『サウスパーク』S22E9「Unfullfiled」感想

 今シーズン最終話まで残り2話となり、今週は次週に続く前後編の前編。主にAmazon物流センターの過酷労働問題を扱っている。

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 週末に開かれる自転車パレード大会に向けて、愛車にデコレーションをするバターズ。一位になれば賞金$50がもらえるということで浮かれている一方、父のスティーブンは最近勤め始めたアマゾン物流センターでの過酷な労働環境に多大なストレスを抱えていた。物流センターで働いているのはスティーブンだけでなく、物流センターができたことによりサウスパーク中の小売業者が潰れてしまったので、町中の住民が働いているのであった。そんな折に物流センターのセクション・マネージャーであるジョシュがパッキング作業中にロボットによりダンボール箱に詰められてしまうという事故が発生する。ジョシュは箱を開くと内臓をぶちまけてしまう体となってしまう。

 

 さて、バターズの自転車パレードをバカにしていたスタン、カイル、カートマン、ケニーの4人組であったが、自転車レースに優勝すると$50の賞金がもらえる以外にも女の子にモテるということが判明し、優勝を目指してデコレーショングッズをAmazonでオーダーしまくる。しかし、丁度Amazonがジョシュの箱詰め事故を人為的なエラーと結論づけた声明を出したためサウスパーク住人は激怒、ストライキを敢行する。このままでは自転車レースまでに間に合わない!と焦った4人組は、オンラインショッピングに取って代わられるまで人類が足を運んでいた、古の施設ショッピングモールに向かう。ショッピングモールはAmazonのせいで廃墟と化しており、それでも客を待ち続ける店員たちはミュータントと化していた。

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 一方、サウスパーク市長のもとにAmazonのCEOジェフ・ベゾスが登場。何故か『宇宙大作戦』に出てくるタロス星人の風貌をしているジェフ・ベゾスはタロス星人よろしくテレパシーで会話をするのだが、どうやらコロラド州における物流の要としてサウスパークを選んだ模様。何よりも顧客を大事にするジェフ・ベゾスストライキに激怒しており、この事態をなんとか対処しなければ市長のプライム会員を取り消すと脅す。こうして市長とジェフ・ベゾスストライキ鎮圧作戦が始まるのであった…。

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 今年のプライムデーにヨーロッパ各国のAmazon倉庫労働者たちは大型ストライキを敢行した。アメリカでも生活補助であるフードスタンプを暮らしているAmazon社員もおり、にもかかわらずジェフ・ベゾスの総資産は今年17兆円を記録*1し、世界で最も裕福な人物の一人となった。こうした典型的かつ極端な資本主義的搾取は社会主義者バーニー・サンダース議員などからも批判されて来た。今回の『サウスパーク』も、箱人間で誤魔化しているが実に社会主義的メッセージの強い回となった。

 

 「#CancelSouthPark(サウスパークを打ち切りに)」のキャッチコピーでファンを騒然とさせたS22だが、22年続いたシリーズの最終話がAmazonをバカにした回で終わるというのも考えにくいが、結果がどうあれ少なくともS22の大団円は迎える次週は見逃せない。

 

 

*1: