昨日自分で謝罪文を書いたばかりなので、今更人の問題に口を出せる身分でもないのですが…。
【お詫び】
— 映画秘宝 (@eigahiho) 2021年1月25日
この度は、大変お騒がせしてしまい、誠に申し訳ございません。
添付のあるまじき悪質なDMを、本誌公式ツイッターアカウントより、いち個人の方へ送付した件につきまして、心よりお詫び申し上げます。 pic.twitter.com/1XbEbWdTW7
僕の映画人生における『映画秘宝』の影響力は大きい。大学1年生の時から10年間(!!)、1号たりとも欠かさず買っている雑誌だ。アメリカにいるときも親に送ってもらったくらい愛読していた雑誌であるし、このブログの随所に『映画秘宝』カルチャーからの影響が恥ずかしいくらい見えてくると思う。そのくらい、僕のアイデンティティ形成に大きな一部分を担った映画雑誌だと言っていい。
なにも、僕だけの特別な感情としてドラマタイズしたいのではなくて、これは多くの映画ファンにも同じことが言えるだろう。みんな『映画秘宝』を通して道の映画の存在を知ったし、『映画秘宝』が特集している映画の公開日はスケジュール帳に入れているだろうし、『映画秘宝』から学んだことをさも自分の知識として周りに吹聴した体験だってあるだろう。『映画秘宝』が嫌いな映画ファンだって当然いるだろうが、そうした人たちさえも認めざるを得ないのが、『キネマ旬報』が日本の映画史の発展に貢献したように、『映画秘宝』が近年の日本の映画文化の形成に重要な役割を果たしたことは無視できない事実だと思う。
一方で、『映画秘宝』が一部界隈に疎まれていた原因としてはいわゆる「秘宝系」と雑に称されるノリがあったからだろう。『映画秘宝』の表紙トップには毎回「Action, Sci-fi, Horrr, Chicks, and Rck & Roll for Guys!」と書かれていたということもあり、たしかに「中学生男子感」を大事にした雑誌ゆえに日本一売れる映画雑誌になるまで成長した、という側面はあった。しかし、2010年代半ば以降SNS社会がより大きくなるほど、「映画秘宝祭り」などでは「ホモソーシャル」とされる雰囲気を批判する声も大きくなって言ったと思う。
が、世の中が白黒簡単にラベルを貼ることが難しいように、僕が10年間『映画秘宝』を書い続けていた中で、少しずつ雑誌としてのあり方は変容して言ったのも間違いない。いまだにアメコミや怪獣映画、ホラー映画などの特集は多いもの、明らかに女性ライターの数は増えた。添野知生さんがかつてツイートしていたところによると、女性の編集者も増えたらしい。((
それから20年たちましたが、雑誌は生き物なのでどんどん変わります。昔の映画秘宝が好きな人、昔の秘宝が嫌いな人、両方いることも知っていますが、ぜひ今の誌面を知ってほしい。今の読者、今の社会に向けてどんどん変化しています。編集部もずいぶん変わりました。6名の編集者のうち2名は女性です。
— 添野知生 (@chise_soeno) 2019年12月21日
))また、『映画秘宝』に限らず他誌媒体で執筆しているライターも増え、執筆陣は「秘宝系」とひとえに括ることができないくらい多様性に富んだ。そして何より、皆さんは2019年の7月号から『映画秘宝』の表紙のトップにある惹句が「Action, Sci-fi, Horrr, Chicks, and Rck & Roll!」に変わったことをご存知だろうか。
このように、現代社会の変化に合わせて、『映画秘宝』も価値観をアップデートさせる努力を惜しまなかった。だからこそ信頼していたし、好きな雑誌だった。そうした中で、全ての水泡に帰すような愚行が、当の岩田和明編集長によってなされてしまった上、その後の対応も何から何まで擁護しようがなかったのは、本当に残念と言うほかない。
一愛読者として言えることは、悲しいけれども以上だ。もう1週間前の出来事を今更ズタズタな対応をしてしまった時点で色々と遅いのだけれども、また来月読者でいることを恥ずかしいと思わないくらい、誠意のある対応を切に望みます。
そして、やっぱり昨日の件じゃないけれど、他人の振りを見て、我が振りも直して行こうと改めて強く思います。