明日の映画ベストテンに先駆け、例年通り今年僕が観たコメディ映画ベストテンを発表していきたいと思います。なお、あくまで「コメディ映画」としてのベストテンですので、この順位が明日のベストテンに反映されるとは限りません。
【2017年コメディ映画ベストテン】
- ビッグ・シック
- The Disaster Artist
- レゴ®︎バットマン ザ・ムービー
- ヒットマンズ・ボディガード
- Daddy's Home 2
- ジーサンズ はじめての強盗
- マイティ・ソー/バトル・ロイヤル
- ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
- Lady Bird
- ローガン・ラッキー
【解説】
ジャド・アパトーが相変わらずのプロデュース力/発掘力を見せつけた①は、パキスタン系コメディアンのクメイル・ナンジアニの自伝を基にしたラブコメディ。ラブコメディなのにヒロインは病気でほぼずっと昏睡状態で、その間白人のヒロインの両親との間のカルチャーギャップ、そして保守的なクメイルの両親との世代間ギャップコメディを展開する思い切りの良さで、結果としてラブロマンスにも大きなカタルシスを生む傑作だった。
②は史上最低の映画『The Room』の制作裏のドタバタを描いた傑作だが、考えてみると史上最低のカルトを作るのと史上最高の傑作を作るのは同じくらい難しい。否、狙って作ることができない分、カルトを生み出すことの方が難しい。奇しくも14年間観客を劇場に足を運ばせるカルトを生んでしまったトミー・ワイゾーへのジェームズ・フランコからの羨望の眼差しが本作にはあった。
『バットマン』という題材を広げてみせた③には脱帽。「バットマンとジョーカーは表裏一体」というリブートが続いて手垢にまみれてしまった設定に、倦怠期のカップルの関係性を加わったことで爆笑したし、フランチャイズに深みを与えた。
ライアン・レイノルズは何を演じてもライアン・レイノルズ、というライアン・レイノルズがスターの階段を登っている証拠を④で実感した。サミュエル・L・ジャクソンとのケミストリーも最高。来年の『デッドプール2』も期待が高まる。
バカコメディ(褒め言葉)『パパVS新しいパパ』の続編である⑤は相変わらずのくだらなさ(褒め言葉)であるものの、そのクライマックスは「何故映画を映画館で観るのか」を堂々と説いており、そのストレートさに感動を覚えた。だから僕はコメディ映画を映画館で観たいのだ。
三人の名優の共演している⑥は流石というべき安定力。年金問題というアメリカ社会の影を見せつつ、お爺ちゃん版『オーシャンズ11』とも言える痛快さがあった、って今書いてて気付いたけど、これ邦題掛けてたのか…。
タイカ・ワイティティの起用を聞いて皆が思ってた以上に思わぬ作品に化けた⑦。まさかここまでコメディ方向に吹っ切れるとは思わなかったので驚きつつ悶絶した。マーベル映画は飽きた頃にこういうフレッシュな作品を仕掛けてくるから中々止められなくて困る。
意外と1995年版に地続きの物語で、前作へのリスペクトも欠かさなかった⑧。前作のワンダーには勝てないと自覚してコメディとして勝負に出た潔さが好感が持てる。
NYへの憧れから、田舎を出るために周囲を困らせながら成長する女の子が主人公の⑨はちょっと他人事とは思えなかったね…。
スティーブン・ソダーバーグが撮った⑩はトランプ時代の『オーシャンズ11』。チャニング・テイタムは『キングスマン:ゴールデン・サークル』と合わせてしっかり南部を体現する男になってしまったなぁ…。
ということで、以上が今年のコメディ映画ベストテンです。それではいよいよ明日は本年度ベストテン!