今日、待望していた『映画秘宝』の復刊号が届きました。終わってしまったと思った『映画秘宝』がこんな短期スパンで復活したのは大変嬉しく、日常が一歩だけ戻ってきたような感覚がありました。
今回の特集は「見れば絶対に元気が出る不屈の傑作映画200」ですが、僕が初めて買った『映画秘宝』は震災明けの2011年 6月号で、この時は「見れば絶対に元気になる不屈の映画150」が特集されていました。偶然だけれども、なんだかことさら感慨深くなってしまいました。
ここ最近、と言ってもこれは僕のみならず、世界中皆さん同様だと思うんですけれども、日を追うごとに状況は悪化していく一方なので、鬱屈した気持ちで毎日を過ごしていました。しかし、不思議なもので、今月の「映画秘宝」を読んでいると本当に元気な気持ちが湧いてきました。あまりにも気持ちが前向きになったので、ついつい滞っていた脚本執筆作業を再開したくらいです。
そういえばつい一昨日、SUPER DOMMUNEのYouTubeLIVE「『映画秘宝』復活カウントダウン!!! NEVER GIVE UP! NEVER SURRENDER!!!」*1を見ていたんですけど、その中で高橋ヨシキさんがとても素晴らしいことを言っていて超感動しました。以下、書き起こし。
戦争やって時の日本がね、「贅沢は敵だ!」みたいなことを言うわけ、「パーマネントはやめましょう」とか言うわけ。違うんだよ!それが人間の生きる力の根源なんすよ。
だから、例えば、今でもあるけど、よく聞く話だと、老人ホームに行って、おばあさん達にメイクアップをしてあげると、それだけでいきなり蘇ったように元気になる。そういう力があるわけ。だから、こういう時だからこそ、アートとか表現とか、エンターテイメントとかが、一番大事なの。
それを「そんなのなくていいよ!」って言う奴は、どいつもこいつも虫けら以下のファックオフだから、死んだほうがいい。水でも飲んでろボケが!土食って死ね!
もうまさにこれは至言で、今世の中の人みんなが元気がないのは、そういう力を与えてくれる芸術の火が風前の灯にあるからだと思うんですよ。しかし逆説的に今こそ、芸術やエンターテイメントが持つ力を我々は思い出さないといけない。そしてまさに『映画秘宝』は雑誌という媒体を通して有事におけるエンタメの底力を見せてくれました。
愛する『映画秘宝』にリスペクトを表し、僕も自分が元気なれる映画を10本選んでみました。皆さんにとって気が滅入る外出自粛のお供になれば幸いです。これはまた、最近映画鑑賞から離れてしまっていた自分に「映画の面白さを思い出せ!」というメッセージを送る意図もあります。
Taiyakiが選ぶ元気が出る映画10選
- 少林サッカー
- ミニミニ大作戦(1969)
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
- ディス・イズ・ジ・エンド
- ショーン・オブ・ザ・デッド
- プロジェクトX
- キック・アス
- ピッチ・パーフェクト
- 幕が上がる
- ロッキー
少林サッカー
まずは問答無用で元気になれる映画を3本!『少林サッカー』初見時の笑劇ったらないね、過呼吸になるかと思った。テーマ曲も最高に気分が上がる。
ミニミニ大作戦
あんまり言及したことがなかったので、この機会に言っておくと、僕は『ミニミニ大作戦』が超好きなんですよね。ミニクーパーでイタリアの市街地を爆走して強盗を働くだけなんだけども、コミカルかつ緊迫感にあふれたカーチェイスが延々と続くのが疾走感に溢れていて素晴らしい。若きマイケル・ケインもセクシー!あと、こちらも妙に心に残るテーマ曲「自己防衛社会(Self-Preservation Society)」が意味わからないんだけど超楽しい。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
あれだけテレビシリーズでウジウジしていたシンジくんが、まるで別人のように前向きに!作品のトーンもかなりポジティブになり、クライマックスの「行きなさい!シンジくん!」にめちゃくちゃ熱くなりました。
ちなみに今、スタジオカラーが期間限定で新劇場版シリーズを全編無料公開しているので、まだ観てない人はことの機会に是非。一番最初の作品は『序』ってやつです。そして2作目の『破』で元気をもらった人は、『Q』を一切観ないことをオススメします!コロナが終わってから観よう!
