『マトリックス4』の撮影に参加した友人の話

 えー「ブログに書いていいよ」と言われた話なので、思い切って書きますが、僕の友達でサンフランシスコでカメラマンをやっている友人が、諸事情により1ヶ月半ほど日本に帰ってきています。その彼から聞いた話なのですが、彼はコロナ禍になるちょっと前に、なんとマトリックス4』の撮影にPAとして参加する機会に恵まれたそうです。

 

 PAというのはプロダクション・アシスタントの略で、僕もNY時代に会社の仕事で何度か経験したことがありますが、要は雑用係です。『マトリックス4』のような大作映画になると、まるで軍隊のようにスタッフの規模もデカく、このPAという末端の役職だけで50人ほどいたそうです。なお、これはサンフランシスコで撮影されたシーンだけでこの規模なので、他のロケーションに移るたびにこれくらいの規模のPAが雇われていました。これは『マトリックス4』だけでなく、基本的に全てのハリウッドのブロックバスター大作でこのようなPAがたくさん汗癖働いてます。

 

 で、今回の『マトリックス4』はサンフランシスコの一区画を封鎖して、ヘリコプター飛ばしたり戦車を走らせたり、とてつもない規模の撮影をしていたようです。撮影のために道路を封鎖することはローリングブロックと呼びますが、ローリングブロック中に関係ない一般人や野次馬が入ってこないようにするのもPAの役目です。『マトリックス』のファンとして夢の現場に参加した友人も、責任もって一般人の追い出しをしていたそうです。

 

 10日間かけてこのサンフランシスコのシーンは撮影されたようですが、とある日にはヘリコプターのチェイスを撮影するとても危険なスタントシーンがあったそうです。こういう危険な撮影をしている時こそ、何か間違いがあってはいけませんから、友人はローリングブロックのPA仕事により一層気合を入れていました。そんな折に、なんだか偉くオーラのある人が封鎖区画に入ってこようとしたので「ここは通れませんよ」と阻んだところ、「俺様はこのファッキン映画のプロデューサーじゃ、ボケェッ!」と怒鳴られてしまったそうです。

 

 慌てて謝って偉そうなプロデューサーを現場に入れてあげた友人ですが、彼としては仕事を真っ当にこなしただけなのに怒られる筋合いはなく、なんだか煮え切らないヤキモキした気持ちを抱えていたそうです。また、この事件はすぐに現場に広く知れ渡り、他のPA仲間からも「どんまい」「お前は悪くない」と励まされたとのことです。

 

 聞いてて滅茶苦茶笑った話なんですけど、個人的に結構気になるのは、このプロデューサーは誰だったんだろう?という点で、仮にもしジョエル・シルバーだったとしたらかなりアツい話だなぁ、と思います。それにしても、僕も会社で撮影仕事をしていた時は数ある役職の中でプロデューサーが一番嫌いでしたけど、本当になんでプロデューサーという肩書のつく人は古今東西誰でもかんでもクッソ偉そうなんですかね。

 

 なお、こういう大作映画に参加するときは大抵NDAと呼ばれる機密保持宣誓書にサインを書かされるんですけど、本当にこの話を書いていいか友人に何度も聞いたところ、「全然いっすよ!」とのことでしたので、当ブログは一切責任を負いません。ワーナーさん許してちょ、てへぺろ