おうと、ひとまずショーン・ペンのハマりっぷりは認めざるを得ないだろう。そのうちYouTubeにミッキー・コーエンの名場面を編集したファン動画が上がるはず。

 

 ほぼブルーバックで撮影してるんだろうか、全体的にヌメっとした質感が気になった。PS3のゲームみたい。


『L.A.ギャング ストーリー』予告編 - YouTube

 

  『スーパーマン』シリーズをまとめて。もちろん、『マン・オブ・スティール』の予習に向けて。前も記事に書いたけど、とにかくOPが最高に上がる。

 

 最近は『ダークナイト』路線ですっかりアメコミものは暗い世相を反映したダークなものばかりになってしまったが、原点に返って『スーパーマン』のような底抜けに明るい映画を観るのも楽しい。しかも別に底抜けに明るいからと言って、『スーパーマン』は中身の無い映画という訳ではないからね。

 

 有名な話、『スーパーマン』の原作者ジェリー・シーゲルおよび作画ジョー・シャスターはユダヤ人で、スーパーマンの出自はモーセをモデルとしている。丁度さっきまでアメリカの移民と音楽に関するレポートを書いていたのだけれど、アメリカに移民した当初ユダヤ人はプロテスタントから黒人並みに差別されていたという。そんなユダヤ人がアメリカのヒーローになることを夢見て作ったのが『スーパーマン』なのだ。

 

 『スーパーマンII』はリチャード・ドナー版を鑑賞したが、そちらの方が『スーパーマン・リターンズ』と整合性は合っているそう。ただ、ラストが[1作目と全く同じ]って…。いや、これは元々『スーパーマン』の[ラストを2作目にする予定]だったからしょうがないっちゃしょうがないんだけど、[まんま同じ]*1ってのもねぇ…。と思ってネットで調べたらリチャード・レスター版は[スーパーマンのキスによりロイス・レーンの記憶]が無くなるというもので、こちらなら納得。ただ、もう一回観るのはちょっと骨が折れる…。

 

 『スーパーマンIII』はなんかもうコメントし辛い。町山さんのPodcastによると『スーパーマンIII』はスーパーヒーローの脱構築映画として評価されるべきらしいんだけど、そもそもギャグ映画としても面白くないからなぁ…。スーパーマン対スーパーマンは楽しい。日米関わらずヒーローには偽物が付き物ですね。

 

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 最近になって80年代の雰囲気を持つ映画がたくさん出てくるようになった。ただ、80年代のアメリカ万歳保守映画と違って、最近の80'sリバイバル映画は非WASP、というよりは白人じゃない人たちにスポットが当てられているのが特徴的。『エクスペンダブルズ』も多人種混成部隊だし、『ラストスタンド』なんて移民のための映画でそもそも監督自体が韓国人(キム・ジウン)。『バレット』も韓国系のサン・カン(『ワイルド・スピード』シリーズのハン)がスライの相棒なんて、少なくとも80年代には考えられなかったはず。ハリウッドもリベラルな時代になってきたんだなぁ。これでアジア系のアクションスターが単発主役を張れるようになって大ヒットすると、映画界の『グラン・トリノ』なんだけども。


映画『バレット』予告編 - YouTube

 

 こんな機会じゃなきゃ絶対に見ることは無かったであろう良作。これが本当の発掘良品。終戦直前に公開されたとはいえ、製作はバリバリ戦時中だっただろうから、こんなに戦争の悲惨さを前面に出しているのは驚き。というのも、もっとプロパガンダ的な内容かと思っていたので。しかし、戦中のハリウッド製戦争映画はディズニーのプロパガンダ映画くらいしかあまり観てないので、探せばもっと戦争の悲惨さを訴えた映画があるかもしれないね。

 

 ちなみに本作は『G.I.ジョー』の原作である玩具の元ネタにはなった。

  

 園子温は良い意味でも悪い意味でもアクの強い作家で、そのために好き嫌いが激しく別れる。僕は割と好きな方で、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』なんかは大傑作だと思うし、世間で否定的意見が多い『ヒミズ』も僕の2012年映画ベストに入れた。でもこの『希望の国』はひたすらキツかった記憶しか無い…。

 

 震災描写とかメッセージとかがどうかじゃなくて映画として単純に面白くなかった。(神楽坂恵の行動など最初と最後では矛盾している)園作品特有のオーバーなアクションや抽象的な画にもうまい事ノレず。133分の上映時間がひたすら長かった。

 

 ただ、園監督次回作の『地獄でなぜ悪い』は面白そうな匂いしかしないので、かなり期待大!

