またも銃による痛ましい事件が起きた。
米国に渡米して一年の間、銃による乱射事件は度々起き、もはや日常的なものとして捉え始めていた自分の感覚も怖いが、流石に今回の事件には衝撃を受けた。「massacre」という単語を見出しにつける記事も散見するが、本当に「虐殺」としか言いようがない。
特に今回の場合は起こった場所が単なるいわゆるゲイバーなだけでなく、オーナーがHIVで弟を失ったことをきっかけに作ったLGBTの教育やコミュニティ提供の場所になっていたり、オマーン・マティーン容疑者の両親がアフガニスタンからの移民で、かつ関連は確認されていないものの、犯行直前にISISへの忠誠を誓っていたり、また現在がムスリム意識が高まっているラマダン中であったり、色々と込み入った背景事情が見えてくる。オバマ大統領も「テロリズムであり、ヘイト行為である」との声明を出した。
当然それ自体が悲劇的な事件ですが、こういった事件が起きるとむしろ恐ろしいのは「そのあと」だったりする。すでにあの人はこんなツイートをして炎上した。
Appreciate the congrats for being right on radical Islamic terrorism, I don't want congrats, I want toughness & vigilance. We must be smart!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年6月12日
イスラム過激派について正論であり続けたことを祝福してくれたことに感謝する。ただし、私は祝福はいらない。私は強さと警戒心が欲しいのだ。私たちは賢くならなくてはならない。
アンチトランプは「不謹慎だ!」と怒っているが、これはもう恒例のやり口でバカにつける薬はないのでしょうがない。それよりも僕がずっと怖く感じるのは、少なからず誰かがドナルド・トランプのムスリムに対する認識を「祝福している」という事実の方である。トランプはより一層イスラム圏からの移民排斥を強調し、ヒラリーを叩く格好の題材にもしている。*1そして今回の事件は間違いなく大統領選に強い影響を与えるだろう。
しかし、だからといってムスリムも移民も関係がない。イスラムの指導者達は早速犠牲者達を追悼する声明文を発表している*2。「イスラム」という単語の語源も「サラーム」すなわち「平和」から来ており、ISISみたいな過激派に一番困っているのはムスリムたち自身なのだ。また、最初に書いたようにマティーン容疑者はISISに忠誠を誓っているものの、FBIは未だISISとの関連を見つけられてはおらず、どちらかというと強いシンパであるとの見方を示している。更に言ってしまえば、マティーン容疑者の両親はアフガニスタン出身であるものの、彼自身はNY生まれの歴としたアメリカ人で、犯行に使われた銃もアメリカ国内で手に入れたものだ。加えておくと、マティーン容疑者は日頃から同性愛者に対し強い嫌悪感を周囲に見せていた。
ちなみに今回の事件が起こる二日前、同じオーランドではたった現場から4キロ離れたコンサート会場で歌手がファンに射殺される事件も起きている。本当に規制すべきなのは移民なのか銃なのか、一目瞭然だろう。そもそもアメリカという国は誰が作ったか忘れてないか。たまたまイスラム教徒だった大バカ野郎が事件を起こした、だからといってヤツらの思い通りにさせてはならないのである。
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