前回の放送後中国に謝罪したトレイとマットは「次回の300回記念も観てください!」と習近平にオススメしていた*1。その記念すべき『サウスパーク』通算第300回は「アンチ・ヴァクサー」を皮肉った回だった。
「300」と書かれた何やらメタ的なケーキを運ぶランディ。なんと、前回の中国の営業の甲斐あってランディのテグリディー農園は30万ドルもの売り上げを記録したのだ。ランディ以外はもちろんうざったい表情をしているが、「君らはまだ俺が中国とビジネスをしてることを怒ってるの?それって人種差別だよ!」と先週とは打って変わって中国の擁護に回る。街の大通りで30万ドル売り上げ記念のパレードを開くほどで、「チャイナ〜、チャイナ〜」とマーシュは喜びの歌を歌う。
一方、リアンは息子のカートマンを病院にワクチン接種をさせる為に連れてきていたが、注射が大嫌いなカートマンは文字通り豚のように大暴れ。サウスパーク小学校ではワクチン接種が義務付けられているのでカートマン親子はPC校長から呼び出しをくらうが、リアンは既に過去4年エリックを毎週金曜日に病院に連れて行っていってるものの、エリックは自分を油まみれにして滑りやすく走り回るので、至難の技だと泣きつく。しかし、PC校長は厳しくエリックが予防接種を受けないのであれば、小学校に登校することを禁止すると言い渡す。
予防接種を受けたら学校のテザーボール*2を2週間独占していい、という条件で注射を受けに行くカートマンだったが、やはり注射針を目の前にすると理性を失い、裸になってブーブー逃げ回る。どうしても注射を受けたくないカートマンは、「オイラは政治的・道徳的・哲学的な信念を持っていて、病気はワクチン接種によってコントロールされるべきではない!そして予防接種を受けて芸術的になるリスクは避けたい」と主張することで、PC校長から予防接種受けずに学校に登校する許可を得る。
もちろん、学校では町民集会が開かれ、カートマンのせいで他の子供たちに病気のリスクが高まるとリアンは非難を受ける。母親として失格、とまで言われるが、皆どれほどの勢いでエリックが注射器から逃げ回るか分かっていないのでリアンは「だったらあなたたちがエリックを病院に連れて行って暴れないように押さえてみなさいよ!」怒る。リアンは町民の同情を得るものの、このままワクチンを受けさせないわけにはいかないので、エリックが寝ている隙に医者を家に連れて行って注射するように画策する町民一同とリアンであったが……。
カートマンが「予防接種を受けると芸術家になる」と言っているのは、つまりワクチン接種を受けると自閉症になる、というアンチ・ヴァクサーの言い分をパロディにしている。このブログでもアンチ・ヴァクサーを取り上げたことがあるが、アンチ・ヴァクサーとは「ワクチンは自閉症の原因」というデマを信じて子供にワクチン接種を受けさせない狂った人たちのことだ。情報化社会が発達した近年は特にこのデマを信じている人たちがアメリカでは増え、結果先進国として珍しく麻疹が流行するなど社会問題化している。
注射針が嫌いで駄駄を捏ねる子供とアンチ・ヴァクサーの馬鹿さ加減をうまい具合ミックスしており、カートマンがブーブー鳴きながら病院内を走り回るのは腹を抱えて笑える。最終的にはロデオ会場みたいな場所で注射針が嫌いで逃げ回る子供たちを捕まえる競技が開かれる始末。
トレイとマットが「中国さん観てくださいね!」と言った回でランディが中国のケツを舐めまくった態度をとるのが最高で、しかし後半このまま中国にゴマをするのか、手を切るか決断を迫られるので注目。トレイとマットにとって中国政府はトム・クルーズと同じカテゴリーに入れられてしまったんだなぁ。
*1:
*2:アメリカの学校に置かれている、棒にボールが結びつけれた遊具。https://en.wikipedia.org/wiki/Tetherball