社交ダンスの会場で大麻入りチョコレートが混入し、それを食べてしまった男女7人が体調不良を訴え病院に搬送される、というニュースがありました。
これには正直ほっこりしてしまいました。というのも、医学的事実として大麻の主成分であるTHCの毒性はアルコール・タバコと比べても大変低く、中毒性も依存性もなく、過剰摂取による死亡例は全世界で過去一症例もありません*1。じゃあこの7人はどうなったのかというと、所謂バッドトリップを起こしたのでしょう。
食用の大麻は吸う大麻よりも効きが分かりにくいため過剰摂取しがちで、服用量を間違えてバッドトリップを起こす人が多いのは愛好家の大麻あるあるだそうで、ネットで検索するとその失敗談がRedditなんかでいくらでも見つかります。バッドトリップを起こすとどうなるかというと、お酒に酔ったような状態になったり貧血っぽくなったり、強迫観念に駆られたり疑心暗鬼になったりするそうです。セス・ローゲンも下のポッドキャストで語っていました。
ご存知のように「ダメ。絶対。」の日本と比べてアメリカでは大麻は一般的で、アーカンソーの大学時代でもNYに移ってからもあちこちで吸ったり食べたりしている人を老若男女見かけます。バッドトリップと言えば、僕が大学時代の時ロシア人の友達がコメディ映画に出てくるようなホームパーティーを開いていました。すると1~2時間くらいたって玄関を強めにノックをする音が聞こえました。窓から警察官が二人立っているのが見えると、友達の一人が急に青ざめて裏口から走り出て庭の茂みにダイブしたのです。
警察は単なる騒音注意の為に家に訪れたのですが、その友人は人知れずマリファナを吸っていてバッドトリップを起こし、警察が自分を捕まえに来たんだと強迫観念に駆られて逃げ出した*2、というオチでした。警察がいなくなった後に茂みから恐る恐る出てくる彼にパーティー参加者は皆大笑いでした。
バッドトリップは特に初心者に起こりやすいので、今回の事件も恐らく初めて摂取した大麻の症状にパニックを起こしたのを見て、誰かが救急車を呼んだとかそんなところじゃないかと思います。ただ、このニュース記事に対するコメントを読むと、大麻を覚せい剤なんかと一色たんにして恐怖心を煽るコメントばかり見受けられます。本来は笑い話で済むところなのに、これでは悪戯に思考停止に陥るだけなので、正しい知識を持って薬物を恐れましょう。
ただ、一体全体どうやってTHC入りチョコレートが社交ダンス会場に混入したかは謎です。というか、もちろん参加者の誰かが持ち込んだんでしょうけど、目的が謎でその点は確かに少し怖いですね。