ただ青くなっただけ

 昨日のグラミー賞でディズニー製作の実写リメイク版『アラジン』の予告編が公開されましたが、シャマランもひっくり返るサプライズがエンディングにありました。 

 

 そのサプライズを皆様にも共感してもらうために軽い経緯を説明しますと、『アラジン』のティーザー自体は去年から公開されていましたが、人気キャラクターのジーニーはひた隠しにされていました。ウィル・スミスが演じるとされる実写で再現されるジーニーは如何ほどの物かとファンたちが想像を膨らませていると、映画情報誌エンターテイメント・ウィークリーでカバーフォトと劇中写真が公開されて最初の物議を醸しました。

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 た、ただのウィル・スミス!!

 

 と、ツッコミを受ける前にウィル・スミスはInstagram上で「あれは人間フォームのジーニーなんだ」と釘を刺します。なるほど、恐らく劇中でジーニーが人間に化けるシーンがあるのだろう、さすらばその姿が演じるウィル・スミスと激似であってもおかしくない。普段のジーニーは最新のVFXを駆使してアニメと実写をうまく融合したような魔人が描かれるのだろう、と大方予想していました。

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 そして、満を持して昨日の予告編で遂に実写版ジーニーの姿が日の目を浴びたのです。こちらがその予告編になります。そのラストに注目して頂きたいのですが…

 

 

 

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 あ、青いウィル・スミス!?

 

 えっと、これはアバター』の続編のティーザーではないよな?うん、確認したが『アラジン』の予告編だった。というか『アバター』であってほしかった。

 

 いや、まあ良いんですよ。ジーニーがウィル・スミスに似せていたって。オレ・スミスなウィル・スミスなことですから多少大人な配慮があったのかもしれないし、実写の中でいきなりアニメルックなジーニーが出てきたって違和感があるだけだし。ただ、ディズニーがジーニーを実写化する上で、リアルに寄せるかアニメに寄せるか迷った挙句中途半端な形になってしまったのは間違いありません。

 

 参考までにこちらのブロードウェー版と劇団四季版の『アラジン』を観て欲しいです。

 

 もちろん、舞台で発揮できる特殊効果は限られているので、ブロードウェージーニーは恰幅のいい役者(ジェームズ・モンロー・イグルハートと瀧山久志)が青い衣装を着るに留まっています。ただ活き活きと動き回る彼は誰がどこからどう見てもジーニーです。これは舞台と言う制限のある作品であるがゆえに、即物的ジーニーを表現できた成功例と言えます。もちろん、「ジーニーはロビン・ウィリアムズが演じるべき!」という意見も分からなくはないですが、上記例から必ずしもそう言えないことはお分かりかと思います。そもそも吹き替え版の山寺宏一も素晴らしかったですし。

 

 対して、実写版『アラジン』のジーニーは、その見た目を物理的にウィル・スミスに寄せているくせに、申し訳程度にアニメに寄せて青く大きく見せているだけなのでどうしても気味悪く感じてしまうのです。これだったらずっと人間フォームのジーニーでいてくれた方がマシなくらいです。もちろん、『アラジン』はディズニーブランドの世界的に有名な作品であり、一方ウィル・スミスも世界的に知名度の高い役者であり、両者が持つ世間的なイメージが強すぎて食べ合わせが悪かったと思いますし、ディズニーはその両者のイメージを統合できなかったのは残念です。

 

 そう考えるとやはり『名探偵ピカチュウ』のポケモンは相当頑張ってデザインしているのだなぁと改めて感心します。まあ、どちらもまだ公開すらされていない作品なので一喜一憂するのは早過ぎるんですけどね。結果面白かったら全て良しなんで、両方とも期待して待ちます。

アラジン (吹替版)

アラジン (吹替版)