『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を日本公開前にアメリカの映画館で鑑賞!というか、アメリカに来て一番最初に観た映画が『マッドマックス』だったんだけど、気がつけば日本でも今週末公開じゃないか!一足先に観てる意味がない!ということで慌てて感想を書きました。公開前から吹き替え問題などで色々荒れてました*1が、本作の前ではそんな問題は荒野の彼方に吹っ飛びます!
お馴染み、核戦争後の廃退し水とガソリンに最も価値を置く世界。妻と娘を暴漢に殺された元警官の一匹狼マックス(トム・ハーディ)はカリスマ的指導者イモータン(不死の)・ジョー(ヒュー=キース・バーン)率いるウォー・ボーイズに捕らえられ、放射能汚染されたウォーボーイズへの血液ドナーとしてカルト都市国家シタデルに捕らえられていた。一方でその頃、イモータン・ジョーの副官フュリオッサ(シャーリーズ・セロン)はガソリン採集という任務を騙り、ジョーが己の子孫を繁栄させるために飼っていた5人の性奴隷を開放すべく脱走を図る。もちろん彼女の計画はいつしかジョーの耳に入り、ジョーは自ら追跡隊を率いてフュリオッサらを地の果てまで追いかけ回すのであった。めでたしめでたし。
いや、本当にこの映画、この必要最低限の情報だけ提示したら残りの2時間ひたすら荒野をとんでもないテンションで爆走し続けるので度肝が抜かれた。そしてアクションばかりで構成されているのにも関わらず、この映画はとても静かである。もちろんジャンキーXLが手がけたハードコアなスコアは鳴り響くし、なんならジョーの追跡隊には巨大アンプを乗せた車の上でギターを爆音で弾いてるバカ(言わずもがな褒め言葉)もいる。しかし台詞の量は極端に少なく、アクションだけで物語を進めていくのでまるでバレエを観ているようだ。
誤解されがちだが、「アクションしかない=ドラマがない」ではない。ひたすら爆走し続けると書いたがそれは若干嘘であり、「動」がひたすら続くの映画の中盤にほんのちょっと(本当にほんのちょっと)の「静」の時間がある。しかしこのほんの僅かな「静」に本作が描くテーマやドラマが密に詰まっており、その密度をもってして止め処もなく押し寄せてくる「動」との奇跡のバランスを保っている。
でもそれにしたって2時間近くカーアクションが続く本作はタイトル負けしていない。砂漠をずっと移動しているように見えるものの、よくよく考えたらマックスとフュリオッサなんてほとんどウォータンクから外に出てないじゃないか!なのに次から次へと予測不能な狂った実写アクション*2が展開されるので1フレームたりとも飽きる暇を与えない。書いても書いてもこの映画の規格外れの面白さを伝えるのは不可能に近く、「とにかく観ろ!」としか言いようがないという意味では映画ブロガー泣かせの映画でもある。
初作『マッドマックス』が世に出てから36年、そして世界がいきなり終わった『マッドマックス2』から34年。『マッドマックス2』が『北斗の拳』に多大な影響を与えたことは有名で、2008年には映画秘宝誌上で行われたオールタイムベスト投票で6位に選ばれたことからも伺えるほど『マッドマックス2』は当時リアルタイムで観た人にとってはショッキングな映画だったろう。公開当時生まれてすらいなかった僕は残念ながら家でDVDで観て「ああ、当時劇場で観た衝撃は凄かったんだろうなぁ…」と指を咥えるくらいしかできなかったが、"マスターマインド"ジョージ・ミラー(70歳)が作ったこのフューリー・ロード、まさかリアルタイムで走れる日が来ようとは!
OH WHAT A MOVIE, WHAT A LOVELY MOVIE!!!
Mad Max: Fury Road - Official Theatrical Teaser ...