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映画『地獄でなぜ悪い』予告編 - YouTube

 

 早稲田松竹で『希望の国』との抱き合わせで観た。『かぞくのくに』には大変胸を打たれた。

 

 今じゃ国を挙げて基地の外にいるような印象しか無いが、ソンホ(というかヤン・ヨンヒ監督の兄)が北朝鮮に渡った頃は、北朝鮮は地上の楽園と信じられていたそうだ。実際韓国のGDPを北朝鮮が上回っていた時期もある。

 

 しかし実態は全然違っていて、当然楽園とはほど遠い場所だった。厳しい独裁体制のもと、国民は貧困にあえぎ、軍事費ばかりがかさむ。医療技術も発展途上で、ソンホの脳に出来た悪性腫瘍を取り除く術は無い。治療のため日本に戻ろうとするが、なんと数年かけて申請したのにも関わらず、滞在できるのは5ヶ月だけ。それでも再び一緒に暮らせるわずかな日々に喜ぶソンホとその家族の姿には哀しみを感じる。

 

 一番哀しかったシーンは、ソンホの監視員であるヤン同志(ヤン・イクチュン)が、滞在先のホテルでAVを観ているシーン。将軍に忠誠を誓いつつも日本の進んだ文化(それが性文化であっても)にどこか悲哀に満ちた憧憬を抱いているのをわずかな描写で表した秀逸なシーンだ。

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 笑った。笑ったんだけど、ハチャメチャの度が過ぎてちょっと散漫な印象を受ける。そこまで楽しめなかったのはやはり自分にロックに関する知識が乏しいからだろうか。『2』も作られているので、それを借りるまでには勉強しておきたい。


ウェインズ・ワールド ボヘミアン・ラプソディ Wayne's World Bohemian Rhapsody - YouTube

 

 確かに『ダイ・ハード』と被る要素や展開があっても、これを「ホワイトハウス版『ダイ・ハード』」などと形容してしまうのは何が何でも避けたい。なるほど、密室に立て籠ったテロリストを、その場にたまたま居合わせた物理的に孤立無援の男がやっつける、という粗筋は似ている、というか参考にはしているだろう。ただ、『ダイ・ハード』の要素を取り入れても(この映画本当に『ダイ・ハード』に似たシーンが多い)、展開などは行き当たりばったりで、『ダイ・ハード』にあった神がかった脚本の巧妙さはまるでない。

 

 ダイ・ハード』の脚本が巧妙だなんて、もう今更口に出して言うのが恥ずかしいくらいなんだけど、あまりにも本作を『ダイ・ハード』と比べているレビューが多いので強調しておく。別に完璧な脚本にする必要はないけど、少なくとも鑑賞中に突っ込みどころが頭に思い浮かんでしまうようじゃダメだよ。『ダイ・ハード』は『ダイ・ハード』でも、本質を捉えてない中途半端なオマージュという事で『ダイ・ハード/ラスト・デイ』と似た映画だ、これは。

 

 話は変わるが、ハリウッド映画の企画が成立してから映画になるまで、3年くらいかかるそうだ。その間色んな人がプロジェクトに関わっては出て行くので、アイデアが流用してプロットが酷似した映画ができあがる事もある。有名なのは『アルマゲドン』と『ディープ・インパクト』、最近だと『スカイライン』と『世界侵略/L.A.決戦』がある。今年は本作と来月公開の『ホワイトハウス・ダウン』(監督はなんと破壊野郎エメリッヒ)がそれに当たる。ホワイトハウス襲撃ものが流行っているようだ。

 

 『エンド・オブ・ホワイトハウス』の原題は"Olympus has fallen(オリンポス、墜つ)"。オリンポスというのはホワイトハウスのコード名*2で、オリンポス12神が住むとされるギリシアの山の名前から取られている。だけどそんな偉大な名前が付けられた場所が立て続けに襲われても良いのかね?

