アーカンソーより麻薬をこめて/『バリー・シール/アメリカをはめた男』★★★

 70年代に実在したパイロット描いた『バリー・シール/アメリカをはめた男』をIMAXにて鑑賞。監督は『ボーン・アイデンティティー』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のダグ・リーマン、脚本はゲイリー・スピネリ、音楽はクリストフ・ベック。主演はトム・クルーズ、共演にサラ・ライト、ドナルド・グリーソンら共演。

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  トランス航空の敏腕パイロット バリー・シール(トム・クルーズ)はその実力を見込まれ、CIA職員モンティ・シェイファー(ドナルド・グリーソン)から接近される。モンティから中央アメリカへの偵察任務をこなすバリーであったが、そのうちパナマのノリエガ将軍とCIAの間のメッセンジャーまで任命されるようになる。

 

 淡々と仕事をこなすバリーであったが、その役割に目をつけた麻薬組織メデジン・カルテルはバリーに莫大な報酬と引き換えにコカインの密輸を依頼する。副業で儲かるバリーをモンティは黙認していたが、ついにバリーは麻薬取締局に目をつけられてしまう。家宅捜査が目前に迫るバリーにモンティは救いの手を差し伸べる。

「君には隠れ家を用意した。今からアーカンソーへ向かってくれ

 

 ここでトム・クルーズが「アーカンソー!?」と驚くのが、あの辺鄙な田舎で留学生活を送っていた自分には嬉しくて嬉しくてニンマリしまった。まさかこんな大手メジャーで全米配給されている映画にアーカンソーが舞台になる日が来るとは!というか、アーカンソーでCIAや麻薬カルテルを巻き込むような犯罪ドラマが巻き起こっていようとは!否、むしろ誰も知らないアーカンソーだからこそこんな大層な事件が秘密裏に起こっていたのだ。

 

 アーカンソーが舞台なだけでなく、一介のパイロットだった男の人生が政府や麻薬シンジゲートといった巨大な組織の思惑に踊らされていく様が悲しくも面白い。金が湯水のごとくに沸く、という比喩表現を地で行き、金が余りすぎて処分に困るトム・クルーズが笑いを誘う。本作は実録ドラマなのにIMAXで公開されており鑑賞前は疑問に思っていたが、劇中飛行機が墜落する贅沢なギャグスタントを案の定トム自身がノースタントで行なっており、いまや一ジャンルとなったトム・クルーズ映画としても申し分ない。

 

 巨額が動いていた犯罪の舞台が全米で二番目に所得の低い州であるアーカンソーであったことは皮肉だが、残念ながら本作のロケ撮影はジョージア州に取られてしまっている。そういった肝心な所のへっぽこぶりもアーカンソーの可愛いところで、住んでいた時はあれだけ憎かったアーカンソーに郷土愛を抱いてしまっている自分に気付かされたという意味を込めて、★一個ぶんオマケ。

 

 

 

 

バリー・シール/アメリカをはめた男 (オリジナル・サウンドトラック)

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