偶然ですが、ここ最近アメリカでも日本でも関係者のツイッター上でのヘイトスピーチが原因で、作品が中断される事態が起きています。
前者はアメリカのABCの人気テレビ番組『Rosseanne』が主演のロザンヌ・バーの黒人への差別的ツイートを受けて打ち切りをけってしたというものです。『Rosseanne』はABCのトップ視聴率番組でもあるので、この思い切った決断は話題になりました。
日本で起きた後者は、アニメ化予定だった人気ライトノベル『二度目の人生を異世界で』の原作者まいん氏がツイッター上で過去に中国・韓国に対するヘイトツイートを行っていたことが発覚して炎上・参加予定だった声優が一斉に降板し、最終的にはアニメ化が中止となり、更には原作小説も出荷停止する事態となりました。
僕は差別なんて超くっだらないことはこの世から無くなればいいと思ってますし、こうした影響力のあるクリエイターたちのヘイト発言に対して製作側が自浄作用を持つのはいいことだとは思います。これを切っ掛けに今後発言に影響力のある著名人たちやセレブたちはツイートする前にもっと投稿内容に慎重になればいいとも思います。
ただ少し、今回の件で歯の間に物が挟まった感じがするのも事実です。『Rosseanne』の打ち切りと『二度目の人生を異世界』の製作中止は一見瓜二つの事件かと思われますが、前者はロザンヌ・バーが直近に行ったツイートに対する処分であるのに対し、後者は原作者が5年前に発したツイート、つまり過去の発言に対する処分なのが気になります。
もちろん、ヘイトスピーチを行ったのが過去だからと言って許されるものでは到底ありません。その時傷ついた人だっているでしょうし、その当時知らなくても今そのツイートをたまたま見かけて不快な思いをする人だっているはずです。そういった意味でも当時のまいん氏の発言は軽薄だったと思います。
しかし同時に、人は成長する生き物でもあります。過去に暴走族をして人に迷惑をかけていたけど、今は立派に先生をしている人だっているわけです。って例を持ち出すと『こち亀』の有名な不良更生の回が脳裏をよぎってしまいます*1が、それでも5年前の発言を元にアニメ化中止・出版停止は少し重すぎるんじゃないかと思います。もし百田なんたらとかいうどうしようもないネトウヨ作家みたいに態度を改めることなくデマやヘイトをまき散らしているならまだしも、今回の炎上を受けてまいん氏は謝罪もしていますしね*2。
もっというと今回の騒動で僕が何に一番違和感を感じるかというと、『二度目の人生を異世界に』のアニメ制作会社・出版社はただ「炎上したから」アニメ制作中止・出版停止したんじゃないかと疑ってしまうからです。下手したらヘイトスピーチ問題の深刻さも分かっておらず、ネットで騒動になったから「なんとなくPC的に対応しとくか」「アニメ化しても利益なさそうだな」くらいの意識で中止したのかもしれませんし、そうだとすると根本的な問題は全然解決していません。まあ、もちろんこれは僕の全くの妄想でちゃんとアニメ会社や出版社は事態を重く受け止めて今回の決定を下した可能性も十分にあるんですけど。。。
どうもこの記事書いていても腑に落ちない感覚をいまだ抱いてはいますが、とはいえ冷酷に突き放してしまうと今回の騒動はまいん氏の自業自得、とも言えてしまうので、結局はヘイトスピーチなんかするもんじゃないですよ。皆仲良くやろうよ。