I,鈴木

 トーニャ・ハーディングの半生を描いた『I, Tonya』は凄まじい映画だった。母親からは小さい頃から暴力を振るわれ、その影響を受けるが如くDV夫と結婚して喧嘩の絶えないレッドネックな日々。フィギュアスケーティングを題材とした映画なのに殴り合いの方が長く映る映画で、「ナンシー・ケリガンなんて一発しか打たれてないのに世間で騒がれたけど、あたしなんて何千発殴られたかわからないわよ!」と語る彼女のタフさに笑ってしまう。

 

 そして日本のスポーツ界でも似たような事件が起きました。

 要約するとカヌーの鈴木康大選手がライバルのドリンクボトルにドーピング剤を混入していたのが発覚し、8年間の出場停止処分が下されたというもの。確かに悪質な事件だが、例によってソーシャルジャスティスウォーリアーの皆さんがこぞって叩きまくっているのは解せない。どうせ大半が今回の事件で初めて鈴木選手を知ったんでしょ?かくいう僕もそうだぜ!

 

 『I, Tonya』では永久にフィギュアスケート資格を奪われたトーニャが裁判所で涙ながら訴えるところにウルっと来てしまう。日本公開はまだ先なので彼女が何を訴えたかはここに書かないけれど、8年の出場停止で済んだ(されど8年)鈴木康大は今何を思っているのだろうか。

I Tonya /

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