『序』:https://www.youtube.com/watch?v=z0AeU-0_bHs
『破』:https://www.youtube.com/watch?v=OfqFiHjR7ac
『Q』:https://www.youtube.com/watch?v=M099_uFGzEs
ディス・イズ・ジ・エンド
お次は暗い情勢を楽しく生きるコツに溢れた2本。セス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグの初監督作は、世界の終わりにまさに外出自粛をしてる男達の話だが、セスとエヴァンが世紀末に望むことはただ一つ。楽しい仲間達とバカやって騒ぎたい、ただそれだけ!苦しい世の中も、友達といれば乗り越えられる。パンデミックの中では中々遊びに行けたりできないかもしれないが、だからこそオンライン飲み会とかは超大事。
ショーン・オブ・ザ・デッド
最近サイモン・ペッグとニック・フロストがこの映画にちなんだ注意喚起動画を出したことで、再注目を浴びているゾンビコメディ。ゾンビ・パンデミックがイギリスを襲ったらイギリス人達はどうするか、実にイギリス的な行動で立ち回るのに大笑い。そういえば、「新型コロナウイルスと共生する未来」なんて可能性も唱えられ始めているが、今考えると本作はそれを先取りしているんじゃないだろうか。
プロジェクトX
次は平穏な日常に戻るのが楽しみになる1本。NHKの本格派ドキュメンタリーではありません。非モテ童貞少年3人組が、誕生日パーティーでハメを外そうとしようとして取り返しのつかない事態に発展していくモキュメンタリースタイルのコメディ。製作にトッド・フィリップスが入っている時点で下品さはある程度保証済み!早くこんなドンチャン騒ぎがしたいですね。
キック・アス
最後に、落ち込んだ気分から復活できる4本を。世界規模で猛威を振るう目に見えない敵に対し、自分は無力なんだと思い知らされている人はたくさんいると思う。でも、そんなことはない。非力でヘナチョコな凡人だって、ヒーローになれるんだ!
ピッチ・パーフェクト
アカペラコンクールがテーマだけど、ライバルのアカペラクラブと競うスポコン物として描いていて、なのにクライマックスは単なる勝敗は捨てて「アカペラは楽しいから好きなんだ!」というシンプルな気持ちに昇華するので、尋常じゃないカタルシスを得た。あと、アメリカン・コメディらしい過激なギャグにも腹を抱えて笑う!
幕が上がる
ももいろクローバーZ主演のアイドル映画と侮ることなかれ、渡米直前に僕はこの映画にとても勇気をもらい、劇場で嗚咽をあげて泣いた。『ピッチ・パーフェクト』と似てるが、「努力が無駄になろうと、演劇が好きだから演劇をやる」という、当たり前だけど見落としがちな事実を高校演劇を通して描いた本作は、脚本が『桐島、部活やめるってよ。』の喜安浩平です。
ロッキー
ドン底にいる時、人間はどうしたらいいのか?立って、戦い続ければいい。勝敗なんかどうでもよく、戦い続けることにこそ人生の全てがある。僕は弟が大学受験に失敗した時、この映画を見せたら翌年見事第一志望にリベンジを果たして合格しました。そして弟は、末の弟が現役時代に失敗した時、『ロッキー』を見せました。
みなさんもオススメの元気が出る映画などあれば、コメント欄やTwitterなどで教えてもらえると幸いです。最後に『映画秘宝』の復刊、本当におめでとうございます!