映画の話にご用心

 僕はクライアント先や初対面の人、デート相手にはなるだけ映画の話をしないように心掛けている。絶対に喋りすぎるからだ。

 

 誰しもが映画が好きで生きているわけではなく、監督やプロデューサーの違いさえも分からない人の方が多い訳で、そんな相手に「今度公開される『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』って実質『三大怪獣 地球最大の決戦』のリメイクで、音楽は伊福部昭を意識しているらしいですよ!マイケル・ドハティも『クランプス』が面白かったから凄い期待なんですよね〜」などとデュフデュフ話してもドン引かれるだけである。

 

 なので仮に映画の話が出たとしても努めて冷静を装い、「今アメリカでは『アベンジャーズ/エンドゲーム』が流行っているらしいですよ」などと伝聞調で話すのがベストである。といっても、軽いトークで始まった映画の話が更に5分も続いてしまえばついついあれこれ余計な情報を足して話して化けの皮が剥がれてしまうのが常なのだが。

 

 さて、この間もこのブログに書いたが、最近マッチングアプリで出会った女の子がいる。この子の好きな映画が『メトロポリス』や『時計じかけのオレンジ』、『8 1/2』などと結構な映画ファンであることが分かった。こういう時は気兼ねなく映画の話が出来て楽しいが、それでも会って数週間しか経っていないのでオタク特有の早口や知識ひけらかしなんかにならないように細心の注意を払っている。

 

 この間の土曜日、その子と遊んだ時の話である。お互いに映画好きだということが分かったので、クイーンズにある「ミュージアム・オブ・ザ・ムービング・イメージ」に行ってきた。アストリアにあるカウフマン・スタジオの隣に建っている映画に関する博物館で、『マペッツ』のジム・ヘンソンに関する展示物や『エクソシスト』や『ブレードランナー』で使用された特撮模型が展示されていて映画ファンなら垂涎の博物館だ。当然テンションは上がったが、あまり相手をほっぱらかしにきてはしゃいでもみっともないので、自らリミッターをかけた。

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 楽しく色々見ていると、『スター・ウォーズ』のオモチャを展示するコーナーに辿り着いてしまった。そこで彼女が「スター・ウォーズ』観たことないんだよね」とのこと。ふふふ、何のこれしき。僕は人が何を観たか・観ていないかで差別する事はない。別に皆が皆『スター・ウォーズ』観てなくたっていいじゃないか。

 

続けて彼女の質問。「『スター・ウォーズ』って面白いの?」

 

 

 

ドックンッ!!

 

 

 

「い、いやー、面白いよ〜(ニッコリ)」

 

 あ、危なかった。「バッキャロー、面白いとかそういう問題じゃねぇ、宗教だ!」などと訳の分からぬことをシャウトして公衆の面前で彼女を辱めてしまうところだった。こんなところで地雷を踏むわけには行かないのである。ここは危険だ、とっとと次の展示コーナーに行こう。

 

 しかしズラリと並ぶ『スター・ウォーズ』のフィギュアを指して彼女がとどめの一言。

 

「Mr. スポックはどれ?」

 

 

 

 「Mr. スポックはどれ?」

 

「Mr. スポックはどれ?」

 

「Mr. スポックはどれ?」(脳内エコー)

 

 

プッチ...

 

「み、Mr.スポックは『スター・トレック』なんだよね!僕だから良かったけど、『スター・ウォーズ』は過激派が多いからその間違いに怒る人がいるかもよ、あはは!」

 

 

 

 

あっぶねぇ~~~~!!!

 

 

 一瞬脳内が真っ白になった。魔海から情報という洪水があふれ出てくるところだった。『スター・トレック』の歴史について小1時間講釈を垂れるところであった。このブログに出てくる闇Taiyakiが登場してしまうところであった。もうこれ以上ボロが出ないように一刻もこの場を離れよう。タピオカティーでも飲みに行こう。

 

今回の教訓:自分の趣味のフィールドをデート先にしない方が良い。

 

 

LOVE理論

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taiyaki.hatenadiary.com