もう2週間くらい前になるんですけども、『バース・オブ・ネイション』を観ました。
映画史に残る『國民の創生』(僕は前半だけ観たまま続きを観れてない…)に対する挑戦的な映画として大変話題になっていた作品で、残虐極まりない黒人奴隷に対する扱いを生々しく描くことで現代の「Black Lives Matter(黒人だって生きている)」運動を浮かび上がらせる傑作でした。抑圧に対する戦いを紡いでいけ、というメッセージが込められたラストも素晴らしいです。観に言った劇場でも黒人観客が多くて彼らのしんみりした表情が忘れられません。
ただし、この映画のIMDbの評価はたったの5.8(2016年11月16日現在)です。今年の賞レース最有力候補の作品として名高いにもかかわらず。
ただ、この理由はハッキリ言って明白で、監督・制作・脚本・主演を兼任したネット・パーカーが大学生時代に起こしたレイプ疑惑が明るみに出たからなんですね。彼がレイプを起こしたかどうかはハッキリしていません。そして事実だったとしたら擁護できるものではないでしょう。
だからといって、『バース・オブ・ネイション』がこのような低評価を受けることにはどこか釈然としない。IMDbはあくまで映画レーティングサイトのはずだ。しかし匿名性を良いことにどうも作品を不当に貶しめるために使われている気がする。新『ゴーストバスターズ』然り。*1
だいたいね、ネイト・パーカーがこんだけ叩かれるんだったらロマン・ポランスキー御大はどうなるんだよ!
1977年に未成年への強姦容疑の疑いがかけられたポランスキー御大はフランスに逃亡して作品を作り続ける。『おとなのけんか』は舞台がニューヨークなのにポランスキーがアメリカに入国できないからわざわざパリにセットを建てた!IMDbの人間は誰もポランスキー作品を叩いていないけど、ミレニアル世代が単純にポランスキーを知らないからではなかろうか…。そしてポランスキー御大は今後も2本の新作が公開待機中。
最も危険なアメリカ映画 『國民の創生』 から 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 まで
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2016/10/26
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