DCEU(エクステンデッド・ユニバース)第三弾、『スーサイド・スクワッド』をIMAX 3D前夜祭興行にて鑑賞。『フューリー』のデヴィッド・エアーが監督&脚本、『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』のザック・スナイダーが製作総指揮。タスクフォースXのメンバーをウィル・スミス、マーガレット・ロビー、ジョエル・キナマン、ジェイ・コートニー、ジェイ・ヘルナンデスらが演じ、ジョーカーをジャレッド・レト、バットマンをベン・アフレックが演じる。
ジョーカーを狂信的に愛してるハーレイ・クイーンは、牢屋内で衣類の布で作った縄で曲芸を披露するが、その時背景でかかっているのはレスリー・ゴアのバラードをカバーしたGraceの「You Don't own me」。
私はあなたの持ち物じゃない
私はあなたの玩具じゃない
私はあなたの所有物じゃない
他の男の子たちと遊んじゃいけないなんて言わないで
何をすべきかなんて命令しないで。
何を言うべきかなんて命令しないで。
お願い、一緒に出歩く時は
見世物として扱わないで
正義のために身を捧げるヒーローよりも、己の欲望のためだけに生きる悪役たちの方が実は自由を愛しているのかもしれない。男に支配されている女の子の悲痛を歌った歌詞が、見事に政府に利用されている悪人たちの心情を表している。
その次にかかる曲は、超人的な悪人たちを軍隊として使うタスク・フォースX計画の発案者アマンダ・ウォーラーが初登場するシーンで、ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」*1。
自己紹介をさせてくださいませ
私は裕福で味にうるさい男です
随分と長生きしてきました
幾人もの魂と信念を奪ってきました
ストーンズの名曲に登場する悪魔のように、アマンダ・ウォーラーは悪人たちの弱みを握って戦わせ、自分は高みの見物をしている。役職は体制側だが、これではどちらが悪者かわからない。
とこのように、これから流れる映画が名曲で物語を説明する作風であることを観客に提示したところでタイトル『SUICIDE SQUAD』!ああ、なんて痺れるオープニング!完璧なサントラ、ユーモアあり、凸凹チームの葛藤と、これはディズニー/マーベルから遅れをとっているワーナー/DCからの返歌で、DC版『ガーディアンズ・ギャラクシー』とも言える。ただし、ガーディアンズよりもこちらのガチの悪人揃いのスクワッドの方が毒気も強暴性は遥かに上!
マーゴット・ロビーのハーレイ・クイーンとジャレッド・レトのジョーカーは言わずもがなだが、それぞれの役者もハマリ役で各キャラの掛け合いにいちいちケミストリーが発しておりそれだけニコニコしてしまってほっぺたが痛い。加えて本作はヒーローに倒される悪人にだってそれぞれ事情や生活があることを描いた、初めてのアメコミヒーローではなかろうか。
そして実はスイートなラブストーリーにもなっている『スーサイド・スクワッド』。ダークだがポップという、相反する要素が相乗効果を発揮する世界観にいつまでも浸っていたい気分になる多幸感溢れる2時間であった。完璧な作品とは言わないが、愛している!