日本人は映画を観なくなった、なんて話をよく聞くが、確かに留学して色んな国からの友達と話してるとそれを実感する。こっちにいる日本人学生達に映画の話をしても全然興味なさそうだが、他国からの学生だと映画専攻でもないのに映画をよく観る人がたくさんいて、世界的には未だに映画は娯楽の王様なんだなぁと思う。*1。特に最近ニュースでも聞くように、中国での映画人気は凄まじいらしく、日本人の友達よりも中国人の友達と映画の話をした方が盛り上がるくらいだ。
ただし、衝撃だったのは中国人の友達ほぼ全員が『スター・ウォーズ』を知らない、もしくは聞いた事はあるけど観たことがない、という事だった。「アメリカ文化だからしょうがないんじゃない?」と思われるかもしれないが、例えば(僕の知人限定の範囲ではあるが)、ヨーロッパやメキシコからはもちろん、パキスタンやサウジアラビアからの友達だって観ているし、誰に話を振ってもと熱狂的に盛り上がる。ところが中国人の学生間となると途端に『スター・ウォーズ』の知名度が下がるのだ。
でも歴史を考えてみると当然の事で、『新たなる希望』が公開されたのは、文化大革命が終わった翌年1977年だったので、そもそも『スター・ウォーズ』自体が中国には輸入されていなかったのだ。そりゃ知る訳ないよね。ちなみにプリクエル・トリロジーは公開されだけど、ウォール・ストリート・ジャーナル*2によると三部作合わせて1870万ドル(現在の為替レートで22億8000万円)しか稼いでいない。比較のために載せておくと、『ファントム・メナス』が日本で公開された時の興行収入が132.6億円*3だ。
しかし中国は今や映画界において最も重要なマーケットの一つである。『フォースの覚醒』だけでなく、今後も続編やスピンオフを控えるディズニー=ルーカスフィルムだが、マーケティング至上主義のディズニーなので対策は抜かりなく、昨夏中国本土で初めて『スター・ウォーズ』旧三部作が上映されたそうだ*4。反体制側が主人公の映画を中国で流しちゃって大丈夫かどうかはともかく、中国の観客は去年初めて遥か彼方の銀河系の物語に触れたのだ!
ただ、『フォースの覚醒』が現在進行中で色んな興行収入記録を作っていて、世界中の映画ファンが「しかもまだ中国では公開されてないんだぜ!*5」って期待しているけど、正直中国では他国ほどウケないんじゃないかな、と僕は思ってる。というのも、先ほどのウォール・ストリート・ジャーナルの記事の最後にこんな事が書いてある。
スター・ウォーズのファンサイトを運営するチェン・タオさんは、ガールフレンドと両親をファンイベントに連れて行くことで映画に興味を持たせようとしたが、だめだったと話した。同氏は「あの人たちは大半の中国人と同じく現実的で、実際の生活に基づいた映画を見たがる傾向がある」と説明。「スター・ウォーズは現実世界からかけ離れすぎている」と述べた。
これすごく分かるんだけど、この間『スター・ウォーズ』を観た事ない中国人の友達を数人招いて『新たなる希望』布教会をやったら、「何故ストーム・トルーパーの銃は当たらないんだ」とか「CGが稚拙*6」とか「なんでオビ=ワンが死んだら消えるんだ」とかまさかのツッコミ上映会になってしまった。感想聞いても「リアルじゃ無いからつまらなかった*7」の一点張りで、この上映会が如何にストレスフルだったか、僕の『スター・ウォーズ』愛を知る人には想像に難く無いよね!
ということで、今週末1月9日にもようやく中国で『フォースの覚醒』が公開されるけど、ディズニーはちゃんと中国にも『スター・ウォーズ』文化を根付かせる事ができたのか、その成果を注目していきたい。

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*1:と言いつつも、ネット上に違法アップロードされているのを観て楽しんでいる友達が非常に多く、そこら辺には映画に対する愛が足りないなぁとは思う。
*2:
*3:日本国内歴代総合興行収入ランキング 1位 - 100位 - 映画ランキングドットコムから、ちなみに当時と今の日本の物価は同じくらい
*4:
*5:ちなみに中国で公開されていない理由は、米国映画年間輸入枠34本を使い切ってしまったから。
*6:当時はCGなんかない!と言っても無駄なのである
*7:ちなみに記事のように、じゃあ何故ヒーロー映画や『ジュラシック・ワールド』がいいかと聞くと「地球が舞台なのでまだ感情移入できるから」だそうだ