 
『エンド・オブ・ホワイトハウス』予告編 - YouTube

 冒頭のオープニングが秀逸。本来なら時間をかける登場人物紹介を短いオープニング中に済ます手際の良さ。オープニングに代表されるようにテンポが素晴らしく、ジェットコースターのように過ぎていった95分。よくよく考えたらただでさえ短いじゃん!

 

 あとこの映画に驚いたのは赤ちゃんに演技をさせている所。何かを学ぶ頃にはもう既に成長してしまっている赤ちゃんを指導させる事は、犬やネコを訓練するより難しいんじゃないか?本当に赤ちゃんの挙動ひとつひとつが可愛くて最高!

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 『G.I.ジョー』シリーズもまとめて。

 

 ラジー賞にノミネートされちゃったりして、Imdbでも5点台とめちゃくちゃ評価の低い前作だけども、少なくとも1作目の幼稚さは最高に楽しかったパワースーツでパリを爆走するシークエンスは家での鑑賞だったのに鳥肌が立った!空中戦は当然として地中や水中までも自由自在に飛び回るバトルシーンには悶絶、スティーブン・ソマーズは男子のツボを徹底して押さえている。

 

 対して『G.I.ジョー バック2リベンジ』のジョウ・チュウは本当に分かっていない。前作にあったハイテクメカはすっかりナリを潜めてしまい、ドウェイン・ジョンソンブルース・ウィリスでごり押しを進めた結果、前作の主役のチャニング・テイタムにトンデモナイ事態が起き、前作にあったチーム感の楽しさはまるでない。唯一褒められるとしたら雪山でのニンジャアクションくらい。ジョウ・チュウが三作目に続投という話が既に上がっているらしいけど、誰か何とかして欲しい。というか、チャニング・テイタムを何とかして欲しい。

 

 なお、去年の映画界最大の珍事となった本作の3D化は意外にも効果があった模様。


『G.I.ジョー バック2リベンジ』本予告 - YouTube

 

 

 『アジア映画の森』(作品社)によれば、反共スパイアクションは昔から韓国で人気のジャンルだったらしい。僕はあんまり観たこと無いけれど、大抵は韓国のプロパガンダ映画で、敵役となる北朝鮮のスパイは大抵人間味の無いものとして描かれていたそう。しかし、『ベルリンファイル』が現代的なのは北朝鮮のスパイを主人公に配している点である。また、ベルリンを舞台に韓国国家情報院、北朝鮮工作員、CIA、モサドの思惑が東西冷戦の象徴であるベルリンで交錯するという粗筋は大変スケールがでかく、しかも"ちゃんと"面白い。全く、アマルフィ』なんて作ってる場合じゃないぜ…。

 

 笑ったのは、北朝鮮工作員の見分け方。死体を見て包茎であれば北朝鮮人らしい。何体の日本人遺体が勘違いされたことかな!


映画『ベルリンファイル』予告編 - YouTube

 

 もう、あちこちで話題になってるけど、やはり"I'm Gatsby!" の華やかさは最高!もっとパーティに狂乱するシーンが見たかったんだけど、終わりに近付くに連れて段々地味になるのは残念だった。物語の終わりというのはつまり世界恐慌なので、しょうがないんだけど。あとディカプリオの童貞っぷりにはビックリしたよ。

 

 童貞と言えば、ピーター・パーカーことトビー・マグワイアが出演しているんだけど、私生活でもトビーはディカプリオの取り巻きなんだよね。だから、ディカプリオにくっついて歩くトビーは現実とシンクロしていて笑えた。


The Great Gatsby clip Fergie: A Little Party Never ...

 

 6月鑑賞した映画の中では断トツで一番!カーアクションというくくりならオールタイムベストに確実に入る。奇想天外なカーチェイスの連続で、「自己防衛社会の歌」に合わせて逃走するクライマックスは最高!まぁ、あの歌は意味が分からないんだけども。歌詞を解説しているサイトは無いかしら。


The Italian job Theme (Self Preservation Society ...

