【再アップ】『アグレッシブ烈子』シーズン2は価値観が後退していて残念だった!

※6/19追記 何が起こったか分かりませんが、何故か完成原稿ではなくスマホ版の下書きに入っていたものがアップロードされてしまっていたので、一度下書きに戻して修正いたしました。ネタバレを警告なしに踏んでしまった方がいましたら申し訳ありません。

 

 年末年始に観てそのエッジの効いたギャグにハマった『アグレッシブ烈子』のシーズン2がNetflixで配信されたので期待して観たら、正直ガッカリせざるを得なかった。久し振りに烈子達に会えるのは嬉しかったし相変わらずのデスメタルギャグには笑ったが、基本プロットである「結婚」に対する価値観があまりにも古臭かったのだ。

www.netflix.com

 

 『アグレッシブ烈子』のシーズン1を振り返ると、ターゲットは世知辛い現代日本社会を生き抜くOLだったが、女子が幸せになるための解決手段として「結婚や恋愛を問題解決の手段として描かなかったのがとても偉い」と僕は書いた。結婚が悪いことであると僕が言いたいのではなく、「女性の人生における幸せのゴールは結婚」なんて昭和も甚だしい、しかし未だに恋愛ドラマにおいてはありきたりな結論を安易に描かなかったことが現代的な価値観を反映していると僕は思ったのだ。

taiyaki.hatenadiary.com

 

 ところが、『アグレッシブ烈子』シーズン2は開幕から烈子の母が見合い話を持ってくる所からスタートする。当初烈子は結婚を押し付ける母に嫌気が指していたが、押し切れずに見合いや婚活パーティーに参加していくうちに結婚に憧れを抱いていく。

※以下『アグレッシブ烈子』シーズン2ネタバレあり

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 話が進む中で、烈子は教習所で知り合った次世代AIを開発した若き天才只野くんと恋に落ち付き合うことになる。只野くんは伝統的な価値観に縛られない人間で、烈子を愛してはいるものの「結婚なんて制度には意味がない」と言い切ってしまう。烈子も当初は相変わらず無理をして只野くんの一挙一動に合わせていたものの、結局「凡人」の自分には只野くんほどの野心もなく、結婚して幸せな家庭を築くことが自分の夢であると気付き、只野くんを振ってしまう。

 

 先述した通り、僕は只野くんよろしく結婚を否定するつもりはないし、個人的にはできるんだったらしたい。ただ、『アグレッシブ烈子』の描き方が問題なのは、なまじ可愛い動物を使って日本のOLを戯画化・抽象化してしまっている為に、あたかも「日本の女性にとって幸せになる道は結婚のみ」という印象を残してしまう*1のだ。

 

 更に只野くんの結婚観だって「常人離れした天才のぶっ飛んだ考え」として描いている節もあるのも問題だ。100通りのカップルがいれば100通りの考え方があるのは当たり前で、結婚という繊細な制度を一辺倒に描いてしまっては多様性に欠ける。特に最近では同性婚やパートナー制度など、さまざまな愛の形が出てきてる世相なら尚更だ。

 

 僕が残念でならないのが、本作では烈子が運転免許を取得するサブプロットだ。これは今まで漠然と生きてきて目標も行き先もなかった烈子に、行きたい場所や可能性を提供する素晴らしいメタファーだったにも拘らず、結局烈子の夢は旧態依然とした結婚制度に落ち着いてしまい、結果的にやはり現代日本社会で生き辛い女性の現状を悪い形で反映してしまっている。『アグレッシブ烈子』は世界的にも人気のあるアニメだったので、もう少し視野の広い結婚観・恋愛観を見せて欲しかった。とは言うものの、烈子は本シーズンでは結婚しないまま終わったので、第3シーズンに期待したい。第1シーズンでは出来ていたことだしね……。

 

 

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*1:結婚よりもキャリアに価値を置く鷲見さんのようなキャラが本作には登場することは付け加えておく