意識の違い

 さて、今日は友達の家族が経営しているレストランのCMを撮影した訳だが、ある意味で今までで一番困ってしまった。というのも、時間になってもスタッフ・エキストラが全く来ないのである。

 

 

 今回のCMは一応友人の頭には近所の劇場にかける計画があるらしく、それならばしっかりとしたものを作らなければならないと、ミニプロダクションみたいなのを設立し、撮影に入る前に何度かミーティングを繰り返し入念に準備をしていたつもりだった。例えば音楽の部門、振り付けの部門、装飾の部門、エキストラの部門、などとスタッフを振り分け、それぞれに仕事に専念するよう指示を出していた。撮影のスケジュールも何日も前から決め、あとは開始を待つのみだった。
 
 しかしTOEFLをようやく終えて急ぎ足で現場に向かうと、いるはずの人間が全くいない。来たのはCMの依頼をした友人と見学に来た友達と主演俳優の一人だけ。唖然とした僕はエキストラ配属を担当していたはずの友人に聞くと「忙しくて見つけられなくて…」とバツの悪そうな顔をする。
 
 他に来る予定の人間にも電話しても繋がらない。昨日もブログに書いた通り、深夜遅くまでペイントパーティがあったので、おそらく寝ているのだろうと想像に難くない。しかし、それでも僕は僅か4時間の睡眠で朝からのTOEFLテストを済ませてから来たというのに、昼からの撮影はそんなに起床に難しいはずでは無い。
 
 日本で映画サークルにいた頃を思い出したが、こういった事態はまずあり得ない。確かにキャストやスタッフが寝坊した、などという話はたまにあるが、ほとんどのスタッフが来ない、というのは起こりえない。映画サークルは映画好きが集まる場所であり、大なり小なり映画制作現場に憧れがあったり、モノづくりが好きな連中が集まってるし、たとえ素人集団でもちゃんと自分が携わる作品は良いものにしようと努力する。
 
 現場の怠惰な状況を見て途方に暮れ、日本の映画サークルが恋しくなったが、しかし同時に怒るのもまた違うな、と思って変に冷静になった。映画制作は団体戦であり、意思疎通が要である。日本での経験を勝手に当てはめ、通知をしとけばスタッフやエキストラは来るし、それぞれが仕事をするものだと認識していたのが甘かった。ましてや、今回のCM制作はメディア専攻でもなんでもない有志が友人のレストランのために集まってきただけなのに、そこにプロ意識を求めるのは酷だろう。コミュニケーションは言語だけが問題ではなく、メンバーの考え方や性格、優先度、背景なども相互理解しなければならない、ということも学ばせてもらったのであった。
 
 ところでどうやって撮影を乗り切ったかというと、慌ててその場で知人に電話をかけて来れる人を探した。現場に来ないのも驚きだけど、意外と人が簡単に見つけられるのも驚きだね。
 

New production in progress. #theawesomesquad #filming

The Awesome Squadさん(@theawesomesquadpro)が投稿した写真 -