 

 一体何がしたいのか。

 最初フェイス(faith=信仰)という名の少女が福音派の集会に参加し、手を取り合って「欲望という試練と、それから逃れる道」を説く聖書の『コリントの手紙を』読んだりする。ということは、そういうキリスト教系のメッセージが隠された映画なのかと思ったら、彼女は開始30分くらいで銀幕から退場してしまう。

 

 次はギャル二人がギャングスタ・ラッパーのエイリアン(ジェームズ・フランコ)に拳銃を突きつける。フランコはその拳銃をしゃぶるのだが、拳銃はよく男根のメタファーとして描かれる。(先に挙げた『キスキス、バンバン』でもゲイ役のヴァル・キマーが股間に銃を隠すシーンがある)となれば、男性を圧迫する女性というフェミニズム的にな構図を描きたいのか。でもこうした描写も突発的にしか描かれない。

 

 じゃあ青春の儚さか?冒頭からスプリングブレイク(春休み)に浮かれるバカな学生達の素材がスローモーションで繰り返し再生される。それに被せてエイリアンが「Spring break, forever......」と囁く声がインサートされる。所々印象的なネオンカラーが出てくる。これ、ドラッグやアルコールでラリった表現だとしても古すぎるし、あまりにもしつこくて冗長だ。そもそもジェームズ・フランコは学生じゃねぇだろ!

 

 貞操観念を護る事の誠実さだとか、フェミニズム的なものだとか、スプリングブレイクの儚さだとかを描きたかったら、童貞が主人公で、湖を血まみれにしてちんぽを食いちぎ『ピラニア3D』をよく勉強すべきだったよ。

 
スプリング・ブレイカーズ 無修正版予告 - YouTube

 絶句。取り敢えず2時間捨てる覚悟のある方は下記の動画を見て下さい。今度ツッコミ記事を作りたい。


Superman - YouTube

 テレビドラマが映画化されると、大抵その出来は低いもので、制作側もお茶の間の視聴者を劇場に連れ込む事のみを意識して映画ファンなんかはそっちのけで、そうした映画は映画ファンから「テレビをスクリーンにかけるんじゃねぇ!」と批判される。しかし、なんと逆に「TVを映画館でやってみようぜ!」と やってみたのがこの『キス我慢選手権 THE MOVIE』だ。『ゴッドタン』自体悪ふざけ要素の強い企画を連発する番組で、今回の映画化は悪ふざけのその一環かもしれない。

 

 さて、もちろんそんな実験的、または革命的(byオーケン)とも言える作品なので、早速この作品の評価は賛否両論のようである。見た感じだと、この映画を褒めているのは僕を含む番組のファンや、水道橋博士など劇団ひとりの才能を良く知る芸人が多く、批判しているのは番組を良く知らない映画評論家や映画ファンに多いように思える。

 

 僕個人としては、蒼井つかさはおっぱいを見せたり、セックスのような描写を流していて、ちゃんとTVでは見れない劇場だけでの特別な体験を意識して作られているので、本作を「映画」として評価に値すると思っている。しかし、縛りやトーマスさんのレビュー「我慢しているのは観客だよ!」で「(本作を評価しているのは)もともとゴッドタン自体の視聴者なんだよ。つまりテレビで見てる人が劇場に来ているだけで、それじゃ『映画けいおん!』とかと同じやん・・・ファンは満足してるけどそれ以外の人にはまったく届いてない」と厳しく批判されていて、「ぐぬぬ…」と思わず閉口してしまった。というわけで、僕には本作を客観的に観ることが出来ていないようだ。

 

 ただ、僕はおぎやはぎやバナナマンが劇団ひとりのやることを全て説明してしまうのがTV的に感じてしまい、鑑賞の邪魔で仕様がなかった。ツッコミは笑いの手助けになる*3けど、説明は冗長に感じるし、アドリブの良さを殺してる。

 

 あ、あと、アドリブに関して、オーケンも言ってたけどエンドロールでメイキングを流すべきだった。また、700円もするパンフレットにもメイキングのスチール写真が無く、少し嘘くさく感じてしまったよ。DVDの特典にはちゃんと収録してね。


映画『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』(6.28公開)予告【公式】 - YouTube

 


 今月も多かったなぁ…。しかもテスト期間で忙しく、あげるのがこんなギリギリになってしまった。 

*1:そもそもあの終わり方はなんでもあり過ぎて僕はあまり好きじゃない。というか、[時間までは戻らない]だろ!

*2:コード名なのに映画のタイトルに成る程有名だと意味がないので、実際にそう呼ばれているかは不明

*3:先月『HK/変態仮面』のレビューで書いたが、僕は映画でツッコミをするのはTV的で嫌いだ。でも、本作の場合は限りなくTVに近い映画なので許容範囲だと思う。