現代の『沈黙』

 アメリカ人宣教師ジョン・アレン・チャウがアンダマン諸島北センチネル島でセンチネル族に殺害された事件。

 

 人が亡くなっているのでとやかく言いたくはないですが、「哀れな未信者に素晴らしき神の教えを伝え救ってあげよう!」という考え方には宗教という思想の傲慢さを感じます。僕もアーカンソーに住んでいた時は散々「神様を信じたほうが良いよ!」と言われまくったのでゲンナリしました。

 

 また、5年前のスレッドですが、キリスト教系の掲示板でも「センチネル族は地獄に落ちるの?」と呆れ果てる他ない質問が上がっており、未開の部族として有名なセンチネル族に布教を行うことは宣教師たちにとって難攻不落な目標で、それを達成することはある種ロマンでもあったのでしょう。

 

 余談ですが、ワシントンポスト紙はジョン・アレン・チャウの手記を手に入れており、ジョンは亡くなる直前に「主よ、この島は人々があなたの名を聞く機会すらなかった、サタンの最後の砦なのでしょうか?」とか「皆は僕のことをクレイジーだと思うかもしれないが、この人たちにジーザスを布告する価値はある」だとか書いているのが本当に不憫で可哀そうでならない。本当に。一見勇ましいことを書きつつも最後には「神よ、僕は死にたくない」とまで書いているところに人間味を感じ、ジョンは僕として年齢が一つしか違わないので僕は胸が痛みました。ある意味僕は彼は宗教の被害者だと本気で思ってます。いったい彼の死の責任は誰がとるというのか。

 

 

 しかし宗教者にとって、先住民に教えを説くことは中々な難題なようで、時に映画や作品の題材となります。代表的なものはやっぱり『沈黙』がありますね。

 

 その名もずばり『ミッション』という映画もあるようで、是非今度観てみようと思います。

ミッション HDニューマスター版 [DVD]

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 でもやっぱり宣教を扱った作品として最高なのは、このブログでも紹介したトレイ・パーカーとマット・ストーンのミュージカル『The Book of Mormon』です。

 宗教とはブルシットである、しかしそのブルシットが人々を救うのも事実である!というのを面白おかしくそして感動的に描いているので、NYに来る機会がありましたら是非鑑賞をお勧めいたします。

 

 ちなみに、インド政府が北センチネル島に近づくことを禁じているのは、センチネル族が危険だからという理由だけでなく、文明社会から隔離された生活を送ってきた彼らは外部から来たウィルスに弱いので、外から持ち込まれた細菌で彼らが全滅するのを防ぐため、という理由があります。やはり、人々の救済に必要なのは神様や信仰心などではなく、科学なのです。