終わらない歌を歌おう

 2017年の星取表を去年の2月から更新していなかったことに気付き、昨年の怠惰な自分を呪いつつ昨年観た映画の星取を全部入れ直しました。

 

 この作業で図らずとも再び昨年の映画を振り返ることになりましたが、その過程で更に気付いたことが一つありまして、それは「最後」を銘打った作品が三本もあることです。

 

 それぞれ公開順に、

 

 『パイレーツ・オブ・カリビアン』は勝手に邦題で「最後」と付けている(原題は『Dead Man Tell No Tales』)としても、三作品とも『最後の(固有名詞)』となっており、更に三作品とも「最後」と銘打っておきながらシリーズを終わらせる気は更々ないことが共通しています。

 

 今の映画界のトレンドはフランチャイズのユニバース化で、会社が「永遠に作り続ける」と明言した『スター・ウォーズ』は言わずもがな、『トランスフォーマー』も現在バンブルビーを主役にしたスピンオフを製作中でユニバース化に向けてライターズ・ルームを設けていますし、『スター・ウォーズ』やMCUと同じディズニー製作の『パイレーツ・オブ・カリビアン』も『最後の海賊』のポストクレジットで例のあの人が登場した時は、まだ続けるのかと眩暈がしてきました。

 

 そういえば『パイレーツ・オブ・カリビアン』の第三作目『ワールズ・エンド』が公開された2007年の夏興行も『スパイダーマン3』『ワールズ・エンド』『シュレック3』と「三大三作目対決」と騒がれていた気がします。夏興行以外にも『ラッシュ・アワー3』『バイオハザード3』『ボーン・アルティメイタム』『オーシャンズ13』など三作目が非常に目立った年でありました。

 

 三部作、という言葉が示すように一昔前まではブロックバスターシリーズは3をもって終了、というのが世の常というか暗黙の了解的な面がありました。ところが今あげた2007年の作品はどれも終わるどころか、10年経った*3現在まで何らかの形でシリーズが続いていたり続編が企画中だったりするのでお腹一杯であります。

 

 僕は全ての永続的なフランチャイズを批判する気は全くありません。『007』も『ゴジラ』も『スター・トレック』も『ワイルド・スピード』も永遠に作られ続けてほしいと思いますし、『マイティ・ソー/バトル・ロイヤル』や『スカイフォール』などシリーズが長く続くからこそ生まれる変化球的な傑作映画もあります。

 

 でも続くはずのなかったものをゾンビのように永遠に生きながらえてしまうのは問題があります。いくら批判されようと僕は『ワールズ・エンド』が大好きですが、しかし『最後の海賊』のポストクレジットのサプライズには「じゃあ『ワールズ・エンド』で皆頑張ってたのは一体何だったのよ?」と首をかしげざるを得ませんでした。『SW』の新作が出れば出るほど『ジェダイの帰還』でイウォークの村で皆笑顔で迎えたエンディングが虚しくなります。

 

 また、『最後のジェダイ』は熱狂的なファンにより批判に晒されましたが、フランチャイズが長く続く作品ほどうるさ型のファンは増えていくので、シリーズが続けば続くほど叩かれるリスクが高くなります。それだったら有終の美を飾った方がずっとマシなのに各映画会社が大金使ってシリーズ作品を作り続けるのは、結局僕たちみたいなファンがブーブー文句を言いながらも毎回お金を払って観に行っているからです。我々は指輪を病的に求めるゴラムと何ら変わりはなく、つくづく映画鑑賞は罪深い趣味だと思いました。

 

終わらない歌(デジタル・リマスター・バージョン)

終わらない歌(デジタル・リマスター・バージョン)

 

 

*1:

 

*2: 

*3:書いてて死にたくなる